45 / 220
5-6、カメ、引き取られる
エターナニル魔法学園特殊クラス
しおりを挟む
10分くらいそうしていただろうか。
「失礼します」
授業を終えたリトアがドアを開けた。跳びつこうとしたレイカはガラスに激突した。
「レイカを引き取りに来ました」
「そこにある。勝手に持って行け」
コップを持ち上げるとレイカはリトアに突進した。ヒッシと摑まると緊張が解けたのだろうか、魔法が切れ、元の大きさに戻った。
「すみません、手数をおかけしました」
「ふん、そう思うのなら早くこっちに来ることだな」
「それは遠慮します」
レイカを後ろに押しやりながらリトアが答える。
「今日はそいつを連れてさっさと帰るがいい」
資料を見ていた咎めはないようだ。嫌悪を含んだ視線を向けられ、レイカはリトアの後ろに隠れた。
「そうそう、最近黒の輩が挙動不審なんだが、何か知らんか?」
「いえ、特には」
「そうか」
キラリと光るメガネの奥から闇が覗いている。底知れない恐怖を感じたレイカはリトア先輩を急かして部屋の外へと出たのだった。
「リトア先輩、あの人は?」
「現生徒会会長で、白の集団のリーダーだよ」
やっぱり、とレイカは思った。怖くなければ、話して情報を得ときたい人物だ。だが、恐怖が勝った。
しかし、収穫もあった。リトアの立ち位置が見えてきたのだ。白の集団と黒の集団どちらのリーダーからも一目置かれた存在で、黒の集団のNo.2と仲良しである。この様子では白の集団のNo.2とも繋がりがありそうだ。
「あの、副会長さんどなたですか?」
「副会長はいないんだ。実質二位というなら会計のカタットさんのことかな」
「どんな人どすか?」
「気になるなら会って見る?今日のお昼一緒にする約束してるから」
「大丈夫なんどすか?」
「懐の広い人だから平気だよ」
レイカが心配しているのはそのことではなかった。
「その点も心配知らないと思うな」
え、と思った時、レイカとリトアは立派なドアの前にいた。表札には情報処理室と書かれている。「失礼します」とドアを開けると・・・見知った顔が超絶不機嫌な表情でレイカを見ていた。先程別れた人が、また目の前に現れた。しかも、時間的にも場所的にも自分達を追い抜かないと出会うことのない人のはずである。レイカの脳は考えるのを止めた。
「レイカ大丈夫?」
「・・・・・・」
「急に人が増えると聞いたが、まさかその小娘ではなかろうな」
高圧的な声が遠くに聞こえる。
「小娘はないでしょう」
「ふん、理由なく気絶する奴等小娘で十分だ」
「ほら、レイカ。彼が会計のカタットさんだよ」
「ふむ、身内か」
自分に尋ねられ、レイカの意識が表層まで戻ってくる。
「は、はい。妹のレイカと言います。よろしゅうお願いします」
「ふむ、礼儀はなっているようだな」
「先程カルットとあったでしょう」
生徒会長の名前だろう。
「ひょっとして一卵性の双子どすか?」
「ふん、ようやくそこにいきついたか」
「御免、校内では有名な話だからもう知ってると思って」
それでリトア先輩は大丈夫と言っていたのか、とレイカは後ろにしっかり隠れてから考える。いくつか質問をしたいが、この様子ではそこまでたどり着けるのは何時になるだろうか。
「で、今日の弁当は何なのだ?」
「五目チラシに挑戦してみました」
リトアが手に持っていた風呂敷を広げ、タッパーの蓋を開けると、甘酸っぱい匂いが辺りに充満する。
「見事だと言っておこう」
「ありがとうございます。はい、レイカも食べるでしょう」
「あ、ありがとうございます」
一口。口の中に広がったのは懐かしいお酢と玄米の味だった。涙が溜まるのがわかる。
「で、我に聞きたいのは何だ?」
「ひゃ」
別の意味で涙が零れた。
「・・・聞きたいことがあるのではなかったのか?」
「あはは、ちょっと訳有りで」
自分の後ろに隠れるレイカの頭をリトアは落ち着かせるようにゆっくりと撫でた。
「でも、聞かないと始まらないでしょう。ほら、頑張って」
視線を合わせると怖いので外しながらレイカは口を開いた。
「リトアお兄ちゃんとどんな関係ですか?」
「恋人だ」
「カタット先輩、冗談が過ぎます」
嘘で即答されてしまった。
「ジョークはさておき、そんなことを調べてどうする?」
「あの、お父さんに報告するのです。お父さんすごく心配していて。そもそもこの学校に入学するのも反対やったからなぁ」
「お前は嫁入りにでもきたのか?」
「違うよ。父が心配性なだけ」
リトアの説明を聞きながら、あれ?っとレイカは思った。レイカの見解からするとリトアは嘘が下手だ。嘘を吐くくらいなら真実を歪曲して伝えるタイプらしい。その割にリトアは言葉をとぎらせることなく紡いでいく。もう少し詰まるかと思った。
「という訳で」
「ふん、貴様らの都合など知ったことか」
自分で聞いておいてそれはないと思う。
「まぁ、同情だけはしてやろう」
・・・悪い人ではないらしい。
「ところで、お兄ちゃんは何故生徒会の手伝いをやっておられるのですか?」
「う~ん、成り行きかな」
レイカは納得した。リトアは流れに逆らえない部類の人なのだ、と。
「ちゃんと食べてはりますか?」
「今食べてるよ」
そんなこと言われても、リトアの身体はクラスメイトと比べても低い小さい薄いのである。他が大きすぎるのかもしれないが、口に運ぶスピードだってカタットの2分の1だ。よく噛むことは消化促進になっていいことなのだが、先輩の食べる量は年頃の男子と比べて少なすぎると思う。元々小食なのかもしれない。
「何でお兄ちゃんがご飯作ってはるの?」
「うん、成り行きだね」
「お兄ちゃん答える気あらへんなぁ」
「御免ね」
兄妹RP中ならポロリと行くかと思ったが、甘かった。頭上から鐘の音が響く。あまりの大きさに全員が耳を塞いだ。
「さて、次の授業の時間となった。リトア、放課後は空けておくように」
「はい」
急なことはいつものことらしい。リトアは2つ言葉で返事を帰した。
「さて、小娘はどうする?授業参観の真似事でもしてみるか?」
「どうしますか?」
「お兄ちゃんの「成り行き」を調べたいんやけど」
「好き勝手歩けばいい」
「うん、いろんな人に話を聞くのはいいことだと思うよ」
2人ともこれ以上情報を落としてはくれないらしい。
二人と別れ、フゥと溜息を吐くとレイカはある人物を思い浮かべた。ロンのことである。無口な彼がどうやって情報を集めているのか。今の自分ならこの謎が解ける気がした。静かな廊下を歩きながらレイカはそんなことを考えていた。簡単に言うなら現実逃避である。いつもならロンがひょっこり現れて情報を落としてくれるのだ。
「やあやあ、レイカちゃん、待ち人かい?」
振り返るとカズが満面の笑みで手を振っていた。
「授業でないんじゃあらへんかったんの?」
「うん、出てないよ」
「じゃあ、なんで学校にいはりますの?」
「ちょっと調査になー。授業でるようになったらできねーし、今の間に」
「うちにも手伝えることありまへんか?」
「生徒会の様子どうだった?」
「何だか慌ただしかったように感じたなぁ。資料室に魔法鍵かける暇があらへんかったくらいに」
「成程、あっちも忙しいのか。祭りのためか、それとも俺の推察が当たったのか」
「何かあったんどすか?」
「よし、それらを踏まえて現状整理しょっか」
パフェおごるぜ、と言われ、レイカはすぐに首を縦に振った。
続く
「失礼します」
授業を終えたリトアがドアを開けた。跳びつこうとしたレイカはガラスに激突した。
「レイカを引き取りに来ました」
「そこにある。勝手に持って行け」
コップを持ち上げるとレイカはリトアに突進した。ヒッシと摑まると緊張が解けたのだろうか、魔法が切れ、元の大きさに戻った。
「すみません、手数をおかけしました」
「ふん、そう思うのなら早くこっちに来ることだな」
「それは遠慮します」
レイカを後ろに押しやりながらリトアが答える。
「今日はそいつを連れてさっさと帰るがいい」
資料を見ていた咎めはないようだ。嫌悪を含んだ視線を向けられ、レイカはリトアの後ろに隠れた。
「そうそう、最近黒の輩が挙動不審なんだが、何か知らんか?」
「いえ、特には」
「そうか」
キラリと光るメガネの奥から闇が覗いている。底知れない恐怖を感じたレイカはリトア先輩を急かして部屋の外へと出たのだった。
「リトア先輩、あの人は?」
「現生徒会会長で、白の集団のリーダーだよ」
やっぱり、とレイカは思った。怖くなければ、話して情報を得ときたい人物だ。だが、恐怖が勝った。
しかし、収穫もあった。リトアの立ち位置が見えてきたのだ。白の集団と黒の集団どちらのリーダーからも一目置かれた存在で、黒の集団のNo.2と仲良しである。この様子では白の集団のNo.2とも繋がりがありそうだ。
「あの、副会長さんどなたですか?」
「副会長はいないんだ。実質二位というなら会計のカタットさんのことかな」
「どんな人どすか?」
「気になるなら会って見る?今日のお昼一緒にする約束してるから」
「大丈夫なんどすか?」
「懐の広い人だから平気だよ」
レイカが心配しているのはそのことではなかった。
「その点も心配知らないと思うな」
え、と思った時、レイカとリトアは立派なドアの前にいた。表札には情報処理室と書かれている。「失礼します」とドアを開けると・・・見知った顔が超絶不機嫌な表情でレイカを見ていた。先程別れた人が、また目の前に現れた。しかも、時間的にも場所的にも自分達を追い抜かないと出会うことのない人のはずである。レイカの脳は考えるのを止めた。
「レイカ大丈夫?」
「・・・・・・」
「急に人が増えると聞いたが、まさかその小娘ではなかろうな」
高圧的な声が遠くに聞こえる。
「小娘はないでしょう」
「ふん、理由なく気絶する奴等小娘で十分だ」
「ほら、レイカ。彼が会計のカタットさんだよ」
「ふむ、身内か」
自分に尋ねられ、レイカの意識が表層まで戻ってくる。
「は、はい。妹のレイカと言います。よろしゅうお願いします」
「ふむ、礼儀はなっているようだな」
「先程カルットとあったでしょう」
生徒会長の名前だろう。
「ひょっとして一卵性の双子どすか?」
「ふん、ようやくそこにいきついたか」
「御免、校内では有名な話だからもう知ってると思って」
それでリトア先輩は大丈夫と言っていたのか、とレイカは後ろにしっかり隠れてから考える。いくつか質問をしたいが、この様子ではそこまでたどり着けるのは何時になるだろうか。
「で、今日の弁当は何なのだ?」
「五目チラシに挑戦してみました」
リトアが手に持っていた風呂敷を広げ、タッパーの蓋を開けると、甘酸っぱい匂いが辺りに充満する。
「見事だと言っておこう」
「ありがとうございます。はい、レイカも食べるでしょう」
「あ、ありがとうございます」
一口。口の中に広がったのは懐かしいお酢と玄米の味だった。涙が溜まるのがわかる。
「で、我に聞きたいのは何だ?」
「ひゃ」
別の意味で涙が零れた。
「・・・聞きたいことがあるのではなかったのか?」
「あはは、ちょっと訳有りで」
自分の後ろに隠れるレイカの頭をリトアは落ち着かせるようにゆっくりと撫でた。
「でも、聞かないと始まらないでしょう。ほら、頑張って」
視線を合わせると怖いので外しながらレイカは口を開いた。
「リトアお兄ちゃんとどんな関係ですか?」
「恋人だ」
「カタット先輩、冗談が過ぎます」
嘘で即答されてしまった。
「ジョークはさておき、そんなことを調べてどうする?」
「あの、お父さんに報告するのです。お父さんすごく心配していて。そもそもこの学校に入学するのも反対やったからなぁ」
「お前は嫁入りにでもきたのか?」
「違うよ。父が心配性なだけ」
リトアの説明を聞きながら、あれ?っとレイカは思った。レイカの見解からするとリトアは嘘が下手だ。嘘を吐くくらいなら真実を歪曲して伝えるタイプらしい。その割にリトアは言葉をとぎらせることなく紡いでいく。もう少し詰まるかと思った。
「という訳で」
「ふん、貴様らの都合など知ったことか」
自分で聞いておいてそれはないと思う。
「まぁ、同情だけはしてやろう」
・・・悪い人ではないらしい。
「ところで、お兄ちゃんは何故生徒会の手伝いをやっておられるのですか?」
「う~ん、成り行きかな」
レイカは納得した。リトアは流れに逆らえない部類の人なのだ、と。
「ちゃんと食べてはりますか?」
「今食べてるよ」
そんなこと言われても、リトアの身体はクラスメイトと比べても低い小さい薄いのである。他が大きすぎるのかもしれないが、口に運ぶスピードだってカタットの2分の1だ。よく噛むことは消化促進になっていいことなのだが、先輩の食べる量は年頃の男子と比べて少なすぎると思う。元々小食なのかもしれない。
「何でお兄ちゃんがご飯作ってはるの?」
「うん、成り行きだね」
「お兄ちゃん答える気あらへんなぁ」
「御免ね」
兄妹RP中ならポロリと行くかと思ったが、甘かった。頭上から鐘の音が響く。あまりの大きさに全員が耳を塞いだ。
「さて、次の授業の時間となった。リトア、放課後は空けておくように」
「はい」
急なことはいつものことらしい。リトアは2つ言葉で返事を帰した。
「さて、小娘はどうする?授業参観の真似事でもしてみるか?」
「どうしますか?」
「お兄ちゃんの「成り行き」を調べたいんやけど」
「好き勝手歩けばいい」
「うん、いろんな人に話を聞くのはいいことだと思うよ」
2人ともこれ以上情報を落としてはくれないらしい。
二人と別れ、フゥと溜息を吐くとレイカはある人物を思い浮かべた。ロンのことである。無口な彼がどうやって情報を集めているのか。今の自分ならこの謎が解ける気がした。静かな廊下を歩きながらレイカはそんなことを考えていた。簡単に言うなら現実逃避である。いつもならロンがひょっこり現れて情報を落としてくれるのだ。
「やあやあ、レイカちゃん、待ち人かい?」
振り返るとカズが満面の笑みで手を振っていた。
「授業でないんじゃあらへんかったんの?」
「うん、出てないよ」
「じゃあ、なんで学校にいはりますの?」
「ちょっと調査になー。授業でるようになったらできねーし、今の間に」
「うちにも手伝えることありまへんか?」
「生徒会の様子どうだった?」
「何だか慌ただしかったように感じたなぁ。資料室に魔法鍵かける暇があらへんかったくらいに」
「成程、あっちも忙しいのか。祭りのためか、それとも俺の推察が当たったのか」
「何かあったんどすか?」
「よし、それらを踏まえて現状整理しょっか」
パフェおごるぜ、と言われ、レイカはすぐに首を縦に振った。
続く
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密
藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。
そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。
しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。
過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる