青春日記～禁断の恋だとしても、忘れられない日常を綴ります～

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僕は二人を少し見届けて、また学校へ向かって歩き出した。

無事に机の中に忘れていた宿題を回収して、学校を出る頃には18時を回っていた。

塾の宿題もあるし、一刻も早く家に帰って課題に手を付けたかった。

早足で歩いていると、何やら少し前の方で人だかりができているのが見えた。

「……何だろう…」

異様な雰囲気に胸騒ぎがして、よく目を凝らしてみた。

すると……


「……渚さん！」

何とそこには、中学生～高校生くらいの男子数人に囲まれている渚さんがいた。

「隼くん……」

明らかに怯えた声で僕の名前を呼んだ渚さんの目からは、大量の涙が流れていた。

そして彼女の右手首を、1人の高校生らしき男子が掴んでいるのが見えた。

彼女を囲っているのは、見るからにガラの悪そうな人たちだった。

「彼女を…離して下さい。」

僕はほとんど無意識のうちに言っていた。

「嫌がってるので…離してあげてください。」

「はぁ？」


僕の言葉に、男子数人が反応して威嚇してくる。

その勢いに、思わず体が固まる。


普段学校で僕をいじめてくる田中くんたちと違って、彼らは明らかに僕より年上だ。

田中くんたちに凄まれるときとは比較にならない恐怖が全身を襲った。

「いきなり離して下さいって言われて『はいそーですか』って言って離す訳ねーだろ！」

「つーかなんなんだ？テメー…この女の知り合いか？」

「同じ学校のクラスメイトです…彼女のことを離さないと、通報しますよ…」

「あ？何してんだテメーこら！」


恐怖と緊張で声を震わせながらも僕がポケットから携帯を出すと、ガラの悪い人たちが一斉にこちらに向かってきた。

「今だよ渚さん！逃げて！」

僕は、一瞬隙ができた渚さんの方に向かって声を上げた。

渚さんは僕の声を聞いた瞬間、全力で走って逃げた。

彼女は陸上の全国大会で優勝するくらいに脚が速い。

そんな彼女に追いつこうと、何人かが走って追いかけるが、彼女は既に少し先にあった民家に助けを求めて入っていった。

「おいテメー離せよこら！邪魔なんだよ！」

「離しませんっ……！」

それでも渚さんを追いかけようとしている人に、僕は全力で縋りついた。

その人は僕の頭を押さえつけて離れようとするが、必死に離れないようにした。

「なんなんだよこのガキ！」

「おい！テメーのせいで逃げられたじゃねえかよクソ！」

仲間の一人が、僕の頭を蹴った。

僕がその場に倒れ込むと、他のメンバーも寄ってきて交互に僕を蹴ったり殴ったりした。

普段学校で殴られたり蹴られたりすることもあったが、やはり相手が中学生以上なこともあって、いつもより一撃一撃が重かった。

段々と意識が朦朧としてくる中、何人か大人たちが駆け寄ってきてくれたのが見えた。

きっと、渚さんももう大丈夫…

彼女はちゃんと逃げて、怪我もしていなければいいけど…

きっと彼女なら逃げ切っただろう。

そんなことを考えているうちに、僕はその場で意識を失った。