財閥のご令嬢の専属執事なんだが、その家系が異能者軍団な件について

水無月彩椰

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学園都市と高等学校

~狙撃科の麒麟児~

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昨日は狙撃科スナイプでの出来事や異世界から訪問者ジグロが来たりと少々慌ただしい1日となった。

『でさー、何でいきなり狙撃の腕を発揮したワケ?シモ・ヘイヘばりに』

朝食を済ました直後、待ってましたとばかりに結衣さんから電話がかかってきたのだ。
その内容は昨日の狙撃科での出来事。

......誰かが結衣さんに言ったんだな。

「分からない。俺は普通に撃ってみただけだ」

長ーい廊下を歩きつつ、俺はスマホ片手に横を見る。視線の先は、水泡を作って遊んでいるお嬢様。

『普通に撃ったらねぇ......サイト無しで100m先の標的をヘッドショット出来るかっての』

「ふーん。そう言えば、片山雫っていう子もやってのけたな。サイト無しのヘッショ」

そう言いつつ、俺はあの時の光景を思い出す。

匍匐。右手は引き金を、左手は銃身を。その腕は全くブレる事なく、固定されているかのようだった。
引き金を引くと、銃弾は右螺旋回転を維持したまま―標的の、頭部へと当たったのだ。

『あぁ、あの子ね。......異能は、「身体強化スポットアップ」身体の各器官の能力を増強させるの。おおかた視力でも上げたんじゃないの?』

「たまげた異能もあるものだよ」

『そうね。じゃあ私は仕事学校行くわ。またね』

結衣さんはそう言うと、電話を切ってしまった。
......身体強化、か。敵に回したくないな。

「ねぇ、志津二。雫って誰?」

「私の後ろの席に座っていた女の子ですよ。蒼色の髪で、ボブカットの子」

「へぇー......いたわね。そんなのも」

「忘れてたんですか!?」

酷い。
気にもしていないのか。

「それよりお嬢様。今日から狙撃科スナイプに入る事になったので」

特攻科アサルトは!?」

「血の気が多い族の巣窟ですね。少なくともあそこだけは入りたくありません。......ほら、準備してきて下さい」

ふてくされているお嬢様に苦笑いしつつ、俺は学校の準備をするように促した。

......さて。
こちらも準備しますか。





「どうしようかな......」

「何が?」

「狙撃銃ですよ。どれにしようかなって」

歩道を歩きつつ、狙撃科から貰ったカタログを見ている。そこには狙撃銃の性能やら構造やらが書かれている。

「......ドラグノフ、モシン・ナガン、M24―バレットM82!?」

対物ライフルまであるのか......!
狙撃科、恐ろしい子。

「何でそんなに詳しいのよ......ガンオタね」

知らないなぁ。
あと、オタクではありません。

「およよ?さいきょーのお二人だぁ!」

......不意に、後ろから声が掛かる。
振り返ってみると、

「おはようございますー」

と、その子が挨拶をしてきた。
一応返しておく。

「......おはようございます。誰ですか?」

誰だ?この女の子。
茶髪のセミロング、身長は俺と同じくらい160cm。特にはっちゃけた風体でもなく、何処にでもいそうな子だ。

「あ、自己紹介がまだでしたね。神凪鈴莉 かんなぎすずりです。異能は湖畔の妖精ミニュエ。......ほら、志津二くんの自己紹介の時に質問した」

「あぁ......」

異能はありますか?
って聞いてきた子だ。

「時に、お二人はどんな関係なんですか?」

「主人と従者です。自己紹介の時にもお話しましたよ」

「そうね。こいつが執事だからね」

女の子―神凪鈴莉は、俺とお嬢様の間に割り込むように入ってくる。
怖いもの知らずだこと。

......ほらお嬢様、顔が怖いです。静まってください。

「そーでしたっけ?てっきりカップルかと」

この子、天然だった!!

「それにしても、主人と従者ですかぁ......鬼畜ですね。どんな事するんですか?ハードSM?」

「そんな性癖は持ち合わせていないので、ご安心を」

天然どころじゃなかったな。
常人とは思考回路が少しばかり違うみたい。この子の場合。

「あ、私は百合です」

「聞いてません!」

......さっきからお嬢様が置いてけぼりじゃないですか。どう反応していいか分からないって顔ですよ、これ。





......朝から何やってんだろうか。俺は。

「もう1回頼むっ!」

「......分かりました」

狙撃棟の狙撃レーンで人型の的を撃っているのだが、誰が計画したのか。『鷹宮志津二vs学園の人々』という題名で(プチ)狙撃大会が行われているのだ。


―事の発端は、30分前に遡る。


一般科目ノルマーレの授業が急遽無くなったので、俺は狙撃科で練習をしようと―ここ、狙撃レーンまで来たワケだ。

受付で銃を借り、しばらくは狙撃に専念出来ていたのだが......
狙撃科のとある人物が、声をかけてきた。

「狙撃の腕で勝負するか?」

と。

聞けば、その人は狙撃においては学園1位の腕を持っているらしい。
断るワケにもいかず、勝負となったのだが。

中々の接戦となった。

さすが学年1位とだけあって、かなりの強者。相手は×4スコープ搭載のM24。
こちらは×4スコープ搭載の、猟銃。
普通ならこちらの敗北は目に見えていた―のだが。



こちらが不正を働いたワケでもない。あちらも異能は使っていない、まさに公平な狙撃勝負。
それなのに、こちらが勝ってしまったのだ。学園1位のランキング保持者に。

そして、それを見ていた他の狙撃科の人が先ほどのタイトルで人を募集し、俺が学園の人々と狙撃大会をする事となったのだ。 

めでたしめでたし。
......となるワケないだろうが。
実際は集中力を食うからかなり苦痛。
精神的に来るものがあるよ。





「えー、鷹宮志津二の絶対半径キリングレンジ―1981mッ!」

「「「おおぉぉぉぉ!!!」」」

観測手の役割をしていた狙撃科の一員が、興奮したような声で叫ぶ。ギャラリーも同様に。

因みに絶対半径とは。
狙撃手がその範囲内なら絶対に標的を仕留められる距離―俺の場合は1981m―の事を言う。
ゴ○ゴ13の絶対半径は1500mくらいだったかな。

「ゴ○ゴ14......」

猟銃を肩にかけて立ち上がる俺の傍らで、同じく立ち上がった雫が呟く。......何だゴ○ゴ14って。

「そんな事を言うなら、雫の方が14でしょう。絶対半径2003mなんですから」

「......異能使わなかったら1051mだから」

屁理屈ですよ、それ。

「志津二、ちょっと来てー」

突然にギャラリーから出てきたのは、

「......結衣さん?」

だった。

「話があるのよ。ここで良いかしら?」

「別に構わないが......話って?」

結衣さんはこちらにてくてくと歩を進め。
すっ......と狙撃銃を指さした。

「鷹宮本部が―アンタをご指名だってさ」
 
「......はぁ?」


~Prease to the next time!
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