財閥のご令嬢の専属執事なんだが、その家系が異能者軍団な件について

水無月彩椰

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学園都市と高等学校

~神童~

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特攻科アサルト、どんな科と思って来てみたは良いが。目の前の光景に目を疑った。

「撃てぇーッ!」

―バッ、バババッ......ドゴォッ!!

「......何だこれ」

「わぁーっ!」

―銃を乱射し、着弾点には土煙が舞う。直後、爆発した。これなんてRPG対戦車砲
見た感じ、銃は普通のアサルトライフル。AK-47かな。恐らく弾薬に火属性の異能を適用させたんだろう。

「やれッ!」

―ゴンッ!!

また違うところでは、対人訓練......なのか?
コンクリの床に柔道の技をキメている人がいる。
......痛そう。そしてどうやったら床にヒビが入るんだ。異能確定だな。

「すごっ......面白そう!」

「正気の沙汰じゃないですよ」

どこをどう見たら面白そうに見えるんだ。
お嬢様の目は節穴になりましたか?

「ここに入るかは保留だなぁ......狙撃科スナイプの見学に行ってきます」

入って僅か1分で入る気が失せる。
アレに入りたいと言うお嬢様はキル厨ですか。

「えー、面白そうなのに。いってらー」

目を輝かせているお嬢様を横目に、俺は特攻棟を後にする。次は狙撃棟だ。

特攻棟から数百メートル先歩いたところ―長方形に伸びている建物が、狙撃棟だ。
自動ドアを通り、受付があったのでそこに行ってみると......狙撃銃を構えた女性が話しかけてきた。

「鷹宮志津二さんですね。見学ですか?」

「えぇ。......なんで私の名前をご存知なのですか?」   

「ここの学園にいる方は、本部と関わりが強い方々ばかりです。故に、結衣さんとも関わりが深いのですよ」

やはりあの人か。
どんだけ俺の事話してるんだよ......

「話がズレましたね。射撃場はあちらですよ」

狙撃銃を射撃場の方角に向け、笑顔で告げてくる。
......怖い。

「ありがとうございます」

一礼しつつ、俺は言われた方に向かった。
トコトコと歩いていたのだが......

「志津二さん」

「はい、何でしょうか?」

......気配のない不思議っ子に話しかけられた。どうやって気配消してるんですかね。

「狙撃科を希望ですか」

「えぇ。あまりにも特攻科が野蛮すぎたので、第1希望は狙撃科です」

さり気なく横についてくる雫。
お嬢様に見つかったらヤバいなぁ。

と考えていたら、射撃場に着いた。
防弾仕様なのか。やけに厚い自動ドアを通り抜けると......あった。狙撃レーンだ。

片膝立ちや匍匐で、狙撃銃を構えている。
狙っているのは数百メートル離れた人型の的だ。

―タァンッ!

乾いた銃声を響かせて、銃弾は一直線に的へと飛来していく。そして......バシュッ!見事に頭を狙撃した。

「よう、新入りか?」

入り口のところでいつまでも立っているのを不審に思ったのか、ただ単に入科希望者だと思ったのか。
男の人が声をかけてきた。

「えぇ。狙撃科希望です」

「......私も」

その人はそうかそうか、と笑うと、俺の顔をマジマジと見つめてきた。
この人、体格いいな。身長は185といったところか。大口径の狙撃銃なら簡単に扱えそうだ。

「な、何でしょうか?」

「結衣から聞いてるぞ。異能を持たない本家筋関係者だってな?......まぁ、ウチは異能があろうがなかろうが狙撃の腕が問題だから大丈夫べ」

と言うと、頭をがっしりと鷲掴み。
そして、ぐしゃぐしゃと撫でてきた。

......やはり、結衣さんの影響力がすごい。

「あら、志津二くんに雫ちゃん......でしょ。良かったら撃ってかない?」

「良いんですか?」

「もちろん」
 
奥から歩いてきた女の人。
やはり俺の事を知っていた。

肩に担いでいるのは、一見華奢な狙撃銃。
確か......

「「......モシン・ナガンM28」」

俺と雫が同時に呟く。

「あら、知ってるのね。珍しい」

「何故か昔から詳しかったんですよねぇ」

「......元々知ってたから」

あのシモ・ヘイヘが愛用していた狙撃銃だ。

「そうなの。じゃあ―撃ってみようか」

そう言うと、狙撃レーンの方に俺たちを誘導する。
「取り敢えず撃ってみて」との事だった。

まずは俺からと言うので、片膝立ちになり、左手を引き金トリガーに、右手で銃身を支える。
ボルトアクション式で、倍率サイトは無し。  
......シモ・ヘイヘか。

コッキングをし、呼吸を止める。
狙いは人型の的の頭部。距離はおよそ100m。
使用銃弾はゴム弾。

極限まで集中し、狙いを定める。
一瞬が永遠とまで感じる中、ゆっくりと引き金を引いた。

―ダンッ!

重厚な銃声が響く。
銃弾は右回り螺旋回転を維持して、100m先―その、的の頭部。中央を撃ち抜いた。

コッキングして、空薬莢を排出する。

「......100m先―ヘッドショット確認です」

双眼鏡を覗きつつ、隣にいた雫が淡々と告げる。
その言葉に、ここにいる全員が騒然とした。

「何だと......サイト無しでか!?」

「異能が無い代わりに銃の腕前が高かったのか!」

「シモ・ヘイヘが降臨した......!」

あー、もう。

「ち、ちょっとお静かに!偶然かも知れませんので、もう1回......」



と言う事で、第2ラウンド。

距離はさっきと同じ100m。サイトは無し。
神経を研ぎ澄まし、的を狙う。

そして。静かに、引き金を引いた。

―ダンッ!

沈黙を掻き消すように、銃声が鳴り響く。
その、軌道は......

「......ヘッドショット確認」

またもや、頭部だった。

雫の一言で、また騒然......いや。
狙撃棟が、歓喜の嵐に包まれる。

「すごいじゃねぇか、志津二!生けるシモ・ヘイヘだな!」

「変な事言わないで下さいよ。ですが......決めました。ここに入る事にします」

先輩を見上げつつ、俺は笑顔で告げる。
そして、

「なら、狙撃銃買わないとだな。この学科じゃあ狙撃手の腕で免除される金額が決まるんだ。お前の腕なら半額はいけるぞー」

と言ってきた。
さらに、

「学科別ランキング戦は上位間違いなしねぇ」

と。

「何ですか、それ?」

「その時に教えるわよ」

......何か。撃ってみたらシモ・ヘイヘと言われるし、妙に期待はされてるし。

そんなにあれなのか。俺は。

そんなこんなで嬉々乱舞している中、雫1人だけは冷静に立っていた。感情を感じさせないその顔で。

「雫、撃ってみるかい?」

「......はい」

雫は匍匐。アイアンサイトのみで、的の頭部を狙っている。銃身を支える左手は、微塵も動かない。

数秒後。

―ダンッ!

双眼鏡で弾痕を確認した俺は、静かに告げる。

「......倍率サイト無しの、ヘッドショットを確認しました」


~Prease to the next time!
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