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4章 中等部後期~高等部~
4-17 その影響力は知られなくとも
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‥‥‥エルスタン帝国の周辺には、いくつかの国々がある。
小国が集まっている小国群だったり、普通に大きめの王国やエルスタン帝国とは違う帝国、聖国、共和国、民主国‥‥‥国という形態であれば、何かと遭ったりするのだ。
大きい帝国とはいえ、それでも各国と歩みをそろえたり、属国にしてもある程度の自主性を与えて適度に治めさせたりはするのだが、それで特に大きな文句を言うところはない。
むしろ、帝国の庇護下にあったほうが、その前の時の生活に比べて楽になる国々も多く、自らの国を渡したほうが国民のためにいいのではないかと思う上層部の人がいる国もあるだろう。
けれども逆に、そんな大国と付き合いたくもなく、その広大な領地などを狙って戦争を仕掛けようと無謀な試みをする国々も存在しているのだが‥‥‥‥とある国は今、挑む前から座礁に乗り上げていた。
「…‥‥予定していた数よりも、兵士の集まりが悪すぎるのだが」
「半分も行かないというか、3分の2いや、4分の1にすら届くのかどうか…‥‥」
「何故だ、戦争を仕掛けようという時点では誰もがやる気だったはずなのに、どうしてこうなっている?」
エルスタン帝国からやや離れたところに位置するエールケイ軍事国。
その国のトップたちは今、貴族や平民たちから集めた兵士たちを数えていたのだが…‥‥その数の少なさに首をかしげていた。
「おかしい、大勢が賛同していたはずなのに、どうして誰も出してこないのだ!!」
「大半の理由が、『やっぱり無謀なのでやめた』、『やる気が失せた』などが多いですが…‥‥」
この兵士が集まらない状況に、兵士たちをまとめるはずであったこの国の将軍たちが怒声を上げる中、とある報告も上がってくる。
「それと、他にも気になるのと言えば、『白き蜘蛛の姫を調べてた末に、やめることにした』、『あの姫様の笑顔を失わせるのは大きな罪になるのでは?』、『人の道を踏み間違えそうであったが、話を聞いて正すことにした』、『欲しいのだが…‥‥しかし、幸せを奪う卑怯者になりたくなかった』などがあります」
「白き蜘蛛の姫だと?」
「ああ、あれか。帝国を攻めるうえで、気になっていた情報のか」
報告を聞き、彼らはその相手が誰なのか直ぐに気が付く。
‥‥‥帝国への宣戦布告も視野に入れている中、様々な情報を集めると出て来た存在。
名前はハクロといい、ソレはソレは美しい美女のようでありつつ蜘蛛のモンスターでもあり、その美しさは天上の神々すらもひれ伏し、その笑顔はありとあらゆるものを救う。
しかも、ただ美しいだけではなくその実力もまた人並外れており、最近では空も飛行してしまったなどという話もあり…‥‥帝国を攻めるうえで障害になる可能性があると、軍事国の者たちは判断した。
どうしたものかと考え、実際に調べたほう直ぐに分かりそうであり、場合によっては捕らえてこちらの戦力にできないかと考えたりもしたのだが‥‥‥‥
「‥‥‥その調査をしていると、あっと言う間に彼女とは争いたくないという意見がのぼりました。しかも、そのありようの一部を知って、自身の行いを悔いて国から離脱する者もいるようです」
「何がどうしてそうなった」
「本当になんでそんなに変わった」
「裏切り者を普通に出してしまうとは‥‥‥‥もしや、その情報自体が我が国から戦力を削ぐための帝国の罠だったのではないか?」
白き蜘蛛の姫という存在によって、兵士たちが集められなくなったのは手痛い損失。
ならば、この国に引き込めれば一気に集められそうなものなのだが‥‥‥‥それはできないようだ。
「誘拐してとらえれば良いのでは?」
「いや、それができないのだろう。実力も持っている相手だし‥‥‥」
「それに、以前にも誘拐された話があり、密かに周辺の警備が厳重にされているという話もあるようだ」
手に入れられないのであれば、どうするべきか?
ならば、邪魔なので暗殺という手段も手かと思ったが、そもそも実力があり過ぎる時点で不可能に近い。
「…‥‥もしや、既にこうなる状況を帝国は読んでいたのか?」
「我々が攻める前に情報を与えて、罠にかけたのだろうか?」
「恐るべし、エルスタン帝国‥‥‥‥」
自分達の望まぬ状況になっている現状が、エルスタン帝国の手のひらの上で踊らされているだけに思えてしまう。
それでもなお、攻める気力は残っているのだが‥‥‥‥これが彼らにとって最後に引き返せる機会だったというのに、放棄してしまうのであった‥‥‥‥
‥‥‥愚者が帝国とは関係のない者たちの手の上で踊らされているとも気が付かない丁度その頃。
帝国の学園内では、ある授業が行われていた。
「…‥‥ふむ、パッチ検査では‥‥‥うん、強い。これなら大丈夫でしょう」
「そうですか?」
「ああ、変わらないのであれば、加減さえ知れば大丈夫なはずだ」
授業で行われていたのは、アルコールパッチ検査が行われており、アルスも含めた生徒たちが受けていた。
貴族としての授業もある中で、とある授業の前に行うことになっているパッチ検査の授業。
これはどうやら過去の転生者が大体は同じ理屈で作り上げた検査方法であり、お酒に関して強いかどうかを調べるものである。
というのも、貴族の嗜みの中にはお酒を飲む類もあり、それがどの様なものなのか把握することや、酒を特産品として生み出す貴族たちもいるので、ある程度飲みに関する知識が必要なこともあった。
そのため、酒に関しての授業が存在するのだが‥‥‥‥どうしても飲めない人や、あるいは酷い酒癖の人なども存在しており、無理に呑ませては大問題しか起きないのが目に見えている。
そこでこのパッチ検査が開発されるとすぐに授業に組み込まれ、こうして酒に対してどの程度強いのかなどを図る授業が出来たのだ。
なお、何も酒ばかりではなく、その他のアレルギー検査なども含めており、万が一に備えて自分がどの程度何に強いのか、逆に何に弱いのかを知ることが出来るので、無理に合わせた付き合いをしなくても済むことが出来るという評判もあった。
「とは言え、飲む機会はそうそうないけど…‥‥ハクロも強いのかな?」
【キュル、そうみたい】
ちゃっかりハクロも参加しており、彼女の結果も酒に強いことが示されていた。
まぁ、モンスターと人とでは酒に対する強さは分からない点もあるが‥‥‥一応、飲めることは飲めるようである。
ただし酒癖に関しては不明であり、こちらは本当に希望する人だけが受けるものでもある。
酒癖にも、酒乱、泣き上戸、笑い上戸などがあるからね…‥‥人前で変な醜態をさらしたくないので、受けたくない人も多いようだし、酔いまくるほどの向きが無い人もいるようだ。
【でも、私受けて見ようかな?酒癖、気になるもん】
「ハクロの酒癖ねぇ…‥‥あるのかな?」
想像してみても、出てくるイメージは笑い上戸な姿ぐらい。
泣き上戸に怒り上戸、下戸なんかは想像できないし‥‥‥‥すごい変なものは無さそうだ。
とは言え、人は何かしら妙な癖を持っていることもあり、こういうことで彼女の変な部分が出そうな気もするのだが…‥‥うーん、ちょっと見て見たい自分がいるかも。
後で醒めた時に思い出して、その醜態で死ぬほど恥ずかしがりそうな気もする。恥ずかしがるハクロ‥‥‥あ、これはこれで需要があるかも。
とにもかくにも、気になるのであれば受けて見ればいい。
一応、この検査に関しては無理やり酔うほどのお酒を飲むのではなく、あくまでも酔った気分になるだけの特殊な薬を飲むのであり、解毒薬があるので即座に醒めさせることが出来る。
そう言う訳で、ハクロは挑んだのだが‥‥‥‥予想とは違えども、彼女の事を考えれば自然な結果が出てきてしまった。
【キュルルルル!!アルス、アルス、大好き好き好き!!】
「‥‥‥これ、どういう酒癖?」
薬を飲んで数分後、酔ったかと思えば目にもとまらぬ速さで動き、僕を即座に抱き占めるハクロ。
そしてすりすりと頭を擦り寄らせつつ、僕を離す気がないと強く主張するかのようにしっかりと抱え込みつつ、笑顔でそう口にしまくる。
笑い上戸のような、何か違うような…‥‥独占型笑い上戸?いや、良い表現が思いつかないなぁ。
何にしても滅茶苦茶甘えてきており、止めるための解毒薬を人に持ってきてもらっても即座に離れ、二人だけでいたがるハクロ。
【アルス、私の好きな人、大好きな人、一緒にいたいのー!!】
どうやら、酔いによって甘えたい欲求の方が思いっきり爆発したらしく、醒めるまでずっと彼女に確保されたまま、甘えられまくるのであった…‥‥‥
‥‥‥そして醒めた後、自分の欲求爆発の姿をしっかり覚えているせいか、羞恥心で白い身体が真っ赤に染まり、しばらく糸で作った密室に籠ってしまったのは言うまでもない。
「そんなに恥ずかしかったのかな?」
【キュルゥ、私、アルス好きだけど、やり過ぎた気がして…‥‥キュルルル‥‥‥‥】
小国が集まっている小国群だったり、普通に大きめの王国やエルスタン帝国とは違う帝国、聖国、共和国、民主国‥‥‥国という形態であれば、何かと遭ったりするのだ。
大きい帝国とはいえ、それでも各国と歩みをそろえたり、属国にしてもある程度の自主性を与えて適度に治めさせたりはするのだが、それで特に大きな文句を言うところはない。
むしろ、帝国の庇護下にあったほうが、その前の時の生活に比べて楽になる国々も多く、自らの国を渡したほうが国民のためにいいのではないかと思う上層部の人がいる国もあるだろう。
けれども逆に、そんな大国と付き合いたくもなく、その広大な領地などを狙って戦争を仕掛けようと無謀な試みをする国々も存在しているのだが‥‥‥‥とある国は今、挑む前から座礁に乗り上げていた。
「…‥‥予定していた数よりも、兵士の集まりが悪すぎるのだが」
「半分も行かないというか、3分の2いや、4分の1にすら届くのかどうか…‥‥」
「何故だ、戦争を仕掛けようという時点では誰もがやる気だったはずなのに、どうしてこうなっている?」
エルスタン帝国からやや離れたところに位置するエールケイ軍事国。
その国のトップたちは今、貴族や平民たちから集めた兵士たちを数えていたのだが…‥‥その数の少なさに首をかしげていた。
「おかしい、大勢が賛同していたはずなのに、どうして誰も出してこないのだ!!」
「大半の理由が、『やっぱり無謀なのでやめた』、『やる気が失せた』などが多いですが…‥‥」
この兵士が集まらない状況に、兵士たちをまとめるはずであったこの国の将軍たちが怒声を上げる中、とある報告も上がってくる。
「それと、他にも気になるのと言えば、『白き蜘蛛の姫を調べてた末に、やめることにした』、『あの姫様の笑顔を失わせるのは大きな罪になるのでは?』、『人の道を踏み間違えそうであったが、話を聞いて正すことにした』、『欲しいのだが…‥‥しかし、幸せを奪う卑怯者になりたくなかった』などがあります」
「白き蜘蛛の姫だと?」
「ああ、あれか。帝国を攻めるうえで、気になっていた情報のか」
報告を聞き、彼らはその相手が誰なのか直ぐに気が付く。
‥‥‥帝国への宣戦布告も視野に入れている中、様々な情報を集めると出て来た存在。
名前はハクロといい、ソレはソレは美しい美女のようでありつつ蜘蛛のモンスターでもあり、その美しさは天上の神々すらもひれ伏し、その笑顔はありとあらゆるものを救う。
しかも、ただ美しいだけではなくその実力もまた人並外れており、最近では空も飛行してしまったなどという話もあり…‥‥帝国を攻めるうえで障害になる可能性があると、軍事国の者たちは判断した。
どうしたものかと考え、実際に調べたほう直ぐに分かりそうであり、場合によっては捕らえてこちらの戦力にできないかと考えたりもしたのだが‥‥‥‥
「‥‥‥その調査をしていると、あっと言う間に彼女とは争いたくないという意見がのぼりました。しかも、そのありようの一部を知って、自身の行いを悔いて国から離脱する者もいるようです」
「何がどうしてそうなった」
「本当になんでそんなに変わった」
「裏切り者を普通に出してしまうとは‥‥‥‥もしや、その情報自体が我が国から戦力を削ぐための帝国の罠だったのではないか?」
白き蜘蛛の姫という存在によって、兵士たちが集められなくなったのは手痛い損失。
ならば、この国に引き込めれば一気に集められそうなものなのだが‥‥‥‥それはできないようだ。
「誘拐してとらえれば良いのでは?」
「いや、それができないのだろう。実力も持っている相手だし‥‥‥」
「それに、以前にも誘拐された話があり、密かに周辺の警備が厳重にされているという話もあるようだ」
手に入れられないのであれば、どうするべきか?
ならば、邪魔なので暗殺という手段も手かと思ったが、そもそも実力があり過ぎる時点で不可能に近い。
「…‥‥もしや、既にこうなる状況を帝国は読んでいたのか?」
「我々が攻める前に情報を与えて、罠にかけたのだろうか?」
「恐るべし、エルスタン帝国‥‥‥‥」
自分達の望まぬ状況になっている現状が、エルスタン帝国の手のひらの上で踊らされているだけに思えてしまう。
それでもなお、攻める気力は残っているのだが‥‥‥‥これが彼らにとって最後に引き返せる機会だったというのに、放棄してしまうのであった‥‥‥‥
‥‥‥愚者が帝国とは関係のない者たちの手の上で踊らされているとも気が付かない丁度その頃。
帝国の学園内では、ある授業が行われていた。
「…‥‥ふむ、パッチ検査では‥‥‥うん、強い。これなら大丈夫でしょう」
「そうですか?」
「ああ、変わらないのであれば、加減さえ知れば大丈夫なはずだ」
授業で行われていたのは、アルコールパッチ検査が行われており、アルスも含めた生徒たちが受けていた。
貴族としての授業もある中で、とある授業の前に行うことになっているパッチ検査の授業。
これはどうやら過去の転生者が大体は同じ理屈で作り上げた検査方法であり、お酒に関して強いかどうかを調べるものである。
というのも、貴族の嗜みの中にはお酒を飲む類もあり、それがどの様なものなのか把握することや、酒を特産品として生み出す貴族たちもいるので、ある程度飲みに関する知識が必要なこともあった。
そのため、酒に関しての授業が存在するのだが‥‥‥‥どうしても飲めない人や、あるいは酷い酒癖の人なども存在しており、無理に呑ませては大問題しか起きないのが目に見えている。
そこでこのパッチ検査が開発されるとすぐに授業に組み込まれ、こうして酒に対してどの程度強いのかなどを図る授業が出来たのだ。
なお、何も酒ばかりではなく、その他のアレルギー検査なども含めており、万が一に備えて自分がどの程度何に強いのか、逆に何に弱いのかを知ることが出来るので、無理に合わせた付き合いをしなくても済むことが出来るという評判もあった。
「とは言え、飲む機会はそうそうないけど…‥‥ハクロも強いのかな?」
【キュル、そうみたい】
ちゃっかりハクロも参加しており、彼女の結果も酒に強いことが示されていた。
まぁ、モンスターと人とでは酒に対する強さは分からない点もあるが‥‥‥一応、飲めることは飲めるようである。
ただし酒癖に関しては不明であり、こちらは本当に希望する人だけが受けるものでもある。
酒癖にも、酒乱、泣き上戸、笑い上戸などがあるからね…‥‥人前で変な醜態をさらしたくないので、受けたくない人も多いようだし、酔いまくるほどの向きが無い人もいるようだ。
【でも、私受けて見ようかな?酒癖、気になるもん】
「ハクロの酒癖ねぇ…‥‥あるのかな?」
想像してみても、出てくるイメージは笑い上戸な姿ぐらい。
泣き上戸に怒り上戸、下戸なんかは想像できないし‥‥‥‥すごい変なものは無さそうだ。
とは言え、人は何かしら妙な癖を持っていることもあり、こういうことで彼女の変な部分が出そうな気もするのだが…‥‥うーん、ちょっと見て見たい自分がいるかも。
後で醒めた時に思い出して、その醜態で死ぬほど恥ずかしがりそうな気もする。恥ずかしがるハクロ‥‥‥あ、これはこれで需要があるかも。
とにもかくにも、気になるのであれば受けて見ればいい。
一応、この検査に関しては無理やり酔うほどのお酒を飲むのではなく、あくまでも酔った気分になるだけの特殊な薬を飲むのであり、解毒薬があるので即座に醒めさせることが出来る。
そう言う訳で、ハクロは挑んだのだが‥‥‥‥予想とは違えども、彼女の事を考えれば自然な結果が出てきてしまった。
【キュルルルル!!アルス、アルス、大好き好き好き!!】
「‥‥‥これ、どういう酒癖?」
薬を飲んで数分後、酔ったかと思えば目にもとまらぬ速さで動き、僕を即座に抱き占めるハクロ。
そしてすりすりと頭を擦り寄らせつつ、僕を離す気がないと強く主張するかのようにしっかりと抱え込みつつ、笑顔でそう口にしまくる。
笑い上戸のような、何か違うような…‥‥独占型笑い上戸?いや、良い表現が思いつかないなぁ。
何にしても滅茶苦茶甘えてきており、止めるための解毒薬を人に持ってきてもらっても即座に離れ、二人だけでいたがるハクロ。
【アルス、私の好きな人、大好きな人、一緒にいたいのー!!】
どうやら、酔いによって甘えたい欲求の方が思いっきり爆発したらしく、醒めるまでずっと彼女に確保されたまま、甘えられまくるのであった…‥‥‥
‥‥‥そして醒めた後、自分の欲求爆発の姿をしっかり覚えているせいか、羞恥心で白い身体が真っ赤に染まり、しばらく糸で作った密室に籠ってしまったのは言うまでもない。
「そんなに恥ずかしかったのかな?」
【キュルゥ、私、アルス好きだけど、やり過ぎた気がして…‥‥キュルルル‥‥‥‥】
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