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第六章 揺れる大地
閑話休題 名前
しおりを挟むこれははカレンがまだ人としてこの世界に存在していた頃の話。
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「やっぱり名前くらい決めた方がいいかな?」
エディが持ってきた着替えをホムンクルスが着るのを待ちながらカレンは思い付いたように話す。
「まあホムちゃんじゃ女の子みたいだしな? っか、なんで男にしたんだよ、女にすりゃよかっただろ?」
「私も女の子の方が良かったんだけど、何故か男の子になっちゃったんだよね、一度人の形にすると戻せないから最初困ったんだよ? まぁ仕事の手伝いさせるには力があるから男の子の方が便利だけど」
ホムンクルスはもたもたとシャツのボタンを留める、その手つきは辿々しくつい手伝いたくなるが、そこはぐっと我慢し見守る。
「仕事の手伝いなら普通に雇えばいいだろ?」
「それは出来ない、錬金術のレシピが流出しちゃうじゃん! まだたんまりと稼ぐ予定なんだから! んーどんな名前がいいかな! 唸れ私の天才の頭脳!」
「まだ稼ぐ気か?! お前のネーミングセンスってなんか酷そうな気がする、名前付けたことあんの?」
「……え、一応あるよ? 薬の名前とか決めたり色々とね、さて何にしよっかなー! お、似合うじゃん」
エディが持ってきたのは予備の騎士服で、エディの物の為に少々大きいがよく似合っていた。
「明日にでも服を手配するか、流石に騎士でもないのにそれを着せ続ける訳にもいかないしな」
「そだね、動きやすく作業しやすいものでよろしく! あと絵本とか用意してもらっていい? 文字教えなきゃいけないし、言葉も教えなきゃ……」
「え、話せるようになるの?」
「なるよ? 文字も読めるようになると記述されていたし、どの程度の知能がつくかはわからないけど、受け答えくらいはできるはず、古書だから詳細な部分まではわからないんだけどね……」
「……よくわからないって、ホムンクルスってどうやって作ったんだ?」
「ん? フラスコに私の血液とか髪の毛とか色々入れて作ってるよ? だからこの子ってほぼ私」
「え、でも男だろ?」
「うん、なんでだろう?」
「自分の胸に手を当てて聞いてみ?」
「は?」
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こちら公開予定はなかった閑話のお話ですが、日頃の感謝を込めて公開致しました。
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