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第ニ章 英雄の少女

81 苦言

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 エルザに言われたからではなく確かにオスカーからの過干渉や行動制限は最近は度を越して厳しいなと思ってはいた。

 それもまあ仕方ないかと諦めていたけど、私に来た手紙や招待状まで全て無断で開封するようになって。

 さすがに女の子の手紙を勝手に開けちゃうのはダメでしょう? と、何この糞親父は、と思って。

 それにちょっと行きたい所も出てきたので、私はいざというときは動けるいい女なので。
 
「オスカー? 流石にね勝手に手紙を開封するのはダメだよ?」

「カレンお嬢様……ですが!」

「オスカー? 私は貴方の所有物ではないし、貴方の命令を聞く義務は私にはないし、貴方をいつでも気分次第で辞めさせられる事もできるんだよ? 知っているでしょう?」

「っ! ……申し訳ございません」

 私に指摘され苦虫を噛み潰したような表情になる。

 こんなこと本当は、言いたくはないんだけども。
 
「心配をしてくれてるのもわかるけれど、これからは気をつけてね……? 流石にね、ママの友人をこんなに早くクビにはしたくないからね?」

「……はい、かしこまりました。」

「と、いうことでこの話は終わり! さてさて、招待状の中にあったこの狩猟大会に明日、私は行きたいと思います! 魔獣を討伐し新鮮な素材を持ち帰りたい!」

「そんな! 危ないです!」

「オスカー?」

「っあ、申し訳ございません」

「これは聞いた所によるとその辺のご令嬢でも現地に行って応援したりするようなモノで比較的安全らしいので私が行っても問題ないと聞きました。これは決定です! 手配よろしくお願いしますね」

「……かしこまりました」

 久しぶりに自分で材料調達できると思うと胸が高鳴るのがわかる。

 こちらに来てから自由など殆ど無くなり薬草ですら採取にいけなくなってしまった。

 イクスに居たときはめんどくさいな、嫌だなと思っていた材料調達がこんなにもやりたいと思うようになるなんて、人間って不思議。

 但し、皇太子? 今は国王か? とか私の双子の妹も来るらしいが……。

 ま、そこはほら! ……欲望には勝てないのである。

 ここに、もしエディが居たらまた欲望に忠実に等言われてそうだなと、思った。 



「王女殿下の護衛ですか……?」

「そう、皇女の。明日からの狩猟大会でオースティンにどうしてもと……王女殿下からのご希望でな?」

「王族の護衛は……貴方達、白の騎士団の領分でしょう? なぜ私が?」

「そこはほら……君、王女様の降嫁先候補だし?」

「……それはだいぶ前にお断りしております。誰とも婚姻するつもりもなければ家も妹に婿取りさせて継がせる手筈で……」

「でも……ほら、王女様諦めてないから! この大会で君にアピールする気だから! 必死だから! モテる男は辛いね? がんばれ!」

「……他人事だと思ってますよね? ジョーンズ」

「狩猟大会だけでいいから! 頼まれてくれよ? どうしてもって五月蝿いんだよ馬鹿王女が……。ほんと我が儘姫にはホント疲れるわ……! もうさっさと嫁に行ってくれないかな?」

「それを押し付けようとしないで下さいよ? あれ……苦手なんですって」

「大丈夫、私も、皆も苦手だから! 好きなヤツなんていないと思う!」

 
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