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〜帰路〜
二杯目
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「何か…誰かから連絡があったとか…?」
「あ… えっと… 」
なんと、言おう…
一瞬、迷いが生じる。
でも、今この場をなんとか誤魔化せたとしても、空港では間違いなく、杉崎さんと拓海は顔を合わせることになる…
もはや、隠しても仕方ない…
「あの… 実は…」拓海が来ていることを私が口にしようとした瞬間、
「彼氏…かな…? 何か、連絡があったとか…?」
「あ… … 」
杉崎さんが、ゆっくりとした仕草で紅茶のカップをソーサーの上に置く。
「やっぱり、か… なんだか、そんな気がしたんだ…君の、なんとなく浮かない顔を見て…」
「… … … 」何も、言えなくなる…
「それで…彼氏はなんて…?」
杉崎さんの視線が、私に真っすぐに注がれる…。
「あの… えっと、実は… …」
彼氏が…拓海が、私の家の前に来ている…来ていた…
そして、空港まで、わざわざ迎えにくるという…
ただ、そう言えば良い…
「あの…実は、彼が… 」
「あ…もちろん、言いたくない話だったら言わなくていいよ…ごめん、強引だったね…」
「いえ、そんなことはないです…あの、実は…拓海が…彼が…こっちに…いえ、私の家に…来ていたみたいで…」
「え……?」杉崎さんが、少し…驚いたのがわかった。
「あの…本当にいきなりで…こんなことは初めてなんですけど、さっき、着いたよって連絡があって…」
「… … …」
「鍵も持っていないし、部屋には入れないからどこかで時間を潰すって言われて…それで少しだけ動揺してしまって…あの…だから、さっきは変な態度を取ってしまってすみません… 」
「… … へえ … …」
「空港にも、迎えに来るって言われて… 」
それ以上聞かれてもいないのに、私はそう補足した。
「そっか… … … 彼が… …」
杉崎さんがそれきり、静かになってしまった。
杉崎さんは無言で再び紅茶のカップを優雅な仕草で手に取り、口元へ運ぶ。
その後の彼の言葉に、思わず、心臓が跳ね上がりそうになった…。
「それで… 彼… 彼氏は今夜…水無月さんの家に、泊るの… ?」
「え… … ? えっと、…」それはもちろん、そうだ… さすがに、今日の今日で、追い出せない…
「はい…多分… 今日はそう、なる…かと… 」
嘘はつけない…
いきなり、別れを告げて…今日は泊らないで欲しいなどと、福岡から遥々来た拓海に、言えるはずもない…。
「… そっか… … 」杉崎さんは、そう、一言だけ答えた。
「あの…杉崎さん… ?…」
杉崎さんにどう思われているのか少し不安になった私は、言葉を続けようとした。
だけど、すぐに杉崎さんの言葉に阻まれる…。
「…そうそう…さっきまた水無月さん、謝ったね…これで、キス、二回分…楽しみだな…」
「えっ…!?」
「… ま、… 次回のお楽しみにしとくよ… さ、まだまだ時間はある…紅茶のお代わりはどうかな…?」
杉崎さんはそれきり、拓海の話には一切触れずに、
いつものように、私に向かってふわりと微笑んだ。
「あ… えっと… 」
なんと、言おう…
一瞬、迷いが生じる。
でも、今この場をなんとか誤魔化せたとしても、空港では間違いなく、杉崎さんと拓海は顔を合わせることになる…
もはや、隠しても仕方ない…
「あの… 実は…」拓海が来ていることを私が口にしようとした瞬間、
「彼氏…かな…? 何か、連絡があったとか…?」
「あ… … 」
杉崎さんが、ゆっくりとした仕草で紅茶のカップをソーサーの上に置く。
「やっぱり、か… なんだか、そんな気がしたんだ…君の、なんとなく浮かない顔を見て…」
「… … … 」何も、言えなくなる…
「それで…彼氏はなんて…?」
杉崎さんの視線が、私に真っすぐに注がれる…。
「あの… えっと、実は… …」
彼氏が…拓海が、私の家の前に来ている…来ていた…
そして、空港まで、わざわざ迎えにくるという…
ただ、そう言えば良い…
「あの…実は、彼が… 」
「あ…もちろん、言いたくない話だったら言わなくていいよ…ごめん、強引だったね…」
「いえ、そんなことはないです…あの、実は…拓海が…彼が…こっちに…いえ、私の家に…来ていたみたいで…」
「え……?」杉崎さんが、少し…驚いたのがわかった。
「あの…本当にいきなりで…こんなことは初めてなんですけど、さっき、着いたよって連絡があって…」
「… … …」
「鍵も持っていないし、部屋には入れないからどこかで時間を潰すって言われて…それで少しだけ動揺してしまって…あの…だから、さっきは変な態度を取ってしまってすみません… 」
「… … へえ … …」
「空港にも、迎えに来るって言われて… 」
それ以上聞かれてもいないのに、私はそう補足した。
「そっか… … … 彼が… …」
杉崎さんがそれきり、静かになってしまった。
杉崎さんは無言で再び紅茶のカップを優雅な仕草で手に取り、口元へ運ぶ。
その後の彼の言葉に、思わず、心臓が跳ね上がりそうになった…。
「それで… 彼… 彼氏は今夜…水無月さんの家に、泊るの… ?」
「え… … ? えっと、…」それはもちろん、そうだ… さすがに、今日の今日で、追い出せない…
「はい…多分… 今日はそう、なる…かと… 」
嘘はつけない…
いきなり、別れを告げて…今日は泊らないで欲しいなどと、福岡から遥々来た拓海に、言えるはずもない…。
「… そっか… … 」杉崎さんは、そう、一言だけ答えた。
「あの…杉崎さん… ?…」
杉崎さんにどう思われているのか少し不安になった私は、言葉を続けようとした。
だけど、すぐに杉崎さんの言葉に阻まれる…。
「…そうそう…さっきまた水無月さん、謝ったね…これで、キス、二回分…楽しみだな…」
「えっ…!?」
「… ま、… 次回のお楽しみにしとくよ… さ、まだまだ時間はある…紅茶のお代わりはどうかな…?」
杉崎さんはそれきり、拓海の話には一切触れずに、
いつものように、私に向かってふわりと微笑んだ。
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