【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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~日常~

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「…はあっ…」

自宅のドアを開け、私はバッグを床に置いてすぐにベッドに倒れ込んだ… 

長い… 長過ぎる一日だった…

杉崎さんとの船の上での素敵なディナー…

食事をしてから、デッキに出て… …
それから、 タクシーで… ホテルへ… 

信じられない…
いまだに、全てが…夢だったんじゃないかと思わせるほどに現実味がない…

でも、目を閉じると思い出す…思い出せる…。

杉崎さんの、滑らかな肌… 綺麗な鎖骨… 長い指…
割れた腹筋と…そこに続く…  杉崎さんの… 欲望の証…  

薄暗くてもやっぱり、見えてしまった…

凄く逞しいそれ…  
堅くて、熱かった…
ドクドクと脈動しているそこに触れただけで、身体の奥底が、疼くような…
たまらない気持ちになった…

今朝、別れ際に杉崎さんが抱き締めてくれた時に気付いてしまった…
杉崎さんのそこが、熱いその部分が… 堅く、なっていた…  
ぎゅっと抱き締められたため… 私の身体に、押し付けられるかのように…

全然、嫌じゃなかった… むしろ嬉しかった…
あんなに素敵で、魅力的な杉崎さんが…こんな私に対し…そんな風に…欲情してくれていたことに…

杉崎さんに朝、身体に触れられながら、もう一度したいと囁かれた時…
どうして、答えられなかったんだろう…。

部屋の明るさが気になった…
朝の光で肌の細部まで見えそうで、恥ずかしいと思った…
チェックアウトの時間も気になった… 

確かに、色々なことが頭を巡った… 

でも、私の本心…

本当は嫌じゃなかった…全然、嫌じゃない…むしろ、したかった…
昨夜みたいに、もう一度…抱かれたいと思った… 
でも、私が咄嗟に色々なことを頭に巡らせ、しばらく無言になったせいで…
杉崎さんはすぐにその言葉を、何事もなかったかのように笑って打ち消した…。

杉崎さんがもっと強引に私を求めてきたなら… 
きっと私は、はいと、答え…
自身のどうしようもない欲望をさらけ出して、恥ずかしい声をあげていただろう…

ああ …  おかしい… 私は完全に、おかしい… 
杉崎さんのことばかり考えてしまう自分がいる…  私は最低だ…   

でも…私は馬鹿だった… 

なぜ、すぐに帰らなかったのだろう… 
なぜ、杉崎さんに言われるがまま、あの場所へ寄ってしまったのだろう…
行かなければあの人に… 会わずに済んだのに…
あんな話を、聞かされずに済んだのに…    

杉崎さんの馬鹿…  
違う…

馬鹿なのは私だ… 私が馬鹿だった。  
最初から嫌な予感がしたのだ…
例え、強引に相席されても、話すら聞かずに、すぐさま自分の本能に従ってあの場を去れば良かった… 

「はあ… 」 

時間はお昼を過ぎていた…
さすがに、そろそろ、見なければならない…中身を確認しなければならない… 

私は意識的に逃げていた携帯をやっと手にして…拓海からのラインを開いた。

 





 







 




 

 
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