【完結 R18】ほかに相手がいるのに

～杉崎～

反動

その反動からか…とにかく、今すぐ…できるだけ早く、彼女と二人きりになりたい…
彼女と…　人目につかない場所へ行って、思い切り…彼女を抱き締めて、激しいキスをして、
それから…　　それから　　…　彼女の全てを…　奪ってしまいたい‥

そんな衝動に、駆られた…　

とにかく、もう…　我慢できない…。　
早く彼女に、俺のを…ねじ込みたい　…貫いて、滅茶苦茶にかきまぜで…　刺激して…喘がせたい…。

彼女と気持ちを通じ合わせた、あのデッキに居た…あの瞬間から…　
俺の脳内に何度…彼女の白い裸が…可愛らしい胸が…のけ反る首筋が…浮かび上がったか、わからない…。

彼女に、逃げるなら今だよ…　とか、珈琲でも飲んでいく…？などと…囁き…
余裕ぶった白々し過ぎる紳士の仮面を、なんとか少しつけてみたりしたものの…　　
それは、ありえないパフォーマンスに過ぎなかった…。

俺の本当の内心は、
もう絶対に、彼女が帰ると言っても逃がさないし、珈琲なんて飲む時間すらもったいない…
そんな時間は、もはや彼女に与えることが出来ない…　　
今すぐだ…　今すぐに、彼女が欲しい…　　


俺が欲しいのは、君だけ…。

　　　水無月葉月…　…彼女を…俺の腕の中だけで、淫らに、啼なかせたい…


普段の俺なら…智花という彼女がいながら、
　　　　　他の…しかも付き合っている男がいる女に、手を出すなんてこと…

こんな裏切行為は、俺の人生の中で…　絶対にありえない…あってはならない、はずだった…。

でも無理だ…　抗えない…　全てが片付くまでなんて、待っていられない…。
彼女と気持ちが通じた今…　
もう、忍耐をするということ自体が、俺には無理な作業だった…もはや、獣だ…　　　


今日…俺は彼女を抱く…　彼女が土壇場でいやだといっても　…きっと…止めることはできない…。

…もはや、拓海になど、触れさせない…触れてほしくない。
彼女が…あの…能天気すぎるほど能天気な…逞しい体躯を持つあの男に…組み敷かれているのを…
激しく突かれ、細い腰を…ゆらゆらと揺らされているその情景を、頭の隅に少し想像するだけで、虫唾が走る…
眩暈がしてくる…。

　
「行こうか…」俺は高ぶる自身をなんとか押さえつけながら、
もう一度、ひびの入りかけた…
　　　壊れかけの紳士の仮面を取り付けて

どこまでも俺を信じ、慕ってくれる純粋な彼女を、

　　　　　　　　　　また…欺いた…。