【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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~杉崎~

囁き

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ホテルまでの道のり…
彼女はとても緊張していた。
話し方、素振り…全ての仕草から緊張が滲み出ていた…

彼女の…こういうところが俺を更に…凶暴にしていくのかもしれない…

彼女には拓海がいるのに…

よく、東京に来ているアイツは…
俺から見ても彼女にベタ惚れに見えるアイツは…きっと、彼女を…毎回 … 激しく抱くのだろう…

あの男はきっと、そういう奴だ…
まだ、20そこらの子供じみた感情で…彼女を自分のものにしたいと、それだけを願って…自分の感情をあまりあらわにしない彼女を前に… アイツはきっと…


ダメだ…

また、…俺をおかしな…負の感情が襲う…。
なぜ、こんな時に…彼女と拓海の睦言を想像して、イラつかなければならないのか…

そもそも彼女は拓海の…ものだというのに…

俺がイラつくのがお門違いだ…
むしろ逆…
俺が拓海の立場なら…間違いなくはらわたが煮え繰り返る事態なのだから…

今まで、まっとうに生きていると自負していた俺が…
彼女とこんなところにまで来て…しまうとは…

俺は本当に…どうかしてしまったのかもしれない…

4月に新人として入社してきた彼女を一目見た時から…ドクンと、俺の中に… 何かが… 芽生えた…

彼女は可憐で…美しかった…。
服装は地味だが…社内の誰よりも清楚で…その振る舞い一つひとつがいじらしかった。

だが…俺はそれに、ずっと気づかないふりをした…

彼女は20少ししか歳のいかない若い女性…
俺がどう思おうと、そもそも俺の近付いていい対象ではない…
年齢差からしても、発言に気を付けねばセクハラになる…

だから俺は…無意識に彼女と少し距離をとりながら、仕事の付き合いを維持したつもりだった…

なのに …  それなのに今・・・

彼女とこんな場所まで…来てしまった…

彼女よりずっと年上の俺が…分別のあるべき俺が…自身の感情を抑えて、彼女を正しき道に戻す・・べきだったのかもしれないにの…全ての分岐路で…俺は彼女の行くべき正しい道を破壊していってしまったのかもしれない…

俺自身の手で…この身体で…
どこまでもずるい、悪魔の囁きで・・・
彼女をこんな所に連れてきてしまった…

悪いのは全て俺・・・だからいっそ…

だから…俺は…     
俺は…君の全てを、奪うことにしたんだ…。
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