【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

文字の大きさ
上 下
189 / 538
~杉崎~

欲望

しおりを挟む
卑怯な俺は、
彼女を…美味しい珈琲があるなどといった理由で、部屋に招き入れた。

珈琲豆を最近購入したのは事実だが、何もこんな夜に…彼女を部屋に呼ぶこともないのに…。

実際に彼女も一瞬、返事に躊躇した。
俺の提案に、内心驚いていたのは彼女の態度からも明らかだった。

俺はとにかく、
もう少しだけ、彼女と一緒にいたかった。
…彼女に、近付きたかった。

もちろんもともと、その場の雰囲気次第で二次会に行くことはあり得ると考えてはいたが…まさか、俺の部屋に誘うなんて、自分でも想定していなかったのに。

拓海が来ると聞いてしまったことで、
本当に、男として…大人気ないに尽きるが、
『家に来ないか…』
…そう、気付けば、口に出してしまっていた。

それにしても、彼女がまさか…素直にきてくれるとも思っていなかった。
普段は生真面目な彼女。
前に見舞いに来てくれた時とは状況が違う。
ほぼ、断られると思っていたのに…答えはYES。

結果、彼女を部屋に招き入れ、中から施錠をした途端…そして、彼女の華奢な…緊張で震える小さな背中を目にした途端、俺は壊れた。
いや…タガが外れたと、言ってもいい…。

理性が…保てなくなった。
馬鹿な俺は、彼女を強引に引き寄せ抱き締めて…淫らなキスをした。

おまえ…一体、いくつだよと、自分に問いたくなる。
10代の頃、女にがっつく時期の盛りのついた男じゃあるまいし、理性を保てず彼女に…そんなことをするなんて…。
自分で自分が、信じられない…。

これまでの俺の人生、
本当にこんなことは、一度もなかったのに。

10代後半に積極的な年上彼女相手に童貞を捨て…それから今までの間…求められるまま…もちろん俺から求めることもあったが、

普通に…ごく普通に女と身体を重ねてきた。

なのに今はどうだ…。

俺は今までとは違う感情を前に、戸惑っている。

ただただ…

彼女…水無月さんが、欲しい…。
抱きたい… 彼女とセックスがしたくてたまらない。
彼女の、ほの白くて華奢な裸体…
控えめな胸…小さな尻…
水無月さんの全てを、自分のものにしたい…。

不思議だ…

彼女はいわゆる痩せ型、華奢な身体付きで、全く豊満とは程遠い身体付きなのに…
俺は彼女の身体、全て…全てに反応してしまう。

俺の隠しようもない本音…欲望…。

組み伏せて、彼女を俺のものに、したい…。
早く…したい…、
即物的な表現になるが、挿れたくてたまらない…
俺のモノをねじ込んで彼女を喘がせ…泣かせて、めちゃくちゃに、したい…。

俺は一体…どうしてしまったのか…

抑えなければ… この感情は、…ヤバい。
彼女を、絶対に怖がらせてはダメだ…。
今まで通り、優しい男…紳士の仮面を被らなければ…。

そう、漠然と、思った…。

彼女は間違いなく、俺のことを紳士な…淡白な男だと思っている…。
周りからも、今までの彼女からもそんな風に言われ、セックスについては物足りないと言われたこともある…。情けない話だが、反応しなかったことも…

智花でさえ、俺を普通の男よりは、淡白だというのに…。

彼女に関してだけは違う…
欲望を抑えなければ、襲ってしまいそうなほどに…。
彼女が欲しい…
彼女が欲しくて、
彼女のあげる声を聞きたくて、たまらない…。

俺は、自分自身が作り出してきた今までの印象にがんじがらめだが… でも全然、中身は違う…
たぎるような欲望を必死に抑えているただのいやらしい男の一人に過ぎない…。

ああ…でも、さっきは…
本当にヤバかった…。
 
  俺は無意識に、浴室の方向に目をやる。










しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

鳴宮鶉子
恋愛
辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...