【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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〜四人〜

焼鳥屋

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私と拓海は、近所の居酒屋に入った。

外観は綺麗とはいいがたいが、どうやら焼き鳥が美味しいと評判らしくテイクアウトで並ぶお客さんが絶えない店。

前に拓海が一度は行ってみたいと気にしていたお店だ。

「いらっしゃい!お好きな席へどーぞ!」元気な店員さんが声をかけてくる。

「うわー!うっまそう…俺、めっちゃ腹減ったから、適当に頼むぞ…。おまえも選べ。冷たいビールも飲みてえ…」

座るなり、メニューの中から適当に注文を始める拓海。

私もかなりお腹が空いていたので、食べたい物を注文する。

すぐに飲み物と先付けが運ばれてくる。

「良かったな…週末なのにすんなり入れて。あ、かんぱーい!」拓海がグラスを私のグラスに勢いよくぶつける。

「うめーー!生ビール最高…は~…それにしても…葉月さっき、…最高だった…俺、止めらんなくなった…マジでやべえ…おまえのこと…めちゃくちゃにしたくなったわ…」

小声ではあるが、ニヤリといやらしい笑みを浮かべながら、いきなりそんなことを口にする拓海に、憤りを覚える。

「もう…拓海、やめてよ、こんなところで…誰かに聞かれたらどうするの…」

「誰かってさ…誰がいんだよ、こんな店に…あ、そっか…人に会うこともあるのか、杉崎さんって人とか…?」

杉崎さん…とは確かに、会う可能性が高いのかもしれない…家だってすぐその先だ…でも、私は拓海にあえてその点について話してはいなかった。

「…ま、そうだね…前にも杉崎さんには会ったし…会うこともあるかもね…って言うか、知り合いとかじゃなくても、そういう話、こんな場所でして欲しくない…ほんと、恥ずかしいからやめて…」

「ーん…まあ、わかったよ…」
私の言い分を聞いたか聞いていないのか、とりあえずそんな返事をして、数種類の焼き鳥の中の一つに手を伸ばす。

「ん…うま!鶏皮、超うめー 葉月も食べてみろ…」

「うん…ほんと、美味しいね…」もぐもぐと味わいながら咀嚼していると、ガラリと…入口のドアが開く。

「んっ…む…っ!」

一瞬、喉に鶏肉を詰めそうになる…入口に現れたのは、他でもない、杉崎さん…と…嘘…また、林さん…。

私は入口の方を向いて座っていたため、否応なく二人と目が合い、慌ててお辞儀をする。
やはり少し驚く二人…。

会いたくなかった…
相席だけは避けたい…
どうか、気を利かせて別の席に座って…

私はそう願いながら、レモン酎ハイに手を伸ばした。






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