【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

文字の大きさ
上 下
95 / 538
〜戸惑いの日々〜

困惑

しおりを挟む
私はその日、携帯を完全に音が鳴らない設定にしていた。

杉崎さんが車を発進させるのを見送り、帰宅していつものように珈琲を入れ、ほっとソファーに腰をかけて携帯を確認する。

珍しく拓海からのラインが1通もなかった。

もしラインが入っていたら、杉崎さんと下見がてら車で出かけた…などと細かく話すかどうか迷っていたので、ちょうど良いと思った。

敢えて、聞かれてもいないのに、拓海に話すことではないと思ったからだ。

ただ…起きてしまったハプニングと…その後、代わりに自分が杉崎さんに要求したことは…拓海に堂々と話せるものではないと自覚していた。

裸を、見られてしまった…

ほんの一瞬のことではあったが、杉崎さんの視線が瞬時に全身に走った気がした…

気のせいならいいが、いくら普段が紳士とはいえ、杉崎さんだって男性なのだ…目の前に、裸に近い女が突然現れたら、そうなってしまうのも無理はない…

だけど…
顔から火が…いや…
身体から火が…出そうだった…

無防備な状態で、普段一緒に仕事をしている男性に裸を見られたのだから…しかもだ…

私はその後、杉崎さんに何を言ってしまったのだろう… 杉崎さんのおかしな提案を否定することもなく、肯定し、裸を見せてください…だなんて…

杉崎さんも杉崎さんだ…

私みたいな小娘が言うことなど笑って受け流せばいいのに…真面目に浴衣を脱いで、私に披露…してくるなんて…


ああ…


それにしても…

素敵だった…杉崎さんの上半身…

白くて綺麗で…細身なのに、腕とか…胸とかに…程よく筋肉がついていて…腹筋も…うっすらと割れていて…程よく締まってた…

どこもかしこも、ある程度の太さがあってがっしりした拓海とは違う、しなやかな身体つき…

なんだか…無条件で、近付きたくなった。
この手で…触れてみたくなった…

もちろん、我慢はしたけど…

仮にあの時、あの場所で、
杉崎さんの方から私に触れてきたならば…私は…

拒否、できただろうか…

できない…きっと、できなかった…
そんな気が、漠然とする…

私は、本当にどうかしている…

あの…いつかの夜…杉崎さんとキスをしてから…
どこか、おかしくなってしまった…

拓海がいるのに…
杉崎さんにも素敵な彼女が…いるのに…

どうしても、彼を目で追ってしまう…
視線が、吸い寄せられる…

杉崎さんがあまりにも…魅力的すぎるのだ


月曜日からは本当に気が重い…
でも、しっかりしなきゃだ…
一応これでも…社会人、なのだから…

私はそう決意して、
気づいたように、

  冷め切った、苦いコーヒーを口にした…









しおりを挟む
恋愛小説大賞に応募中です。応援ポチいただけるとモチベ向上し、更新も増えます(多分…^^)
感想 13

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

処理中です...