【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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〜二人きり〜

鎖骨

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「見たいって…え…?…水無月さんそれって、本気で言ってるの…?俺、今完全にセクハラ発言したような、自覚あるんだけど…」
杉崎さんが戸惑ったように私を見る。

「は…い…本気で言ってます…セクハラだとか、そんな風には思いません。むしろ…」

私は少し考えて、口をつぐむ。

杉崎さんの裸…裸鑑賞が目の保養になるとは、さすがに言えない…。
よほど、その発言の方が、女性から男性に対するセクハラ発言に認定されてしまいそうだ…

「じゃ…じゃあ…うん、ぬ…脱ごうか…えっと…」

杉崎さんが少し困ったように頭をかき始める。
おそらく杉崎さんは100%、私が杉崎さんの裸を見たいなどと答えるとは予想していなかったんじゃないか…

それほどに、杉崎さんが動揺しているように私の目には映った…

杉崎さんがテーブル越しに無言で立ち上がり、浴衣の帯に手をかける。
結び目を解くように指を動かす。

私は杉崎さんを見上げて、ゴクリと喉を鳴らす…


おかしい…なんなんだこの図は…

客観的に見て、とてもおかしい…

そして…見ている私も…恥ずか…し

   …  … コンコン …  …

ドアをノックする音がする。
食事を下げに来たのかも…

立ったままの杉崎さんが、ドアに向かう。

やはり、仲居さんだった。

「すみません、お時間はまだゆっくりありますが、もしお食事がお済みであればお膳だけ下げさせていただきますが…」

そう言って、にっこりと微笑む仲居さん。

「はい。もう済んでいますので、お願いします。」
杉崎さんがそう答え、和室の窓際にある椅子に私を促す。「水無月さん、ここで話してようか?」

「はい…」私はそう答え、窓際に移る。

不意に目の端に、杉崎さんの少しだけはだけた浴衣の隙間から、鎖骨が見える。
…セクシーだ…

男性に、こんなことを言うのは失礼かもしれない…ただなぜか、杉崎さんには不思議な男の色気が漂っている…

いつもはスーツに身をまとっているから目立たないが…この姿はちょっと目に毒だ…

きっとこの、お風呂上がりの杉崎さんの浴衣姿の色気に、職場の女子社員が騒ぐに違いない…。
社員旅行では、杉崎さんの席の隣の争奪戦が起こりそうな気配がするほどに。

「宿泊プラン、とりあえず考えてみょう。
食事と部屋のグレードに応じて値段がかなり変わるから、人数と予算によるかな。積み立て金が…」

いきなり仕事モードの杉崎さん…

この状況に少しだけ笑いたくなるのを必死にこらえながら、私は杉崎さんの話に耳を傾けた。





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