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〜二人きり〜
お詫びに
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「ん…わ、美味しいですね…これ…」
私は思わず口にする。出される料理はランチとは思えないほどのボリュームで、しかも全て繊細で上品な味付け…口に合うものだった。
「本当だね…さすが、料理に定評のある旅館だ…これなら皆、きっと喜ぶね。しかもこれで昼の内容だし…夜の料理は更に豪勢だろうから、ね…」
杉崎さんも相槌を打ちながらゆっくりと料理を口に運ぶ。
…見られたのは…
肩と、首筋…鎖骨…胸…お腹…、あと下着と…太もも以下…脚まで…かな…
杉崎さんをチラリと盗み見ると、もう、普通の表情で淡々と食事を楽しんでいるかのようにみえる。
本当に何事もなかったかのように…
一方私は、実は…必死だった…
ともすれば、さっきの洗面所での杉崎さんとの対面場面を詳細に思い出し赤面してしまいそうで…
でもなんとか、目の前に並ぶ料理に無理やり意識を集中させ、ごく普通に接するようにしていた…
もう一度杉崎さんを見る。
温泉で髪を洗ったのか、少し濡れている髪をサイドに流している。
浴衣を着ているせいか、首筋と喉元の部分が…やけに色っぽいというか…艶めかしい…じっと見ていはいけないのに、つい、見惚れてしまうほどに…綺麗だ…
いや…私は何を考えているのだ…まるで、男性が綺麗で魅力的な女性をジロジロと見るように、見つめてしまったかもしれない…
私はすぐに目を逸らし、
デザートの甘酸っぱい柚子シャーベットを食べて、ほっと一息ついた。
「本当に全部、美味しかったです、ご馳走様でした。」そう言って、スプーンを置く。
杉崎さんが食後のお茶を飲みながら微笑む。
「温泉も良かったし、食事も満足。しかも、部屋に温泉もついてるし…言うことなしかな…
あ…でも、そうか。部屋に温泉がついている部屋は数に限りがあるんだった…。でも、それがなくても、もう、ここで大丈夫な感じだね。あとで仮予約の形で、日にちを押さえておこう。」
杉崎さんの言葉に相槌を打つ。
その後 …
シーン… と…
静寂の音が耳に響いてくるような気がした。
「あっ…の、…」
静寂を破り、杉崎さんが言葉を発する、私を正面から見つめる。
どきりとする。
「さっきは、本当にごめん…俺の不注意で、水無月さんに、不快な思いをさせてしまいました…マジで俺、反省してます…。ごめん、セクハラだよね…こんなの…ああ…時間を戻せるなら、戻したいくらいです。
ほんと、すみません…」
頭をペコリと下げられる。
「…いえ、…大丈夫ですよ、本当に!一瞬でしたし、そんな…完全に裸…とかでもなかったので、まだなんとか…はい…だからもう、謝らなくていいです…」
私の本心だった。もう、その話題に触れてほしくない…触れることでその場面を何度も思い出し赤面しそうだから…
その後、杉崎さんが驚くことを口にする。
「お詫びに俺… なんなら今から脱ぐ、けど…下はさすがに無理だけど…
女性の水無月さんにだけあんな恥ずかしい思いさせて…本当に申し訳ないし…。
…っていうか、おっさんの…男の裸見たって…何も楽しくないか…むしろこの発言がセクハラだよな…
俺、何言ってんだろ。ははは…、忘れて!」
…杉崎さんは最後笑い飛ばしたものの、その提案は、まあまあ本気の発言のようだった…
でも間違いなく杉崎さんの裸体であれば、失礼ながらそこらにいる普通のいわゆるおじさんとは違ってセクハラにはならない…
むしろ目の保養と言えるかもしれない。
馬鹿な私は、そんな風に考えてしまう…
いえ、いいです、お気持ちだけで…という答えが正解なのはわかってる…。
だけど私はなぜか、その真逆の回答をしていた。
「…見たい…です…でも…いいんですか…?」
この時の私は…
きっと、どうかしていた。
私は思わず口にする。出される料理はランチとは思えないほどのボリュームで、しかも全て繊細で上品な味付け…口に合うものだった。
「本当だね…さすが、料理に定評のある旅館だ…これなら皆、きっと喜ぶね。しかもこれで昼の内容だし…夜の料理は更に豪勢だろうから、ね…」
杉崎さんも相槌を打ちながらゆっくりと料理を口に運ぶ。
…見られたのは…
肩と、首筋…鎖骨…胸…お腹…、あと下着と…太もも以下…脚まで…かな…
杉崎さんをチラリと盗み見ると、もう、普通の表情で淡々と食事を楽しんでいるかのようにみえる。
本当に何事もなかったかのように…
一方私は、実は…必死だった…
ともすれば、さっきの洗面所での杉崎さんとの対面場面を詳細に思い出し赤面してしまいそうで…
でもなんとか、目の前に並ぶ料理に無理やり意識を集中させ、ごく普通に接するようにしていた…
もう一度杉崎さんを見る。
温泉で髪を洗ったのか、少し濡れている髪をサイドに流している。
浴衣を着ているせいか、首筋と喉元の部分が…やけに色っぽいというか…艶めかしい…じっと見ていはいけないのに、つい、見惚れてしまうほどに…綺麗だ…
いや…私は何を考えているのだ…まるで、男性が綺麗で魅力的な女性をジロジロと見るように、見つめてしまったかもしれない…
私はすぐに目を逸らし、
デザートの甘酸っぱい柚子シャーベットを食べて、ほっと一息ついた。
「本当に全部、美味しかったです、ご馳走様でした。」そう言って、スプーンを置く。
杉崎さんが食後のお茶を飲みながら微笑む。
「温泉も良かったし、食事も満足。しかも、部屋に温泉もついてるし…言うことなしかな…
あ…でも、そうか。部屋に温泉がついている部屋は数に限りがあるんだった…。でも、それがなくても、もう、ここで大丈夫な感じだね。あとで仮予約の形で、日にちを押さえておこう。」
杉崎さんの言葉に相槌を打つ。
その後 …
シーン… と…
静寂の音が耳に響いてくるような気がした。
「あっ…の、…」
静寂を破り、杉崎さんが言葉を発する、私を正面から見つめる。
どきりとする。
「さっきは、本当にごめん…俺の不注意で、水無月さんに、不快な思いをさせてしまいました…マジで俺、反省してます…。ごめん、セクハラだよね…こんなの…ああ…時間を戻せるなら、戻したいくらいです。
ほんと、すみません…」
頭をペコリと下げられる。
「…いえ、…大丈夫ですよ、本当に!一瞬でしたし、そんな…完全に裸…とかでもなかったので、まだなんとか…はい…だからもう、謝らなくていいです…」
私の本心だった。もう、その話題に触れてほしくない…触れることでその場面を何度も思い出し赤面しそうだから…
その後、杉崎さんが驚くことを口にする。
「お詫びに俺… なんなら今から脱ぐ、けど…下はさすがに無理だけど…
女性の水無月さんにだけあんな恥ずかしい思いさせて…本当に申し訳ないし…。
…っていうか、おっさんの…男の裸見たって…何も楽しくないか…むしろこの発言がセクハラだよな…
俺、何言ってんだろ。ははは…、忘れて!」
…杉崎さんは最後笑い飛ばしたものの、その提案は、まあまあ本気の発言のようだった…
でも間違いなく杉崎さんの裸体であれば、失礼ながらそこらにいる普通のいわゆるおじさんとは違ってセクハラにはならない…
むしろ目の保養と言えるかもしれない。
馬鹿な私は、そんな風に考えてしまう…
いえ、いいです、お気持ちだけで…という答えが正解なのはわかってる…。
だけど私はなぜか、その真逆の回答をしていた。
「…見たい…です…でも…いいんですか…?」
この時の私は…
きっと、どうかしていた。
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