【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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〜お互いの日常〜

憎めない男

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翌朝の月曜日、私はいつものように出勤する。

拓海が帰る時間が遅くはなかったため、その後、自分の時間を確保することができた私は、思った以上にゆっくりと、眠ることができた。

朝、給湯室で珈琲の準備をしていると、やはり背後から、杉崎さんに声をかけられた。

「おはよう、水無月さん。土曜日は…お疲れ様でした。なんかごめんね…いきなり智花が相席なんて申し出て…せっかくの彼氏とのデート…邪魔しちゃったよね…」

杉崎さんが頭を下げながら、私に小声で囁く。

この給湯室は、大きな声で話すと、まあまあ廊下にいる人にまる聞こえなのだ…だから大抵、小声で話す人が多い。

「あ…いえ、全然大丈夫です。近くに共通の友人なんていなくて普段は二人で過ごすだけだから…むしろ賑やかで、楽しかったくらいです。」

これは半分、本当の気持ちだった。

拓海と私は高校の同級生ではあるが、大学は別々に進み、共通の高校の友人も全国各地に就職などで散らばったため、誰かが企画する同窓会などでもない限り、皆でワイワイ食事をすることなど、本当に皆無に等しかった。

「私としては、ずっと会えていなかった林さんともお喋りができて、嬉しかったです。むしろ拓海が…なんだか色々話し過ぎたんじゃないかと、申し訳なかったくらいで…すみません、あまり物怖じしないタイプなのでグイグイお二人に質問とか、しちゃって…地雷、踏んでないですかね…」

今度は私が頭をペコリと下げる。

「はははっ!地雷か…確かに…彼氏さん、すごい、面白いよね…ああやって面と向かって話したのは初めてだったけど、そこ、聞いちゃう…?みたいな質問もあって、実は俺、少しヒヤヒヤしながら答えたんだよ…ふふふ…」

杉崎さんが、本当に可笑しそうな表情で笑う。

うん…確かに…。

気付かないようにしていたけど、拓海は知らぬ間に小さな地雷をいくつか…笑いながら踏むタイプだ… ただ、なんとなく許せてしまうのだ…

後から反省して、笑ってごめんと言われると…あーあ、仕方ないやって…そんな雰囲気になってしまう。これも拓海の最大の武器。
本当に、なんだか憎めない…人懐っこい男なのだ…。

私を形容して、全てが小さいとか…なんでもかんでも悪気なく…発言する。
本当は思い出すと少し…いや、本当はかなり頭にはくるけど、あまり引きずっても仕方がない。

「…ですよね?すみません…許してください。本人悪気はないので…」私は苦笑して杉崎さんに伝える。

「いやいや、全然、また機会があったら、ぜひ…彼にもよろしく伝えておいてね。じゃ、今日も頑張ろ」

そう言って、杉崎さんは部屋へ戻っていった。

拓海から感じられた違和感の正体は、
           なんだったのか…

とりあえずその疑惑は頭の隅に追いやり、
  私はその週、仕事に一生懸命に励んだ。



































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