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〜お互いの日常〜
幹事
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私はしばらく、仕事に没頭した。
拓海の態度に気になる点はあっても、今は遠距離でゆっくり話をすることもできない。
たとえば電話で、(あの時のセックス はなんか違ったね…どうしたの…?)だなんて、私の方から聞けるはずもなく、結局気になってはいても、そのまま放置する形となった。
そんなある日、職場で珍しい回覧があった。
『毎年恒例⭐︎旅行会⭐︎のお知らせ』
そう、タイトルがついたA4サイズ一枚もののチラシが社内に回覧された。
毎年恒例…ということは、年に一度の社員旅行みたいなものだろうか…お昼休みにサンドイッチを頬張りながら回覧を見つめていると、杉崎さんが気付いて説明を加えてくれた。
「あ、水無月さんは初めてだよね。うちさ、年に一回、社員旅行があるんだ。各部署ごとに泊まりだの、日帰りだの、規模の違いはあるけどね…ちなみにうち、総務課は毎年、泊まりで開催されてる。
まあ、場所は近場なんだけどね…温泉とかそんなとこになんとなく宿泊して、宴会するみたいな流れかな。」
「そうなんですか~…旅行…すごいですね…」
私は言いながら、少しだけ気が重くなった。
これは、全員参加の旅行なのだろうか…
できれば行きたくない…
ただでさえ飲み会が苦手なのに…そのうえ、職場のメンバーと泊まりで旅行だなんて… どれだけ気を遣って…どれだけ疲れ果てて、帰宅することになるだろう…
そんな情景が浮かんでくるようだ…。
(これは…全員参加でしょうか…?)杉崎さんに対し、喉まで出かかった質問を…私はギリギリのところで飲み込んだ。
新人なのに…そんなことを聞くのは生意気な気がした…協調性を持って、最初は頑張って行くべきなのかもしれないと、思い直したからだ。
「あ…!もちろん、全員参加じゃないからね!結婚してる人とか、たとえば小さいお子さんがいる人とかはさ、どちらか1日だけ日帰りで顔出したりもするし…もちろん二日とも欠席だってOKだから…ね?」
心を読まれた…咄嗟にそう思った。顔に出ていたのかもしれないと、少し反省しつつ私は答える。
「…そうなんですね…賑やかで、楽しそうですけどね…」
嘘だ…全然そうは思っていないのに、言葉が勝手に出てしまう。杉崎さんは私の表情を見ながら苦笑している…きっと、杉崎さんなら…私の心の動きを理解しているのだろうと思った。
「あ…ただね…これは残念なお知らせ…だけど…」
杉崎さんが言いにくそうにしながら食べ終えたお弁当の蓋を閉める。
「うち…広報部ね…今年、旅行会のさ…幹事なんだ…だから…もしかしたらだけどさ、…」
幹事…
杉崎さんの発したその言葉は、私に一定程度の打撃を与えた。
「もしかしたら、旅館選びとか、他に色々、水無月さんに手伝ってもらうことになるかもしれない…ごめんね…あ、もちろん気が進まないようなら旅行は不参加でもいいんだ…!
だけど、それまでの準備をってレベルでいいから手伝ってくれると嬉しい…俺一人では、ちょっと厳しくて…ここだけの話、主任も石田さんも、あまりあてになんないしさ…」
二人は食事で離席していたが、小声で私に言う杉崎さん。
はい、喜んで…よろしくお願いします。
私は笑顔で、そう答えた。
そんな状況で…
杉崎さんが苦労するのがわかっていて…
私に断れるはずも、なかった…
拓海の態度に気になる点はあっても、今は遠距離でゆっくり話をすることもできない。
たとえば電話で、(あの時のセックス はなんか違ったね…どうしたの…?)だなんて、私の方から聞けるはずもなく、結局気になってはいても、そのまま放置する形となった。
そんなある日、職場で珍しい回覧があった。
『毎年恒例⭐︎旅行会⭐︎のお知らせ』
そう、タイトルがついたA4サイズ一枚もののチラシが社内に回覧された。
毎年恒例…ということは、年に一度の社員旅行みたいなものだろうか…お昼休みにサンドイッチを頬張りながら回覧を見つめていると、杉崎さんが気付いて説明を加えてくれた。
「あ、水無月さんは初めてだよね。うちさ、年に一回、社員旅行があるんだ。各部署ごとに泊まりだの、日帰りだの、規模の違いはあるけどね…ちなみにうち、総務課は毎年、泊まりで開催されてる。
まあ、場所は近場なんだけどね…温泉とかそんなとこになんとなく宿泊して、宴会するみたいな流れかな。」
「そうなんですか~…旅行…すごいですね…」
私は言いながら、少しだけ気が重くなった。
これは、全員参加の旅行なのだろうか…
できれば行きたくない…
ただでさえ飲み会が苦手なのに…そのうえ、職場のメンバーと泊まりで旅行だなんて… どれだけ気を遣って…どれだけ疲れ果てて、帰宅することになるだろう…
そんな情景が浮かんでくるようだ…。
(これは…全員参加でしょうか…?)杉崎さんに対し、喉まで出かかった質問を…私はギリギリのところで飲み込んだ。
新人なのに…そんなことを聞くのは生意気な気がした…協調性を持って、最初は頑張って行くべきなのかもしれないと、思い直したからだ。
「あ…!もちろん、全員参加じゃないからね!結婚してる人とか、たとえば小さいお子さんがいる人とかはさ、どちらか1日だけ日帰りで顔出したりもするし…もちろん二日とも欠席だってOKだから…ね?」
心を読まれた…咄嗟にそう思った。顔に出ていたのかもしれないと、少し反省しつつ私は答える。
「…そうなんですね…賑やかで、楽しそうですけどね…」
嘘だ…全然そうは思っていないのに、言葉が勝手に出てしまう。杉崎さんは私の表情を見ながら苦笑している…きっと、杉崎さんなら…私の心の動きを理解しているのだろうと思った。
「あ…ただね…これは残念なお知らせ…だけど…」
杉崎さんが言いにくそうにしながら食べ終えたお弁当の蓋を閉める。
「うち…広報部ね…今年、旅行会のさ…幹事なんだ…だから…もしかしたらだけどさ、…」
幹事…
杉崎さんの発したその言葉は、私に一定程度の打撃を与えた。
「もしかしたら、旅館選びとか、他に色々、水無月さんに手伝ってもらうことになるかもしれない…ごめんね…あ、もちろん気が進まないようなら旅行は不参加でもいいんだ…!
だけど、それまでの準備をってレベルでいいから手伝ってくれると嬉しい…俺一人では、ちょっと厳しくて…ここだけの話、主任も石田さんも、あまりあてになんないしさ…」
二人は食事で離席していたが、小声で私に言う杉崎さん。
はい、喜んで…よろしくお願いします。
私は笑顔で、そう答えた。
そんな状況で…
杉崎さんが苦労するのがわかっていて…
私に断れるはずも、なかった…
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