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〜お互いの日常〜

甘い珈琲

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私達二人は、何気ない会話をしながら、夜道を歩いた。とはいえ、たったの10分弱で着く範囲に杉崎さんのマンションは位置する。

あっという間に、彼のマンション下に到着する。

ああ…もう、終わりか…
少し残念な気もするが、これ以上杉崎さんと一緒にいることが無理なことはわかっていた。

もう、隠しようがない。
私は杉崎さんともう少し一緒にいたいと思っているのだ。
拓海という彼氏がいても、そう思ってしまうのは、私のわがままだろうか。

「あーあ…もう着いちゃったね…夜の散歩、みじかっ…」笑いながら杉崎さんが私を見る。

もしかして杉崎さんも私と同じ気持ちでいてくれるのかな…少しだけそんなことを期待してしまう自分がいた。

「…そうですね…あっという間…」
私が気の抜けたような声を出すと、「だね…」と杉崎さんも苦笑する。

「あ…でも…まだ水無月さんが時間、大丈夫なら…ちょっとだけ、珈琲でもどう…?」と杉崎さんが私に尋ねてくる。

え…珈琲って…え、ええ?…

もしかして…と頭を巡らせていると

「あっ…!あの、あれね、缶コーヒー!…のことだから。あっちにベンチあるから、もう少しだけ話して解散…で、とうかと思って…あ、時間ないなら全然…いいんだ。今から送るよ?」

杉崎さんが慌てたように補足する。

私が咄嗟に杉崎さんのうちで珈琲…?と、頭で考えてしまったことを読まれてしまったのかもしれない。
うん…仮に誘われたとしても、部屋にはさすがに…あがれない。

「あ…!はい、いいですね!私も飲みたいです。そうしましょう…!」返事をすると、すぐさま私の好みを聞いたうえで、杉崎さんが缶コーヒーを買ってきてくれる。

「はい。…ごめんね、引き止めちゃって…もう少しだけ…ね。」

はい…

少しじゃなくても、いい…
    もっと一緒にいたいです…

私は必死に、その絶対に言ってはいけない言葉を飲み込んで、砂糖とミルクのたっぷり入った甘いコーヒーに口をつけた。




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