【完結・R18】私を待っていたもの…それは…

もえこ

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脱出

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「すみません、急用ができて今から休みたいんですけど、いいですか?」

主任が目に見えて、困惑した顔をする…
「え…?今から…かい?田中さん、確か今日は三時から会議じゃなかったかな…?君が来週プレゼンする予定のあれの打ち合わせ…」

そうだった…新しい商品の企画会議… 
今日の午後3時に…予定していたんだった…完全に忘れていた…
資料の準備は一応できているけど、私が担当だ…
ああ、残念…お風呂には入っておきたかった…エステとかも…。

でも…
どうせ、来月から私はこの職場を去る身…もうなんだか、半分どうでも良くなってきているズルい自分が、確実にそこにいた。

「あの…でも、本当に急用なので…すみません、サブの笹山ちゃ…笹山さんとかに、お願い出来ないでしょうか…?」

「…うん…急用なら仕方ないね…今、笹山さんは外出してるから戻ったら俺から笹山さんに言っとくよ…じゃあ、気を付けて…」
主任はそう言って、また慌ただしそうに書類の山に目を通し始めた。

良かった…とりあえず明日、笹山ちゃんには朝一番に謝ろう…。

私はすぐさま帰り支度をし、繁忙な人達の中をすり抜けるようにして、颯爽と会社を脱出した。

帰宅後すぐにお風呂に入り…身体を一番気に入りのボディーソープで丹念に洗い、念のため、肌の手入れを入念に済ませておく…
シャワーを済ませた後は、手持ちで一番良い香りのするボディークリームを肌に塗り込む…

エステに行こうと連絡をしてみたものの、既に予約がいっぱいだと断られたから…仕方なく自宅のお風呂で最大限できるケアをして、私は自分の持つ一番お気に入りのボルドー色のワンピースを身にまとい、鏡の前に立つ。

…悪くない…

年はもう30だが、太ってもいないし肌だって綺麗な方だと自負している…胸だって大きい方だが垂れてはいない…全然…まだイケるはず…。

時計を見ると、まだ3時少し…
ちょうど会議が始まった時間だ…
笹山ちゃんごめんね、頑張れ…私は自分が抜けておいてそんな勝手なことを思いながらも、すぐに自分のことで頭がいっぱいになる…。

なんだかそれにしても、どうも髪型がいまいちだ…
そうだ、7時まで時間はある…
美容院なら…簡単なカットとセット…メイクまでしてもらえるかもしれない…

私はすぐさま空いている美容院に予約をし、バッグ片手に、家を飛び出した。





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