君を好きになるなんて絶対にありえない!

ジャック

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2章

第29話

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おっと定員が俺たちの品をトレーに乗せて持ってきたようだ。
「お待たせしましたー…あっ!?」

ガチャン!!
 俺が飲んでいたコップが倒れて俺に水がかかってしまった。ズボンの辺りだ。ギリギリカミラにはかかっていない。

「も、申し訳ございませんっ!!」

「あっ、いえいえお気になさらず。あんな所に置いてた僕も僕ですし。それよりそちらの方は大丈夫ですか?」

 両手に料理があったから怪我はないか心配したのだ。その間にもう1人の定員がやってきてタオルを持ってきてくれた。

「えっ?あ、はい…。大丈夫です。」

「なら良かった。どれだけベテランでもミスぐらいしますよ。お気になさらず。」

「い、いえ!クリーニング代ぐらいは出させて頂きます!」 

「い、いや、水ですし大丈夫ですよ!?」

 タオルだけ貰って定員は引いてくれた。危うく今回のご飯代無料とか言われそうだった。

「怒らないの?」

 北風があの定員が去った後で俺にそう聞いてきた。

「怒らねぇよ。むしろなんで怒るんだ?ミスするぐらい誰にでもあるだろ?」 
 
「いや、そうかもしれないけど…。それ、お気に入りの服とかじゃないの?それにこの時期に水って…結構寒くない?」

「まぁ、確かにそうだけどそれだけで怒る理由にはならねぇよ。」

「…荒木くんは優しいね。」

「そんなことねぇよ。…自分のためだ。」

「?いつか自分に帰ってくる…みたいな?」

 ん~。なんか違うな。一応明確として理由があるちゃあるんだけど。それをご飯中に言うのもなぁ~。まぁ、いいか。
 
「ちょっと違うな。後悔したくないからだ。」

「後悔?人を助けることと後悔がどう繋がるの?」

 まぁ、そうなるよな。別にいいか。

「俺は死にたくなるぐらい後悔してることが2つあるんだよ。」

「それ、聞いてもいいやつ?」

「いいぜ。両親が死んでしまったことと、その後にグレて姉ちゃんを助けずに困らせたこと。」

 このふたつは未だに後悔してる。多分これが消えることは無いかもしれないな。なんなら夢にまで出てくるぐらいだ。

「でも、両親が死んだのは荒木くんのせいじゃないでしょ?」

「まぁ、それはそうなんだがな…。あの時何かしてればな~とか、もっと親孝行しとけばな~とかな。ふとした時に考えちゃう訳ですよ。」

 パスタを食べながら話を続ける。北風がこの話をそんなに重く扱ってくれなかったのが助かった。重くすると俺も辛いからな。マジで胃もたれしそうになる。

「それでその後の俺はもう二度とそんな思いをしたくないって思ったんだ。だから人助けしてるんだと思う。大袈裟な話かもしれないけど俺が助けなくてその子が死んだらまた…死にたくなるぐらい後悔するだろうな。そしたら俺はもう立ち直れる気がしないから。」

「なるほどぉ。」

「だから前に言ったろ?『買いかぶりだ臆病者さ。』」

「!あぁ。言ってたね。」

 北風が修学旅行のお礼だって言って喫茶店に来た時に言ったんだ。俺はこれ以上後悔したくない、傷つきたくないって思ってるんだよ。だから臆病者。俺は優しくなんかない。人にやさしくするほど余裕はない。自分を守るためにやってる。

「でも、それでも荒木くんは優しいよ。そして強いんだと思う。」

「なんでそう思うんだよ?」

 単純に今の話を聞いてそれでも俺が優しいとはならないと思うんだけど?

「ほとんどの人はそんなに後悔しても後悔したことから…現実から逃げるか、後悔したことで立ち直れなくなるかだと思うから。だけど、荒木くんはそれを後悔したことを逃げずにそれを直視して後悔した意味を見出してるでしょ?無意識かもしれないけど荒木くんは自分がした思いを他の人にして欲しくないって思ってるんだよ。その結果、それが人助けになってるんだったら結果荒木くんは優しいと思う。」

「……1回グレてるんだけど?」

「荒木くんは1度目の後悔で挫折しちゃったんでしょ?後悔を見て逃げたんだよ。そうでしょ?」

「まぁ、違わねぇかな。」

「でも、2回目はそれをお姉さんの助けがあったとはいえちゃんと1回目の後悔とも向き合うことが出来たんだよ。それはなかなかできることじゃないと思う。だから、荒木くんは強くて優しい。」

「…」

「ついでに言うとグレたって言ってるけど、荒木くんのことだから多分喧嘩は売られたやつだけ買って、自分から売ったことないと思う。それで多分慕われてたんじゃない?」

「…!よく分かったな。」

「まぁね。何となくわかるよ。ずっと見てたから。」

 ?最後の方は小さくて聞こえなかった。

「と、とにかく!荒木くんはやっぱり優しいってこと!私と違って強い!私は…後悔から逃げてるから…。」

「…な、なぁきたか──」

「私、食べ終わったからちょっとトイレ行ってくる!」

 そのまま北風はトイレに向かった。最初に北風とパスタを半分ずつ分けていた。北風の皿は既に空っぽだった。対して俺の皿はまだパスタが半分ぐらいある。北風を待たせる訳にはいかないし早く食べないとな。
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