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最後のプレイヤー
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~エルデン城・中庭~
スイが来た次の日。
俺はスイを中庭に連れ出した。
・スイ
「今日は何か用かしら?」
スイはいつも通りだ。
感情があまり解らない。
ひた隠している激しい怒りと悲しみ。
それ以外は無を貫いている。
はたから見ればクールビューティー。
そんな印象か、、、
・スイ
「聞いてる?」
おっと思考の波に溺れていたぜ。
・「スイはあの時言ったよな?
『力が欲しい』と。
何故なのか教えて欲しい。」
スイは考える。
そして俺に話してくれた。
・スイ
「よくある話よ。
私の両親は魔族に殺された。
そして私と弟は捉えられたわ。
人間の血を引く女だからかしらね。
私は弟を盾にされて巫女となった。
この世界に来た時、後悔したけどね。
多分、もう死んでいるでしょう。
せめて仇が打ちたかった。
だから力を欲したのよ。」
普段見せない怒りが感じられる。
・スイ
「これで満足かしら?
それとも浩二が力をくれるの?」
冗談っぽく聞いてくる。
・「その通りだと言ったらどうする?」
俺はスイを見る。
・スイ
「帝国の勇者に負けたあなたが?」
嫌なこと思い出させてくれるな。
まあでも、事実だから仕方ないか。
・「あの時は本気じゃなかったからな。」
何か負け犬の遠吠えにしか聞こえん。
我ながら胡散臭いな。
・スイ
「信憑性に欠ける話ね。」
そうですよね、解ります。
・スイ
「でも貴方が魔族を倒したのを見たわ。
だから信じられる。
私はどうすればいい?
どうすればあれ程の力を手に入れられるの?」
良かった、信じて貰えたようだ。
・「簡単だが非常に難しい事だ。
まずはそこに立っていてくれ。
そして変化が起きたら教えて欲しい。」
俺は決めた。
4人目の能力者を。
スイに俺の能力を渡す。
・スイ
「何!?目の前に変な記号が。」
最初はみんな同じ反応なんだね。
・「それが俺の能力だ。
そしてサリウスもエリシャも同じ。
君が最後のプレイヤーだよ。」
これで4人が揃った。
元々そろえる気などなかったけどね。
折角なので『フェンサー』にしてみた。
サリウス『レンジャー』
エリシャ『ダイバー』
スイ『フェンサー』
俺が『レイダー』
これでEDFの完成だ。
*EDFとは
某ゲームの略称。
ゲーム内ではその機関名でもある。
地球を防衛する軍隊。
EARTH DEFENSE FORCE
頭文字を取って『EDF』だ
・スイ
「何が起こっているの?」
スイが驚きまくっている。
いつもはあまり感情を見せない分。
何となく得した気分になった。
・「君にはこの能力を使いこなして貰う。
『魔王城』が動き出すまでにね。」
ゼロから覚えるのはかなり大変だ。
特にフェンサーは特殊なものが多い。
でも使いこなすと強いんだよね。
このキャラの弱点は装備が重い事。
装備が重い分、とにかく動きが遅い。
攻撃手段、攻撃力、面白いキャラだが。
何度も言うが重いのだ。
旋回ももっさりとしか動かない。
なのでテクニカルなキャラとなる。
しかし、前使ったときに気付いた。
ゲームと全然違ったのだ。
動きに重さを感じられない。
普通に旋回できるし走れるし。
普通に生活もできる。
快適プレイが出来た。
ゲームの時では考えられないな。
スラスターとブースターも使える。
普通に動けて加速も出来る。
最強のキャラと感じました。
なので今回は『フェンサー』を抜擢。
現実とゲームの融合とはこういう事なんですね。
・スイ
「何が何だかわからない。
でも本当に強くなれるのなら、、、
私は何でもする。」
今、何でもするって言いましたね?
ふふふ、楽しみです。
どんなキャラに育つやら。
そんな訳で今日から特訓が始まりました。
まずは座学からです。
全ての武器を紹介。
そしてAPの概念の説明。
その辺りは慣れたものです。
座学には何故かエミリアも参加。
メモを取って必死に勉強してます。
休憩の間はコーンとの特訓。
いつにも増して激しいです。
俺にも休憩時間をください。
・コーン
「私が本気を出しても浩二殿には勝てませんな、本当に強くなられた。」
ここ数日は俺の勝ちが続く。
この世界に召喚されて以来。
ずっとコーンにボロボロにされてきた。
やっとその成果が実った瞬間だ。
これ程嬉しいことは無い。
次にスイ自身が武器を使用する。
相手は『ダイバー』の俺だ。
飛び回る敵を的確に射貫くスイ。
この子、天才かしら?
横からエミリアがアドバイスを出していた。
まさに二人掛かりですな。
ちょっと羨ましい。
すぐに武器を理解したスイ。
スラスター、ブーストも使いこなす。
・「魔族の血が入ってるからかな?
通常能力が高い上に俺の能力を使う。
俺より強くなっちゃうんじゃない?」
何だか危機感を感じるよ。
特訓の間はエミリアもずっと一緒に居た。
エミリアには世話になりっぱなしだな。
スイは3日で『フェンサー』をマスター。
これには俺も驚いた。
・スイ
「凄い能力ね。
この機動力と破壊力、堪らないわ。」
自分の身体を抱えながら震えるスイ。
その姿の破壊力も凄まじいですよ?
折角なので他の兵種も教えておいた。
どこまで出来るか俺も楽しくなってきた。
スイは次第に笑顔も見せる様になる。
ずっと苦しんでいたスイ。
大きな力を手にした今。
恐れるものなど何もない。
・エミリア
「スイもエルデンの一員だよ。
だから私とは家族みたいなものね。」
いつか何気なく言ったエミリアの言葉。
孤独だったスイにはかなり効いたようだ。
俺には何となくわかる。
全てを失ってしまった悲しみ。
俺も絶望の中に居た。
そんな中でエミリアと出会う。
俺は彼女に救われたんだ。
俺は一人じゃないと教えてくれた。
スイもまた、彼女に救われたのだろう。
彼女の笑顔がそれを物語っていた。
~魔王城出現5日前~
現在エルデンには兵士が居ない。
みんな既に行動に移っていた。
半数に別れてグランデとフーバに潜伏。
その時を待っている。
俺はまだエルデンに居た。
厄災2波があった平原だ。
ここに居るのはロドルフ。
そして見届け人にエミリア。
これからスイの力を試すのだ。
スイは俺と対峙していた。
・「最終試験だ、本気で行くぞ?」
・スイ
「もちろんよ。
手加減なんてしたら許さないんだから。」
スイはよく笑う女性になっていた。
エミリアと過ごす日々が彼女を救った。
少しずつ殻を破いて行ったのだ。
・エリシャ
「後で吠えずらかくにゃよ?」
・サリウス
「これは卑怯なんじゃないか?」
スイ対(エリシャ・サリウス・俺)
俺が最後に提案した試験内容だ。
その為に集まってもらった。
・「サリウス、、、お前死ぬぞ?
やる前から余裕を見せるな。
どんな相手でも格上と思って戦え。
どんな戦況でもだ。」
一応怒っておいた。
はっきりと言おう。
このメンツでもヤバいかもしれん。
・エミリア
「では始めます。
この戦いは私エミリアが見届けます。
双方、全力で戦ってください。」
誘導弾は無し。
その他は自由。
ルールとしてはそんな所。
・「んじゃ始めるか。」
俺はロドルフを抱えて飛んだ。
エリシャがエミリアを連れて行く。
流石に近いと危ないからね。
結構離れた丘の上に降ろした。
ここからなら見えるだろう。
・エミリア
「浩二、エリシャ、気を付けてね。」
・「解ってるよ。」
・エリシャ
「任せて、勝って来るから。」
・エミリア
「怪我しない様に帰って来てね。」
しっかりと言い直したエミリア。
仲間同士の戦いだからね。
・エミリア
「スイに伝えて、負けちゃダメよって。」
エミリアはスイと共に過ごす日々の中で、最近はスイによく甘えるようになった。
姉のように感じているんだろう。
一方でスイもエミリアを妹と思っている。
とても仲が良いのだ。
・「伝えるよ、じゃあそろそろ行くな。」
俺達はスイのもとに戻る。
スイはサリウスと話をしていたようだ。
・「エミリアからの伝言だ。
『負けちゃダメよ』ってさ。」
俺はしっかりとスイに伝えた。
そしてちょこっと後悔した。
・スイ
「そう、なら負けられないわね。」
スイのヤル気スイッチがONとなる。
・「エリシャ、サリウス。
はじめから全力で行けよ。」
俺の尋常じゃない警戒心に気付く二人。
そして戦いが始まった。
・「行くぞ、ターレット起動。」
実はこっそり置いていた。
スイに見つからない様に、、、
しかしスイには当たらない。
始まった瞬間、、、
スラスターとブースターで距離を取る。
フェンサー特有の移動方法。
跳ぶ、進むを掛け合わせた移動だ。
・「あいつ、読んでやがったな。」
全ての兵種を極めてしまったスイ。
いまや俺よりも詳しいと思う。
はっきりと言える。
あいつは天才だ。
座学でもすぐに理解を示した。
更に戦闘センスは凄まじかった。
そして記憶力もずば抜けている。
その上で容姿端麗。
弱点が見当たらない。
遠く逃げるスイを追うエリシャ。
高度から狙い撃つだ。
遠距離で仕掛けるサリウス。
狙撃ならお手の物。
しかし、、、
・サリウス
「弾が当たらない。」
狙撃の天才が嘆いている。
・エリシャ
「くそ、私よりも早い」
戦闘の天才も嘆いている。
フェンサーの特殊移動は一番早い。
操作が難しいけどね。
更に恐ろしい事がある。
ゼロからの発進が早くて長いのだ。
ダイバーもスラスターがあるがフェンサーの方が進む事に関しては優れている。
・スイ
「貰った!」
必死に追いかけていたエリシャをスイが狙う。
急反転してスイが仕掛ける。
スイの攻撃がエリシャを襲う。
・エリシャ
「待ってたよ!」
エリシャもこれに反応。
僅かにスイの攻撃を避ける。
彼女はカウンターを狙っていた。
エリシャのカウンターが空を切る。
スイは紙一重で避けていた。
・サリウス
「そこだ!」
狙っていたかの様にサリウスの弾丸が放たれる。
・スイ
「そうそう当たりませんわ。」
しかしスイに躱されてしまった。
・「これなんだよね。」
俺が彼女に感じた恐怖。
彼女は魔族だ。
当然魔法が使える。
・「フェンサーと魔法の融合。」
スイは風魔法の使い手だ。
フェンサーの動きに合わせて風を操る。
お陰で俺でも読めない動きをするんだ。
物理法則なんて完全に無視ですよ?
・サリウス
「浩二も手伝ってよ!」
サリウスに怒られた、、、
だって空爆要請とかすると危ないし。
ターレット起動中だったから。
仕方がない、、、
「チェンジ、レンジャー。」
俺もサリウスの狙撃に加わる。
でもなぁ、これをすると危ないのよね。
、、、俺達が。
・スイ
「チェンジ、ダイバー」
スイの動きが変わった。
一番厄介な兵種だ。
スイはダイバーに変わる。
風魔法と組み合わせた動きになる。
とんでもない動きだ。
・「言わんこっちゃない!」
・サリウス
「早い、、、」
俺達は無弾を撃たされまくる。
・「クソが、当たれやぁぁぁぁ」
全く当たらない、、、
・サリウス
「くそぉぉぉ」
正直、狙撃には自信があった。
相当ゲームでやったからね。
サリウスも狙撃には自信がある。
二人の自信は完全に潰された。
・エリシャ
「そこだ!」
ドラグーンランスで奮闘中のエリシャ。
スイも同じ武器で戦っていた。
俺達の弾を避けながら、、、
・スイ
「甘い!」
スイもそれを躱して反撃する。
エリシャの戦闘センスはずば抜けている。
スイの攻撃を見事に躱していた。
・エリシャ
「スイ、、、凄いよ。」
スイもエリシャの攻撃を躱し続ける。
一撃当たれば終わるのに当たらない。
そんなヒリヒリした戦闘を楽しんでいた。
しかし最後はやって来る。
・エリシャ
「そこだ!」
エリシャの渾身の一撃。
さがる先には俺達の弾丸。
俺達の連携が見事にスイを捕らえた。
逃げ場はない。
・スイ
「流石ですね。」
勝った、、、
3人はそう思った。
一瞬だけ気を緩めてしまった。
スイはその一瞬の隙を見逃さない。
彼女はエリシャに向かて行く。
そして風魔法でエリシャを少しズラす。
その事でエリシャの攻撃を外させた。
想定外の出来事に反応できないエリシャ。
遂にスイの攻撃を食らってしまう。
・スイ
「チェンジ、レンジャー
『ファング』2刀流。」
刹那、モードを切り替えるスイ。
空中での狙撃。
一発目で俺を撃ち抜く。
・サリウス
「浩二!」
サリウスの気が逸れた。
すかさず武器を持ち換えての2射目。
見事にサリウスを撃ち抜いた。
・「マジか、、、強すぎだろ。」
たった一人に3人が負けた。
恐ろしい戦士を造り上げてしまった。
だが何故か清々しい気分になっていた。
スイが来た次の日。
俺はスイを中庭に連れ出した。
・スイ
「今日は何か用かしら?」
スイはいつも通りだ。
感情があまり解らない。
ひた隠している激しい怒りと悲しみ。
それ以外は無を貫いている。
はたから見ればクールビューティー。
そんな印象か、、、
・スイ
「聞いてる?」
おっと思考の波に溺れていたぜ。
・「スイはあの時言ったよな?
『力が欲しい』と。
何故なのか教えて欲しい。」
スイは考える。
そして俺に話してくれた。
・スイ
「よくある話よ。
私の両親は魔族に殺された。
そして私と弟は捉えられたわ。
人間の血を引く女だからかしらね。
私は弟を盾にされて巫女となった。
この世界に来た時、後悔したけどね。
多分、もう死んでいるでしょう。
せめて仇が打ちたかった。
だから力を欲したのよ。」
普段見せない怒りが感じられる。
・スイ
「これで満足かしら?
それとも浩二が力をくれるの?」
冗談っぽく聞いてくる。
・「その通りだと言ったらどうする?」
俺はスイを見る。
・スイ
「帝国の勇者に負けたあなたが?」
嫌なこと思い出させてくれるな。
まあでも、事実だから仕方ないか。
・「あの時は本気じゃなかったからな。」
何か負け犬の遠吠えにしか聞こえん。
我ながら胡散臭いな。
・スイ
「信憑性に欠ける話ね。」
そうですよね、解ります。
・スイ
「でも貴方が魔族を倒したのを見たわ。
だから信じられる。
私はどうすればいい?
どうすればあれ程の力を手に入れられるの?」
良かった、信じて貰えたようだ。
・「簡単だが非常に難しい事だ。
まずはそこに立っていてくれ。
そして変化が起きたら教えて欲しい。」
俺は決めた。
4人目の能力者を。
スイに俺の能力を渡す。
・スイ
「何!?目の前に変な記号が。」
最初はみんな同じ反応なんだね。
・「それが俺の能力だ。
そしてサリウスもエリシャも同じ。
君が最後のプレイヤーだよ。」
これで4人が揃った。
元々そろえる気などなかったけどね。
折角なので『フェンサー』にしてみた。
サリウス『レンジャー』
エリシャ『ダイバー』
スイ『フェンサー』
俺が『レイダー』
これでEDFの完成だ。
*EDFとは
某ゲームの略称。
ゲーム内ではその機関名でもある。
地球を防衛する軍隊。
EARTH DEFENSE FORCE
頭文字を取って『EDF』だ
・スイ
「何が起こっているの?」
スイが驚きまくっている。
いつもはあまり感情を見せない分。
何となく得した気分になった。
・「君にはこの能力を使いこなして貰う。
『魔王城』が動き出すまでにね。」
ゼロから覚えるのはかなり大変だ。
特にフェンサーは特殊なものが多い。
でも使いこなすと強いんだよね。
このキャラの弱点は装備が重い事。
装備が重い分、とにかく動きが遅い。
攻撃手段、攻撃力、面白いキャラだが。
何度も言うが重いのだ。
旋回ももっさりとしか動かない。
なのでテクニカルなキャラとなる。
しかし、前使ったときに気付いた。
ゲームと全然違ったのだ。
動きに重さを感じられない。
普通に旋回できるし走れるし。
普通に生活もできる。
快適プレイが出来た。
ゲームの時では考えられないな。
スラスターとブースターも使える。
普通に動けて加速も出来る。
最強のキャラと感じました。
なので今回は『フェンサー』を抜擢。
現実とゲームの融合とはこういう事なんですね。
・スイ
「何が何だかわからない。
でも本当に強くなれるのなら、、、
私は何でもする。」
今、何でもするって言いましたね?
ふふふ、楽しみです。
どんなキャラに育つやら。
そんな訳で今日から特訓が始まりました。
まずは座学からです。
全ての武器を紹介。
そしてAPの概念の説明。
その辺りは慣れたものです。
座学には何故かエミリアも参加。
メモを取って必死に勉強してます。
休憩の間はコーンとの特訓。
いつにも増して激しいです。
俺にも休憩時間をください。
・コーン
「私が本気を出しても浩二殿には勝てませんな、本当に強くなられた。」
ここ数日は俺の勝ちが続く。
この世界に召喚されて以来。
ずっとコーンにボロボロにされてきた。
やっとその成果が実った瞬間だ。
これ程嬉しいことは無い。
次にスイ自身が武器を使用する。
相手は『ダイバー』の俺だ。
飛び回る敵を的確に射貫くスイ。
この子、天才かしら?
横からエミリアがアドバイスを出していた。
まさに二人掛かりですな。
ちょっと羨ましい。
すぐに武器を理解したスイ。
スラスター、ブーストも使いこなす。
・「魔族の血が入ってるからかな?
通常能力が高い上に俺の能力を使う。
俺より強くなっちゃうんじゃない?」
何だか危機感を感じるよ。
特訓の間はエミリアもずっと一緒に居た。
エミリアには世話になりっぱなしだな。
スイは3日で『フェンサー』をマスター。
これには俺も驚いた。
・スイ
「凄い能力ね。
この機動力と破壊力、堪らないわ。」
自分の身体を抱えながら震えるスイ。
その姿の破壊力も凄まじいですよ?
折角なので他の兵種も教えておいた。
どこまで出来るか俺も楽しくなってきた。
スイは次第に笑顔も見せる様になる。
ずっと苦しんでいたスイ。
大きな力を手にした今。
恐れるものなど何もない。
・エミリア
「スイもエルデンの一員だよ。
だから私とは家族みたいなものね。」
いつか何気なく言ったエミリアの言葉。
孤独だったスイにはかなり効いたようだ。
俺には何となくわかる。
全てを失ってしまった悲しみ。
俺も絶望の中に居た。
そんな中でエミリアと出会う。
俺は彼女に救われたんだ。
俺は一人じゃないと教えてくれた。
スイもまた、彼女に救われたのだろう。
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「もちろんよ。
手加減なんてしたら許さないんだから。」
スイはよく笑う女性になっていた。
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少しずつ殻を破いて行ったのだ。
・エリシャ
「後で吠えずらかくにゃよ?」
・サリウス
「これは卑怯なんじゃないか?」
スイ対(エリシャ・サリウス・俺)
俺が最後に提案した試験内容だ。
その為に集まってもらった。
・「サリウス、、、お前死ぬぞ?
やる前から余裕を見せるな。
どんな相手でも格上と思って戦え。
どんな戦況でもだ。」
一応怒っておいた。
はっきりと言おう。
このメンツでもヤバいかもしれん。
・エミリア
「では始めます。
この戦いは私エミリアが見届けます。
双方、全力で戦ってください。」
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俺はロドルフを抱えて飛んだ。
エリシャがエミリアを連れて行く。
流石に近いと危ないからね。
結構離れた丘の上に降ろした。
ここからなら見えるだろう。
・エミリア
「浩二、エリシャ、気を付けてね。」
・「解ってるよ。」
・エリシャ
「任せて、勝って来るから。」
・エミリア
「怪我しない様に帰って来てね。」
しっかりと言い直したエミリア。
仲間同士の戦いだからね。
・エミリア
「スイに伝えて、負けちゃダメよって。」
エミリアはスイと共に過ごす日々の中で、最近はスイによく甘えるようになった。
姉のように感じているんだろう。
一方でスイもエミリアを妹と思っている。
とても仲が良いのだ。
・「伝えるよ、じゃあそろそろ行くな。」
俺達はスイのもとに戻る。
スイはサリウスと話をしていたようだ。
・「エミリアからの伝言だ。
『負けちゃダメよ』ってさ。」
俺はしっかりとスイに伝えた。
そしてちょこっと後悔した。
・スイ
「そう、なら負けられないわね。」
スイのヤル気スイッチがONとなる。
・「エリシャ、サリウス。
はじめから全力で行けよ。」
俺の尋常じゃない警戒心に気付く二人。
そして戦いが始まった。
・「行くぞ、ターレット起動。」
実はこっそり置いていた。
スイに見つからない様に、、、
しかしスイには当たらない。
始まった瞬間、、、
スラスターとブースターで距離を取る。
フェンサー特有の移動方法。
跳ぶ、進むを掛け合わせた移動だ。
・「あいつ、読んでやがったな。」
全ての兵種を極めてしまったスイ。
いまや俺よりも詳しいと思う。
はっきりと言える。
あいつは天才だ。
座学でもすぐに理解を示した。
更に戦闘センスは凄まじかった。
そして記憶力もずば抜けている。
その上で容姿端麗。
弱点が見当たらない。
遠く逃げるスイを追うエリシャ。
高度から狙い撃つだ。
遠距離で仕掛けるサリウス。
狙撃ならお手の物。
しかし、、、
・サリウス
「弾が当たらない。」
狙撃の天才が嘆いている。
・エリシャ
「くそ、私よりも早い」
戦闘の天才も嘆いている。
フェンサーの特殊移動は一番早い。
操作が難しいけどね。
更に恐ろしい事がある。
ゼロからの発進が早くて長いのだ。
ダイバーもスラスターがあるがフェンサーの方が進む事に関しては優れている。
・スイ
「貰った!」
必死に追いかけていたエリシャをスイが狙う。
急反転してスイが仕掛ける。
スイの攻撃がエリシャを襲う。
・エリシャ
「待ってたよ!」
エリシャもこれに反応。
僅かにスイの攻撃を避ける。
彼女はカウンターを狙っていた。
エリシャのカウンターが空を切る。
スイは紙一重で避けていた。
・サリウス
「そこだ!」
狙っていたかの様にサリウスの弾丸が放たれる。
・スイ
「そうそう当たりませんわ。」
しかしスイに躱されてしまった。
・「これなんだよね。」
俺が彼女に感じた恐怖。
彼女は魔族だ。
当然魔法が使える。
・「フェンサーと魔法の融合。」
スイは風魔法の使い手だ。
フェンサーの動きに合わせて風を操る。
お陰で俺でも読めない動きをするんだ。
物理法則なんて完全に無視ですよ?
・サリウス
「浩二も手伝ってよ!」
サリウスに怒られた、、、
だって空爆要請とかすると危ないし。
ターレット起動中だったから。
仕方がない、、、
「チェンジ、レンジャー。」
俺もサリウスの狙撃に加わる。
でもなぁ、これをすると危ないのよね。
、、、俺達が。
・スイ
「チェンジ、ダイバー」
スイの動きが変わった。
一番厄介な兵種だ。
スイはダイバーに変わる。
風魔法と組み合わせた動きになる。
とんでもない動きだ。
・「言わんこっちゃない!」
・サリウス
「早い、、、」
俺達は無弾を撃たされまくる。
・「クソが、当たれやぁぁぁぁ」
全く当たらない、、、
・サリウス
「くそぉぉぉ」
正直、狙撃には自信があった。
相当ゲームでやったからね。
サリウスも狙撃には自信がある。
二人の自信は完全に潰された。
・エリシャ
「そこだ!」
ドラグーンランスで奮闘中のエリシャ。
スイも同じ武器で戦っていた。
俺達の弾を避けながら、、、
・スイ
「甘い!」
スイもそれを躱して反撃する。
エリシャの戦闘センスはずば抜けている。
スイの攻撃を見事に躱していた。
・エリシャ
「スイ、、、凄いよ。」
スイもエリシャの攻撃を躱し続ける。
一撃当たれば終わるのに当たらない。
そんなヒリヒリした戦闘を楽しんでいた。
しかし最後はやって来る。
・エリシャ
「そこだ!」
エリシャの渾身の一撃。
さがる先には俺達の弾丸。
俺達の連携が見事にスイを捕らえた。
逃げ場はない。
・スイ
「流石ですね。」
勝った、、、
3人はそう思った。
一瞬だけ気を緩めてしまった。
スイはその一瞬の隙を見逃さない。
彼女はエリシャに向かて行く。
そして風魔法でエリシャを少しズラす。
その事でエリシャの攻撃を外させた。
想定外の出来事に反応できないエリシャ。
遂にスイの攻撃を食らってしまう。
・スイ
「チェンジ、レンジャー
『ファング』2刀流。」
刹那、モードを切り替えるスイ。
空中での狙撃。
一発目で俺を撃ち抜く。
・サリウス
「浩二!」
サリウスの気が逸れた。
すかさず武器を持ち換えての2射目。
見事にサリウスを撃ち抜いた。
・「マジか、、、強すぎだろ。」
たった一人に3人が負けた。
恐ろしい戦士を造り上げてしまった。
だが何故か清々しい気分になっていた。
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ほんの0.00001パーセントの確実でユニークスキルがドロップする事がある。今回、それだったら、数億の価値だ。それを売り払えば、悠々自適に生きて行けるんじゃねぇー?と大喜びした蓮だったが、なんと難儀な連中に見られて絡まれてしまった。
必死で逃げる算段を考えていた時、爆音と共に、大きな揺れが襲ってきて、足元が崩れて。
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落ちる!と思ったとたん、思わず、持っていたオーブを強く握ってしまったのだ。
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エラーから始まる異世界生活
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45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
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45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
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2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
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スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
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勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
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9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
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