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悪役王子だるまにされたけど四肢を取り戻した 8
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イリアスの言葉に答えていないことは突っ込まれなかった。いつもおれを見透かしたようなイリアスの度肝を抜けただろうか。
少し得意な気分になって反応を待ったが、イリアスはすぐに顔をあげた。
「いいだろう」
「え? いいの?」
「初めてでもない」
何でもないことのように言われた言葉がショックすぎた。お前は攻め固定じゃないのか!!??
「なっ、誰と!?」
「ドゥルマがシャイオにやられるまで清らかだったほうが予想外だ」
しれっとおれの質問を無視してベッドに腰かけたまま、立っているおれを揶揄うように笑う。結局こいつは余裕で、おればっかりキリキリして童貞に拘って……でも、おれの魂の半分は現代日本人だ。常識が違う!
「おれは好きな奴としかしない!!」
「そうか、一体どういう教育を受けてこうなったのか不思議だが、信念があるのは良いことだ」
大して年の変わらないイリアスに、幼い子を見るような目で見られて悔しくてたまらない。なんだよ、日本人で生きた三十年、加算されないのかよ……。おれのほうが大人だぞ。童貞で三十になったから魔法使い……はっ、もしかしてその無念の念でこの世界に転生したのか!? 中途半端だけど、おれの前世の善行もそう多くないからこんなもんが妥当だってこと?
だるまにされて犯されまくるほどの悪事は働いてないと思う。ミニスカートのお姉さんが階段にいたら下を歩く程度だ。盗撮まではしていない。ラッキースケベがそんなに悪いことなのか。
「ドゥルマは昔から足りないと思っていたが……。手足が戻ってよかった。五体満足のほうが美しい」
だるまも良いみたいなこと言ってたくせに、そんないい顔で笑われると胸がキュンキュンしちゃうじゃないか。人に好意を寄せられるのに慣れてないから、簡単に落ちてしまう。褒め言葉の前になんか言われていたみたいだけど、褒められて帳消しだ。
「そう、手足があるほうがひとは美しいんだ。この先、おれのことをいいと言う人間が山のように現れて、その中にはイリアスよりいい奴がいる。選ぶのはおれだ」
「どんな手を使っても、ドゥルマには俺を選ばせるさ。気が進まないが、俺を抱きたいと言うのなら与えてやろう」
おれがヘタレ王子だとしたら、こいつは帝王の風格だ。爵位も継いでないただの貴族の息子というだけのはずなのに……役者が違いすぎる。
イリアスの体験について聞いた流れで知ったが、ある程度身体が大人になったら排泄不要の魔法を施すのが貴族のなかで流行っているらしい。病気の原因を調べるために排泄物が必要な時もあるから、施術するかしないかは半々ぐらいらしい。おれがその存在を知らなかったのは友達がいなくて情報が入らなかったから……。
シャイオはべつに特別なことをしたわけじゃなかったらしい……。イリアスは十歳ぐらいのときに施術していて、その時に……ショタイリアスを頂いた奴殺す!!
気持ちよくないわけじゃなかったけど、向いてないと思ったからそれっきりだって言ってるけど……子供の興味危険!
ほんと、この世界エロに特化しすぎじゃないか。特にイリアスが誰かにヤられていたのは悔しい。そんなのあり? おれだけ初めて?
「誰だよ……っ」
「落ち着け、そんなにショックだったのか。俺の初めてが欲しかったのか?」
「だって、おれ……うっ」
ごくごく自然に抱き寄せられて、そのスマートさにも腹が立つ。場慣れしやがって!
「ドゥルマ様、私なら初めてです。ドゥルマ様のためなら」
「いらない」
「つれない……そんなところもお慕いしております」
祟り神みたいなやつ相手には無理だ。触手をにょろにょろと纏いながら、シャイオが大人しくしている。変態だが一途だし悪い奴ではない……たぶん。
おれがイリアスとしてみたかったのは、こう、お互い初めて同志の甘酸っぱい感じとか……おれ、一生無理なの? いや、カリデュカとのあれは半分睡姦だったっし……。気付いたら突っ込まれていて、おっぱいは嬉しかったけど、これから初めて抱き合おうという胸の高鳴りはなかった。
「好きな奴としかしたくない、ね」
少し得意な気分になって反応を待ったが、イリアスはすぐに顔をあげた。
「いいだろう」
「え? いいの?」
「初めてでもない」
何でもないことのように言われた言葉がショックすぎた。お前は攻め固定じゃないのか!!??
「なっ、誰と!?」
「ドゥルマがシャイオにやられるまで清らかだったほうが予想外だ」
しれっとおれの質問を無視してベッドに腰かけたまま、立っているおれを揶揄うように笑う。結局こいつは余裕で、おればっかりキリキリして童貞に拘って……でも、おれの魂の半分は現代日本人だ。常識が違う!
「おれは好きな奴としかしない!!」
「そうか、一体どういう教育を受けてこうなったのか不思議だが、信念があるのは良いことだ」
大して年の変わらないイリアスに、幼い子を見るような目で見られて悔しくてたまらない。なんだよ、日本人で生きた三十年、加算されないのかよ……。おれのほうが大人だぞ。童貞で三十になったから魔法使い……はっ、もしかしてその無念の念でこの世界に転生したのか!? 中途半端だけど、おれの前世の善行もそう多くないからこんなもんが妥当だってこと?
だるまにされて犯されまくるほどの悪事は働いてないと思う。ミニスカートのお姉さんが階段にいたら下を歩く程度だ。盗撮まではしていない。ラッキースケベがそんなに悪いことなのか。
「ドゥルマは昔から足りないと思っていたが……。手足が戻ってよかった。五体満足のほうが美しい」
だるまも良いみたいなこと言ってたくせに、そんないい顔で笑われると胸がキュンキュンしちゃうじゃないか。人に好意を寄せられるのに慣れてないから、簡単に落ちてしまう。褒め言葉の前になんか言われていたみたいだけど、褒められて帳消しだ。
「そう、手足があるほうがひとは美しいんだ。この先、おれのことをいいと言う人間が山のように現れて、その中にはイリアスよりいい奴がいる。選ぶのはおれだ」
「どんな手を使っても、ドゥルマには俺を選ばせるさ。気が進まないが、俺を抱きたいと言うのなら与えてやろう」
おれがヘタレ王子だとしたら、こいつは帝王の風格だ。爵位も継いでないただの貴族の息子というだけのはずなのに……役者が違いすぎる。
イリアスの体験について聞いた流れで知ったが、ある程度身体が大人になったら排泄不要の魔法を施すのが貴族のなかで流行っているらしい。病気の原因を調べるために排泄物が必要な時もあるから、施術するかしないかは半々ぐらいらしい。おれがその存在を知らなかったのは友達がいなくて情報が入らなかったから……。
シャイオはべつに特別なことをしたわけじゃなかったらしい……。イリアスは十歳ぐらいのときに施術していて、その時に……ショタイリアスを頂いた奴殺す!!
気持ちよくないわけじゃなかったけど、向いてないと思ったからそれっきりだって言ってるけど……子供の興味危険!
ほんと、この世界エロに特化しすぎじゃないか。特にイリアスが誰かにヤられていたのは悔しい。そんなのあり? おれだけ初めて?
「誰だよ……っ」
「落ち着け、そんなにショックだったのか。俺の初めてが欲しかったのか?」
「だって、おれ……うっ」
ごくごく自然に抱き寄せられて、そのスマートさにも腹が立つ。場慣れしやがって!
「ドゥルマ様、私なら初めてです。ドゥルマ様のためなら」
「いらない」
「つれない……そんなところもお慕いしております」
祟り神みたいなやつ相手には無理だ。触手をにょろにょろと纏いながら、シャイオが大人しくしている。変態だが一途だし悪い奴ではない……たぶん。
おれがイリアスとしてみたかったのは、こう、お互い初めて同志の甘酸っぱい感じとか……おれ、一生無理なの? いや、カリデュカとのあれは半分睡姦だったっし……。気付いたら突っ込まれていて、おっぱいは嬉しかったけど、これから初めて抱き合おうという胸の高鳴りはなかった。
「好きな奴としかしたくない、ね」
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