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246 お弁当とゴーレム狩り
しおりを挟むしばらく盾の性能を満喫した。
とりあえず満足したな。
後はなるべく毎回使うようにして、もっと慣れていこう。
葵みたいにムッキーに稽古をつけてもらうのもいいかもしれない。
俺はステータスは高いが、技術だけで言えば全然ないからな。
速度さえ合わせれば普通に勉強になりそうだ。
「ただいまー!」
「キュル!」
「おかえりー」
タマとおろし金が帰って来た。
丁度次に行きたくなってきたところだ。
「タマ、おろし金、帰る前にちょっと寄り道してもいいか?」
「いいよー」
「キュルル!」
「どこ行くの?」
「まずはゴーレム狩りだ」
「ゴーレム! やったー!」
「キュル!」
タマは何故かハイテンションだ。
何故だろう。
いつも特に理由が無くてもハイテンションだから分からないな。
理由があるとすれば、大きいから爽快感を感じる、とかだろうか。
何はともあれ移動を開始する。
俺が知っているゴーレムが狩れる場所は、≪輝きの大空洞≫の入り口があるフィールドだ。
ダンジョンから出るだけで狩場に到着する。
効率が良い。
≪ストーレ山脈05≫へ出ると、太陽が輝いている。
今日もいい天気だ。
目的は≪ゴーレム結晶≫。
俺が装備してる盾と同じようなのを作る為だ。
それ以外の素材はあるけど、多分核になるそれがないと出来ないだろう。
でも一旦お昼ご飯にするか。
「お弁当にしよう」
「やったー! ごっはん、ごっはん!」
「キュルル!」
ストレージから≪ショクニククワガタの丸焼き≫を取り出した。
以前パーティー用に用意したものの、却下されて俺のお弁当になったものだ。
お弁当だから狩りの合間に食べようと思ってたが、ミルキーがいるとお昼を用意してくれるから後回しになっていた。
ずっと楽しみにしてたからいい機会だ。
ストレージから取り出した布を地面に敷く。
特に意味はないが、気分の問題だそうだ。
「はい、タマの分」
「ありがとー!」
「こっちはおろし金の分な」
「キュルル!」
取り出したお弁当をこんもりと積む。
二つの小山の完成だ。
せっかくだしお腹いっぱい食べてもらおう。
沢山あるからな。
「いただきます」
「いただきまーす!」
「キュルルルルル」
手を合わせてから、食べてみた。
普通に美味しい。
ただ、分解するのが少し手間だな。
タマとおろし金は甲殻ごとばりんばりん食べている。
おろし金はともかく、タマもか。
そういえばお腹を空かせた時に、食材じゃないクワガタの脚を齧ろうとしてたな。
用意した俺が言うのもなんだけど、絵面がやばい。
外では、タマにはなるべく見た目が普通のものを食べさせよう。
俺達はいいけど、知らない人が見たらショックを受けるかもしれないからな。
「おいしー!」
「キュルゥ!」
二人とも喜んでくれているようだ。
良かった良かった。
ミルキーは嫌がってたから、ミルキーのいないところで狩って焼いてストックしておこう。
勿論食べるのもミルキーのいないところでだ。
嫌がってる人の前でそれを強行する理由なんて俺にはないしな。
以前、ミゼルが調理前を見て気絶したなぁ。
あれもちょっと悪い事をしてしまった。
さて、腹ごしらえも終わった。
狩りの時間だ。
ただ、このマップにゴーレムはそんなに多くない。
そもそも≪ゴーレム結晶≫を落としたのは≪クリスタルゴーレム≫というモンスターで、狩った時を含めて一体しか見たことがない。
こいつはレアモンスターなのか時間沸きなのかは分からない。
よく考えたら≪ロックゴーレム≫がドロップする保障もない。
名前的に落とすとは思うんだけどな。
落とすとしても、ドロップ率が低めとかありそうだ。
とりあえず狩ってみるか。
ここはしばらく狩って回った時に、特に脅威になるモンスターはいなかった。
おろし金とタマのペアなら、別行動しても問題ないだろう。
「よし、二手に分かれての狩りだ。≪ゴーレム水晶≫っていうアイテムを拾ったらすぐに合流してくれ。あと三十分に一回は戻ってくるように」
「あいあいさー!」
「キュル!」
素材は欲しいが、今日は全力で狩りをする気分でもない。
場所の問題もある。
ここは≪無明の城≫と違ってただのフィールドだ。
他のプレイヤーがいたり、来たりする可能性は十二分にある。
あまり暴れまわるのも迷惑だからな。
ゆっくりのんびり狩ればいいさ。
「それ以外のドロップは好きにしていいからな。それじゃあゴー!」
「わーい! 行くよおろし金!」
「キュルル!」
タマはカナヘビモードのおろし金の背中に乗って、颯爽と去って行った。
あ、≪ストーンマン≫が撥ねられた。
可哀そうに、粉々だ。
おろし金の体当たりに石が耐えられる訳ないもんなぁ。
俺も行くか。
歩き回っては遭遇するモンスターを蹴散らす。
引き続き盾での戦闘だ。
ただ、さっきまでとは少し趣向を変えている。
無明の城では自律行動させたり投げたりしていたが、今回は盾を左腕に固定した状態での戦闘を心がけている。
近接戦闘の武器にもなるのはすごい。
問題があるとすれば俺の技術だが、少しずつ慣れていけばいい。
さっきも少し試したが、まずは盾を使った近接戦闘に重点を置こう。
剣は鞘ごと左腰のベルトに吊ってある。
右手は素手だ。
接近してくるモンスターを盾で殴る。殴る。偶に蹴る。
ストーンマンとストーンゴーレムしかいないが、どちらも一撃で砕け散る。
初めて遭遇した時は気を抜いていると何発かかかったのに、すごい進歩だ。
主に数値的な意味でだけど。
そんな調子で一時間程経過した。
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