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え、お断りします。
しおりを挟む春の太陽の光が王宮の庭園を明るく照らすなかガゼボで1人アフタヌーンティーを楽しんでいた王女シェリア。
彼女は今、まさに困っていた。
「私と結婚してください。一生愛しますからどうでしょう?」
そう、プロポーズされた、知らない男性に。
正直困ってしまっている。
長い腰まである銀色の髪は1つに束ねられ、後ろに垂らしており、翡翠色の瞳は優しげに輝いている。
顔だけ見れば凄く整った顔なので、ここまで綺麗な方なら忘れられるはずはないと正直シェリアはおもった。
だが、何度も記憶と照らし合わした末に見たことがないと記憶は言っていた。
シェリアが不思議そうにしているのを見て男はクスリと笑いシェリアに教えた。
「私はシェリアが15歳3ヶ月十日目の夜に出会っていますよ。その時は私が重傷だったので顔がわからなかったかもしれませんが。」
「…………!?」
男はその美貌で微笑んだままかなり出会った日の詳しい日付を言ったのだ。
ある意味怖いぐらいに詳しい年齢で日付けを教えてくれたため、少しびっくりした。
「すみません。よく知らない方と結婚はできません。そのプロポーズはお断りさせていただきます。」
男はそれでも微笑んだ。
まるでそう答えることが分かっていたように。
「そう言うと思いました。でも求婚はやめませんよ?今日は私という存在がいることをわかってくださるだけでもいいんです。少しずつ知っていってくださいね。」
「………………。お名前はなんというんですか?」
シェリアはとりあえず興味あるように見せかけ名前だけ
聞き、父王に侵入者がいることを知らせようと思ったのだ。
「私は偽名しか使ってませんから無いのと同じです。よかったらシェリアが本名をつけてくれませんか?」
名前を聞き出すことに失敗した。
男は相変わらず微笑んでおり、いつの間にか向かい側に座っていた。
「なら、セルフィーでいいですか?」
「いいですよ。セルフィー、気に入りました。好き人に名前をつけてもらえるなんて幸せです。」
シェリアは今更思うんだが、どうやってここまで来たのだろうか。
王宮の警備は特に厳重でシェリアにも護衛騎士がついているのに誰もここに来る様子がない。
「ふふ、護衛騎士には寝てもらいました。逢うのに邪魔なので。ですが、そろそろ他のやつに気づかれるでしょうね。」
セルフィーは白い手袋をした手をだし、シェリアの手をとった。
「大丈夫ですよ。お守りをつけるだけです。」
「お守りですか?」
「はい。あなたが事故などに合わないためのお守りです。暫くこれないと思うのでいざとなったら先ほどつけてくださった私の名前を呼んでくださいね。」
シェリアはもう少し詳しく内容を聞こうと思ったのだが、
「いたぞーー!あそこだ、追えー!」
「時間切れですね。では、シェリア、また今度逢いましょうね?」
セルフィーがシェリアの目の前で見えなくなった。
暫くして気配すらもなくなったので王宮からたちさったのだとシェリアは思った。
「姫様、ご無事ですか?今、賊を捕まえてみせますのでご安心してください。安全な王宮の中へ避難をお願いいたします。」
「姫様申し訳御座いません。不覚にも睡眠魔法を食らってしまいました…。護衛騎士失格です…。」
「いえ、いいですよ。私は無事だったわけですし。では王宮内まで護衛お願いしますね。」
「はい!」
シェリアは歩いてる最中に小さく呟いた。
「ふふ、印象付けだけなら成功はしましたね。」
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