本当に私でいいんですか?

泡沫 呉羽

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心の空虚     Side(シェリア)

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Side(シェリア)
 暫く外に出るのをやめるように言われました。

 少しばかり寂しく感じます。

 私にはお父様とお兄様2人がいるのですが、少し過保護、いえ、とても過保護なのです。

 刺繍は貴族令嬢の嗜みとも言われておりますので教育のプログラムにも入っており、刺繍用の針で指を刺してしまった時、刺繍は医者がそばにいる時にやるように言われます。

 ある時、我が儘を言ってみました。

 新作のドレスとたくさんの宝石のついた装飾品を頼みまして、ざっと普通の公爵令嬢の倍の金額になったはずなのですが、お父様は叶えました。

 他の貴族の反発が凄かったそうですが、叶えてしまったお父様は凄いですね。

 でも、私が本当に求めているのはそんなことでもないんです。

 だから、私は私の評価を悪くしました。

 10歳の時に悪くし、そのまま8年間キープしていたお陰で今では

『無能のお馬鹿で可愛らしいお姫様』
『現王族の汚点』
『国民の税で散財している女』

 とも言われています。

 最後のは流石に心苦しくなったのですぐやめてしまったのですが1度そうゆうレッテルがあると消えません。

 貴族令嬢はおしゃべり好きで噂好きなのですから…。

 さて、私はたまに自分を刺し殺したくなります。

 心の空虚が埋まらないんです。

 元々私は内気で、更にお父様の血が濃く流れているので人の嘘や貴族の笑顔の内側に隠されているどす黒い感情が分かってしまうんです。

 自分の意志でこの見えてしまう力は制御出来ないので結構社交の日は辛いのです。

 家族のは見ることが出来ないのですが専属侍女など王宮務めの人たちは見えてしまうので私は基本侍女はつけてません。

 こっちのは最近知ったのですが、お父様は制御出来るらしく何でも16歳の時に突然出来るようになったそうです。

 お兄様方はそもそも見えないのでちょっと羨ましいです。

 刺し殺したくなった時は大抵秘密で王宮外にでたりしてます。

 というのも1度本気で刺そうとしてしまい、見つかって止められました。

 それから私の付近には刺せるような危ない物は一切置かれないようになり、使う場合は側に誰かを置くことが定められました。

 一般国民の方が圧倒的に心がきれいなので、やっぱり貴族って怖いですね……。
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