悪魔付ゲーム

本棚に住む猫(アメジストの猫又)

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〜悪魔はトラップが必要なのか〜

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    朝の殺し合いは終わり、私達は二手に分かれる事にした。今日が、なぜ教会関連の服なのか…。そして、ツリーが教会の話をしていた事に皆気になったからだ。
    私は、図書室に少し用があった。あそこなら、何か掴めると思ったから。

「……じゃあ、私は1人で図書室に行くから。そっちはよろしく。
お昼ご飯になる前…、11時半に会場前に集合しよう。」
私はそう言うと、図書室に向かった。後ろで、あいつの声が聞こえたけど無視して向かった。


─────鈴(りん)eyes

…しかし、図書室に行く人も居ないな…それに、段々人が居なくなってきてるし、そろそろ何か起きそうな気が…。

「あの~」
    可愛い女の子の声がして、バッと後ろを振り返る。

「え、えっと…わ、私…かな?」
少し緊張しながら自分に指を指すと、クスクスと手を口に当てて少し笑いながら、女の子が「そうですよ♪」と、可愛らしく言う。

「な、何か私に御用…かな?」
    女の子に微笑んでそう言うと、女の子をよく見る。なんか、この子は私と同じくらいの身長だけど…可愛らしくて、小悪魔っぽい感じ?でまるで、シスター服が天使キラーみたいな印象だ。うん。こういう子は、アクションゲームとかそういう系のキャラで可愛いけど、えげつないスキルとか、物凄い強いとかの系統だ。

「あの~、凍花(とうか)、皆の様子よく見るんだけれど、情報交換しませんか~?
私、色んな情報持ってるの。」
    最後の一文、さっきの可愛い声が一変するほどの凍りつきそうな声で私を見つめた。私、今ヒールを履いてるんだけど…この子、とうかちゃん?はぺたんこ靴なのか、私を見上げる感じなのに…怖かった…。

「…そ、それは嬉しいな。
わ、私達は今二手に分かれて調べてるんだ!
どうかな?一緒に図書室で調べない?」
    どうしよ…この子、年齢が分からない。背は私くらい?のはずだけど…よく分からない。未成年にも見えるし…成人してる様にも見える。でも、何歳かは分からない。

「わ!やった♪
凍花、鈴ちゃんと一緒に図書室に行く!!」
    さっきの声から、可愛い元の声に戻って私の手を繋いで進んで行く。なんで、私の名前を知ってるんだろ…

「な、なんで私の名前…」
私が言い終わる前に、「知ってるよ♪だって、調べたもん。」そう言いながら進んで行くとうかちゃん。はっきり言って、怖い。

「あ、凍花の名前は緑雨    凍花(りょくう   とうか)って言うの♪
気軽に、凍花ちゃんって呼んでね♪
鈴ちゃんの名前は、青葉    鈴(あおば    りん)ちゃんだよね♪」
    そう言う凍花ちゃんは、どんどん進んで行って顔が見えない。
    それに、なんで間取りが分かるんだろう…私でも、少し迷うのに…。

「よし♪
鈴ちゃん、着いたよ~!」
    そう言って、凍花ちゃんは私に「これからよろしくね♪なんでも、聞いて!凍花にも、情報あったら教えてね♪」そう言って、本棚の方へ行ってしまった。
    私は、「うん。」とか「分かった」くらいしか言えなかった。謎は沢山あるけど、この子の事を頼る時がありそうな気がする。今は、皆には紹介しないでおこうかな…。よくある、黒幕の手下みたいな展開があったらいけないし…。


─────淑eyes

    11時半に集合する事が決まって、私達は向かった。私から見ると、鈴さんと陽向(ひなた)さんはお似合いの夫婦。みたいに見えちゃいますね。そんな事を呑気に考える事が出来るのは、可笑しいのでしょうか…。

「ねぇ、陽向!
なんで、鈴と一緒じゃダメなんだよ!!」
    洋仁(ひろと)君は、陽向さんに強引に手を繋がれて、鈴さんと離れちゃいましたからね…

「ダメなものはダメなんだよ!
あいつが1人で探索するつって行きやがったんだよ!」
    あ、陽向さんも洋仁君と同じで一緒に行きたかったのかもしれないですね。

「ま、まあまあ!
そろそろ、教会に着くし…鈴さんは鈴さんで何か考えがあるかもですし…ね?」
   荊(けい)が二人をなだめながら、私は教会で何を重点的に調べるか考える。
    あと、教会に行く人も多いと思う。さっきの、ツリーが教会の事を話していたという事は、何かあるはず…。鈴さんも、私達の事を任せて別行動をしてるはず。

教会に着いた時。教会から悲鳴が聞こえてきた。


───────

    11時半になって、私と凍花ちゃんはまた会場に…って話になって別れた。
    私が探してた事は、分かったようで分からなかった。収穫がなかったから、あいつに怒られるかな…?

「あっ、皆!
遅かったね。何かあった?」
    うん。10分くらい私待った気がする。それよりも、皆の雰囲気が変わってる気がする…。空気が重い感じ?

「り、鈴さん…。
私達は、ツリーに殺される為に居るのかもしれないです…。」
    荊さんが私に駆け寄って、抱きついてきた。
    正直、嬉しい…。こんな可愛い子に抱きつかれて嬉しくないなんてない!!
って、違う!!殺される為に居る?!

「お、落ち着いて!!
荊さん?そんな事ないよ。それに、そうだったとしても、なんでこんな、ややこしい事してるのか理由がない。
ね?だから、落ち着いて」
    私は、荊さんの背中をさすってなだめる。そういえば、洋仁は?皆の様子を見る所、どこにも洋仁がいなかった。嫌な予感がする。

「ねぇ、洋仁は?
教会にまだ居たりとか?あ、トイレかな?」
    私の声だけが、廊下に響くだけだった。誰も、私に目を合わせてくれない。嫌、嫌だよ?洋仁が、いなくなったみたいじゃん。

「……あのな、鈴。
洋仁は、教会のトラップで死んだ。」
    私の顔を両手であいつの目線に合わせて額が着く距離で、優しく言う。

「なんだよ。今私の名前をちゃんと言うなんてさ。
冗談が過ぎるって!」
    なんでだろ。泣きそう…こんなので泣くなんて、乙女じゃないんだから。

「嘘じゃない。泣いていい。」
    そういうこいつは、私を強く抱き締めた。私の顔が誰にも見えない様にするかのように。こういうのは、乙女ゲームとかでしか見た事ないわ!
    こいつも、やっぱモテるんだろうな。こういうのサラッと出来るのはイケメンだよな~。

「馬鹿。
そういうのって、好きな奴にするやつだろ。」
    半泣きの様な声で言う私は、変な声になってるだなんて事を考える暇もないくらい。洋仁の事でいっぱいだった。

「……大丈夫です。
今は泣いてスッキリしましょう。それに、お昼ご飯ももう少しです。」
    淑さんも、そう言うと抱きしめてくれた。私は、涙は出てこなかった。それほど、洋仁を思ってたんだって、身に染みるほど感じさせられる。
    不思議と泣けなくて、出てくるのは泣き声の様な声で、声にならない声で唸りながら笑う事しか出来なかった。

『皆様いかがお過ごしでしょうか?
もう時期、昼食が出来る頃。そんな中、皆様は教会に行きましたでしょうか?
謎解きがあったのを気づかれましたか?
間違えた方。正解した方。場合によっては、磔にされたり、転落死や窒息死、溺死…等々死んでしまう様になっております!』
    ツリーの言葉が何かの呪文の様にしか聞こえなかった。ただ、これはツリーが意図的にやったという事だというのは分かった。

    後の事は何も分からなかった。
    私は、いつの間にか部屋で、ベットに腰かけている状態だった。



───────
洋仁が死んだ。
原因は、聞けなかった。何も、手をつけられないでいる私。
皆を不安にさせている。
鈴宮君だけが、何か握っている気がするのは私だけなんだろうか?
ただ。私は洋仁を失って壊れかけで、穴の空いた心はどう埋めるのか分からないまま。
午後のティータイム。それはとても静かだったという事しか言葉に出来なかった。
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