異世界で石に転生した件

atori

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「いしさん、わたし、どうすればいいの?」

「そうだな、いまはとりあえず、人の目は気にしなくていいぞ? 誰も生き残ってないから外に出てみればいい」

「うん……」

 ラナは俺を両手で抱えたまま、外に出た。

 つぶれた馬車を見て、ひざを地面についた。

「どうしよう。これじゃあ、おねえちゃんのところまでいけないよ……」

「歩いていくしかなさそうだな」

「いしさん、あるけるの?」

「違う違う。ラナが歩くんだよ。できれば俺を抱えて」

「え……ムリだよ。すっごく遠いのに、わたしはあるくのおそくて」

「それもそうか……でもこの辺は坂もないし、俺一人じゃどうにもならんしな」

「それにね、おねえちゃんとちがってよわいから」

 俺は手のひらの上で向き直り、ラナを見上げた。

 周囲を警戒するようなしぐさに、何かを恐れるような視線。
 たしかに、普通か、それよりも貧相な体つきの子だ。
 ろくに食事を摂っていない不健康気味な方の。

 あの魔物みたいなヤツでなくても肉食の動物に遭遇したら命はないだろうな。

 う~ん。

 家族は姉の他にいないとラナは言っていたな。
 家を出て出稼ぎで冒険者になるということは、預けられている家の姉妹に対する待遇が相当悪いことを意味しているんだろう。
 馬車にはまだ乗って3日だという話しから考えると、食事もろくにとれてない。
 
 とにかく、移動手段の確保か。
 食料を乗せた馬車がこれだけだとすると、数日以内にどこかの人里ある場所に停泊することを前提にしているはずだ。
 であれば、馬車で半日ほどの場所に人の住む街や村があるはずだ。
 そこで新しい移動手段を得ればいいか。
 
「よし、歩いて近くの街か村にまずはいこう」

「でも……」

「もし危険な魔物に出会ったときは俺が何とかする……」

「ほんとに? いしさんいしなのに?」

「ああ、もちろん」

「じゃあ、わたしはかくれて、おうえんするね?」

 あ、俺一人じゃ無理だった。

「……ごめんなさい、俺一人じゃ無理でした。一緒に戦ってください……」

 小さい子に一緒に戦ってくれとかなさけないにもほどがある。
 けれど、俺は一人だとただの石で、動くことすら大変なのだ。

「わたし、まものなんて、たおせないよ?」
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