異世界で石に転生した件

atori

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5.つつく

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「だれ?」

 俺はどう応えようか迷ってしばらく沈黙した。
 人に会ったときのことを考えていなかったせいだ。
 石がしゃべっているのはおかしくないかとか。整理がつかなかったのだ。

 しばらくして声のした箱のフタがゆっくりと開いた。
 中から出てきたのは小さな女の子だった。
 挙動不審というか、かなり警戒していた。
 緊張がこちらまで伝わってくる。

 ぼろ布をまとい、血の気の悪い顔をしている。
 俺の世界だと小学生、いや幼稚園に通っているといわれてもおかしくない背丈だ。
 見た目5~6歳の少女だろう。

「だれも……いないの? こえ、したのに……」

 俺は石であるためか、案の定、箱から出てきた少女は首をかしげた。
 箱の外には音源になるようなものが何も無かったからだろう。

 とりあえず声かけてみるか?
 いまのこの状況がわかるかもしれない。

「なあ、こんな所でどうしたんだ?」

「え……だれ?」

 突然声をかけたからか、少女は困惑気味に周囲を見回した。

「下だよ下。ほら、これが俺。見た目は石だけど、人間なんだ」

「……」

 少女は地面の石をしばらく見つめた後、しゃがんで俺の体をつついた。
 
「なんで、つつくんだ?」

「ほんとに、いしがしゃべった……」

 少女は目を見開いた。

「やっぱり驚くか?」

「……うん」

 暫く呆けていた少女は、俺を持ち上げてまじまじと観察した。

「いしなのに、目もついてるの?」

 人差し指で俺の目をつつきだした。

「こら目をつつくな」

「あ、ごめんね……痛かった?」

 別に痛くはないから良かったんだが、元は人間だから急所をつつかれると変な感じだ。
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