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2.魔法使えない?
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山の頂上から転がったにしたって、そろそろ木にぶつかって止まってもいいはずだ。
だが、荒れ野のようで草木一本生えていなかった。
遥か先、見渡す限りの坂と荒れ地。
他にわかっていることは、どうやら俺はただの石ではないらしい。
後ろから追ってくる化け物たちの様子からもわかる。
どうやら俺の魂?が入った、この器の石を必死に追いかけているようなのだ。
化け物じみた顔もあいまって、鬼の形相でだ。
でも残念!
加速した転がる石に生き物の体躯をした存在が追いつけるはずも無い。
どんどん距離が開いていく。
異形の存在たちは口々に泣き言を口にし始める。
「やばいだぁ。このままじゃ、ラガス様に殺される」
「うぁぁぁぁ、あの拷問を想像するだけで小便漏らしそうだ」
「それだけじゃないべ。あのお方がずっと大事になさっていたフィムルス・ストーンだべ。いつもあの方が肌身離さず身につけていたんだべ。あの石にどれほどの魔力がこめられているか……」
「他の者に奪われたら」
「確かに、やばいだぁ」
異形の者たちの叫びが遠のいていく。
俺は断崖を飛び越えて、さらに加速していた。
追っ手はもう見えない。
最後には、異形の者たちの悲鳴に近い声だけが聞こえた。
ただ転がっているだけというのも暇なものだ。
さっきまで追ってきていた奴らの話が少し聞こえたが、どうやら俺は誰かの所有物だったらしい。
宝石の類なのか、ファンタジーでよくあるアイテム?みたいなものなのか。
良くはわからないが、この石に魔力が込められているらしいことはわかった。
目をつぶって意識を内面に集中させてみた。
なんかすごい力の塊を感じ取ることが出来る。
「ん? なんだ……」
頭の中に何かが浮かんだ。
石版が頭のイメージの中にはっきりと見える。
そこには『石魔法』と書いてある。それから横に星マークが一つ。
俺はとりあえず叫んでみた。
「石魔法・発動!」
……。
…………。
あれ?
何も起きないぞ。
叫んだ俺が恥ずかしいじゃないか。
だが、荒れ野のようで草木一本生えていなかった。
遥か先、見渡す限りの坂と荒れ地。
他にわかっていることは、どうやら俺はただの石ではないらしい。
後ろから追ってくる化け物たちの様子からもわかる。
どうやら俺の魂?が入った、この器の石を必死に追いかけているようなのだ。
化け物じみた顔もあいまって、鬼の形相でだ。
でも残念!
加速した転がる石に生き物の体躯をした存在が追いつけるはずも無い。
どんどん距離が開いていく。
異形の存在たちは口々に泣き言を口にし始める。
「やばいだぁ。このままじゃ、ラガス様に殺される」
「うぁぁぁぁ、あの拷問を想像するだけで小便漏らしそうだ」
「それだけじゃないべ。あのお方がずっと大事になさっていたフィムルス・ストーンだべ。いつもあの方が肌身離さず身につけていたんだべ。あの石にどれほどの魔力がこめられているか……」
「他の者に奪われたら」
「確かに、やばいだぁ」
異形の者たちの叫びが遠のいていく。
俺は断崖を飛び越えて、さらに加速していた。
追っ手はもう見えない。
最後には、異形の者たちの悲鳴に近い声だけが聞こえた。
ただ転がっているだけというのも暇なものだ。
さっきまで追ってきていた奴らの話が少し聞こえたが、どうやら俺は誰かの所有物だったらしい。
宝石の類なのか、ファンタジーでよくあるアイテム?みたいなものなのか。
良くはわからないが、この石に魔力が込められているらしいことはわかった。
目をつぶって意識を内面に集中させてみた。
なんかすごい力の塊を感じ取ることが出来る。
「ん? なんだ……」
頭の中に何かが浮かんだ。
石版が頭のイメージの中にはっきりと見える。
そこには『石魔法』と書いてある。それから横に星マークが一つ。
俺はとりあえず叫んでみた。
「石魔法・発動!」
……。
…………。
あれ?
何も起きないぞ。
叫んだ俺が恥ずかしいじゃないか。
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