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1.転生して石になる
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『トラックミキサ』をご存知だろうか。
いわゆる生コンクリートをぐるぐる回しているドラム型のトラックのことである。
なぜそんな話をしたか。
俺が死ぬほんの数秒前に見かけたからだ。
女の子を助けようとして引かれてしまった。
即死だった。
享年28歳。つまらない人生だった。
未練など無い。いや、あるとすれば、女とまったく縁が無かったことか。
もし次に生まれ変わったら、せめて死ぬまでに童貞くらいは卒業できるくらいにはなりたい。
そして……。
俺は気づいたら地面を回っていた。
ぐるぐるぐるぐる。
人の体でじゃない。
地面と俺のごつごつした部分が当たって土砂崩れのときのような。
砂の擦れる音がさっきから聞こえている。
目はあるらしい。
さっきから外の様子が回りながらも見えている。
後ろから俺を追いかけてくる存在もある。
「待ちやがれ!」
「止まるんだクソ!」
後ろからの声など関係ないとばかりに、坂を転がっていく。
追いかけてくる存在は、人の形をしていながら、人ではなかった。
異形の存在。
頭から角が生えていたり、見にくくゆがんだ動物の顔面をしていた。
水溜りを転がる勢いで飛び越えた。
水面に映る俺はまるで……。
「これ、石じゃね?」
口も無いのに、自分の声が聞こえた。
マジか……。
生まれ変われたのは、素直に嬉しい。
でも人じゃなくて、石ってなんだよ!
もしかして、生コンか?
トラックミキサに引かれた呪いとかいうんじゃねえだろうな?
結局、生まれ変わっても童貞のままということ。
「冗談じゃないぞ」
ただの罰ゲームに等しい。
俺の股間は、もうどこにもない。
どんな最強の宝剣よりも手に入れたい。
取り戻すんだ。
俺の聖剣を。
よし、冗談はこのくらいにして。
だいたい石ころに俺の聖剣ついてたら、ただの珍妙な化け物だろうからな。
さてと。
転がる退屈さは少しまぎれたけど、これいつまで転がってんだ?
いわゆる生コンクリートをぐるぐる回しているドラム型のトラックのことである。
なぜそんな話をしたか。
俺が死ぬほんの数秒前に見かけたからだ。
女の子を助けようとして引かれてしまった。
即死だった。
享年28歳。つまらない人生だった。
未練など無い。いや、あるとすれば、女とまったく縁が無かったことか。
もし次に生まれ変わったら、せめて死ぬまでに童貞くらいは卒業できるくらいにはなりたい。
そして……。
俺は気づいたら地面を回っていた。
ぐるぐるぐるぐる。
人の体でじゃない。
地面と俺のごつごつした部分が当たって土砂崩れのときのような。
砂の擦れる音がさっきから聞こえている。
目はあるらしい。
さっきから外の様子が回りながらも見えている。
後ろから俺を追いかけてくる存在もある。
「待ちやがれ!」
「止まるんだクソ!」
後ろからの声など関係ないとばかりに、坂を転がっていく。
追いかけてくる存在は、人の形をしていながら、人ではなかった。
異形の存在。
頭から角が生えていたり、見にくくゆがんだ動物の顔面をしていた。
水溜りを転がる勢いで飛び越えた。
水面に映る俺はまるで……。
「これ、石じゃね?」
口も無いのに、自分の声が聞こえた。
マジか……。
生まれ変われたのは、素直に嬉しい。
でも人じゃなくて、石ってなんだよ!
もしかして、生コンか?
トラックミキサに引かれた呪いとかいうんじゃねえだろうな?
結局、生まれ変わっても童貞のままということ。
「冗談じゃないぞ」
ただの罰ゲームに等しい。
俺の股間は、もうどこにもない。
どんな最強の宝剣よりも手に入れたい。
取り戻すんだ。
俺の聖剣を。
よし、冗談はこのくらいにして。
だいたい石ころに俺の聖剣ついてたら、ただの珍妙な化け物だろうからな。
さてと。
転がる退屈さは少しまぎれたけど、これいつまで転がってんだ?
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