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第7章
161,2人の距離
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瓦礫の山を登ると壁に突き刺さった巨大な柱がある。
これが青いクリスタルがあった柱だ。
突き刺さってはいるが柱の大きさは凄まじい。よくこれほどの巨体でこの状態を維持できるものだと思うくらいには。
相当深く壁に刺さっているのだろう。
まぁじゃなければオレの上に落ちてきて死んでいたのだろうけど。
……さて問題はこの柱の裏にあった青いクリスタルだが。
「わたりん、ありましたわ」
あっさり見つかった。
勇者の装備を身につけているドリルさんにかかれば高速で動き回るのに何ら支障はない。
壁に突き刺さったままの柱の周りを軽やかに飛び回って確認してきてくれた。
あのくらいならオレにもできるけど、ドリルさんは着地の際の接地面に対して衝撃を拡散しているのか、ほぼ発生する衝撃を無効化して飛び回っているように見える。
おかげで突き刺さったままの柱は微動だにせずそのままだ。オレだとあぁはいかない。
なかなかやるな。
青いクリスタルは柱の側面――オレが見ている方向からは逆――にあるみたいだ。
良く落ちなかったもんだ。固定でもされているのだろうか。
ともかくクリスタルは無事に稼動しているらしいのでこれでやっと帰れる。
なかなか長いイベントだった。
「ところでわたりん」
「何ですか?」
「わたくし達かなりいいコンビだと思うのです。これからも一緒に冒険をしませんこと?
もちろん勇者活動に関してはわたりんの意見を尊重しますわ」
……悪くはない。
勇者の装備を使いこなしている今のドリルさんなら確かに戦力的には申し分ないだろう。
ただやはりそれをもってもあまりあるドリルさんという強烈な個性が問題だ。
この人と一緒に活動すると漏れなくイベントの嵐になるだろう。鬼刃がいい例だ。
「やめておきます」
「そうですの。でもいつでも連絡してくださいまし。
エストリア様から通信魔道具は頂いているのでしょう?」
「ありますけど」
「では気が変わったらいつでも連絡してくださいな」
にっこりと2つのドリルを揺らすアリアローゼ・シャル・ウィシュラウはやはり成長していると思う。
最初に出会った時のような傲慢さがかなり薄れている。
あの頃のような無関心レベルのどうでもよさはもうなく、それなりの興味は抱ける。
まぁ唯我独尊な性格はどうしようもないのだろうけど。
もしかしたらまた一緒に戦うようなこともあるかもしれないな。
柱の上に飛び乗って上から見てみると確かに青いクリスタルがあった窪みが見える。
もうすぐアルに会える。きっと1階で待ってるはずだ。
アルと離れ離れになってしまって、自分がどれほどアルに依存していたのかを自覚した。
この世界――ウイユベールに来てからずっと一緒にいて生活にも冒険にも欠かせない存在になった。
いつしかオレの心の中の大部分を占めるようになったアル。
オレはもうアルがいないと生きていけないかもしれない。
いつからこれほど弱くなったのだろうかと思う反面、弱くてもいいんじゃないかと思う部分もある。
だって弱くてもアルが守ってくれるから。
これが恋なのか、愛なのか、それともただの依存からくる何かなのか。オレにはまだわからない。
でも待っているだろうアルに会えばわかるかもしれない。
そんな予感めいたものがオレの胸の中で高らかに鳴り響いている。
この青いクリスタルに触れて、1階に戻った時にはっきりする。
怖いような楽しみなような、不安と期待に胸を焦がしながらドリルさんと一緒にクリスタルに手を伸ばした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ワタリ様!」
「ワタリさん!」
視界が切り替わり、最初に聞こえた声はやはり待ち焦がれた声だった。
一拍遅れて聞こえたレーネさんの声には安堵を。
アルの声が聞こえた時の胸の高鳴りようはどうみても恋する乙女のソレだと確信するには十分だった。
振り返れば駆け寄ってくる2人。
自然と笑みが溢れ……そしてアルの取った行動に固まった。
「申し訳ありません、ワタリ様!
このアル、ワタリ様をお守りする事が出来ず、おめおめと帰りを待つことしか出来ませんでした」
再会のハグとは言わないでもせめて手を握って安心させてくれるかも、と思っていたところに片膝を突いて跪き頭を垂れるという従者の態度。
確かにアルは従者だ。
そしてオレを守る盾となる事を望んでいる。最初にオレが望んだからだ。
オレが望んだ事を出来なかったから陳謝の言葉と態度を取る。
まるで……罰を与えてくれとばかりに。
高鳴っていた鼓動が急速に冷えていくのがわかる。
あぁ……これがオレとアルとの距離だ。
アルはオレの従者。オレに従う者。オレを守る者。オレの盾。
オレのモノであっても、決してオレのモノにはならない。
淡い感情など入り込む余地のない、そんな関係なのだ。
跪くアルを抱きついてきたレーネさんの胸の中から眺め……オレは現実という大きな壁を知った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ドリルさんも以前見た2人と無事再会できたみたいで、2人を引き連れてこちらに近づいてきた。
現実に打ちのめされたオレはもうドリルさんなんてどうでもよかったのでレーネさんに引っ付いて疲れましたアピールをして、全部アルに投げた。
従者なんだからあとは全部やれ。それがオレを守れなかった罰だ。
適当にドリルさんをあしらっているアルの声に少し苛立ちながら、そのあしらいが適当なのに非の打ち所がないのを感じて無性に悔しい。
この完璧超人めっ。
レーネさんに引っ付いているオレに心配そうな声をかけてくるドリルさんに大丈夫、と一言だけ言って屋敷に戻った。
屋敷にはすでにネーシャとエリザベートさんが居た。
オレが戻ってくると泣き腫らして赤くなった目からさらに涙を零したネーシャが駆け寄り……一瞬前にエリザベートさんが綺麗な顔をくしゃくしゃにして抱きついてきた。
わんわん泣いて涙と鼻水で酷い事になっている顔を気にする事も無く、その豊満なロケットでオレを抱きしめて離さない。
ずいぶん心配をかけてしまったようだ。
ネーシャも周りを気にする事も無く盛大に泣いているエリザベートさんに一瞬遅れて抱きついてきた。
あぁ……癒されるなぁ。心配かけて悪かったけど、やっぱりネーシャは安心する。
エリザベートさんとネーシャが泣き止むまで待ってからレーネさんと4人で一緒にお風呂に入って食事をしてそのまま屋敷のベッドに入った。
やはり迷子になっている間に大分時間が経っていたようで、すでに深夜を大きく回っている。今日は海鳥亭には戻らずこっちで寝る。
ちなみに待っている間中心配で泣いていたネーシャをエリザベートさんが慰めていたそうだ。彼女は気丈にも涙を見せることなく慰め続けていたそうだが、オレが無事戻ってきた時にはホッとして色々と抑え込んでいたものが溢れてしまったのだろう。
ベッドの中でネーシャがいつものように抱きついていて、反対側からはエリザベートさんが抱きついている。心から安心できる温かさ。
でもその反面アルと自分の距離というものが際立って感じられる瞬間でもあった。
オレはアルに以前のような態度で接する事ができるのだろうか。
……無理かもしれない。
それでもオレの中に芽生え、自覚してしまったこの感情をアルに押し付けることはできない。
彼はオレの従者。オレの盾なんだから。
オレのモノには決してならない、オレだけの存在。
……せめて夢の中でくらいは。
========
名前:ワタリ・キリサキ BaseLv:47 性別:女 年齢:6 職業:魔導師Lv15
装備:黒狼石の短剣 月陽のネックレス
HP:200/200
MP:154/154#(+7)[+17]
筋力:35
器用:35
敏捷:65<+30>
魔力:39[+13]
回復力:170#(+50)[+25]
運:5
状態:健康
所有:アル#(従者) ネーシャ#(奴隷) その他
所持職業:町民Lv1 戦士Lv1 冒険者Lv1 治療師Lv12 魔法使いLv30 魔導師Lv15
残りポイント:8
所持スキル
成長率増加Lv10 スキルリセット ステータス還元
ウイユベール共通語翻訳#(自動筆記翻訳付き) 鑑定 クラスチェンジ
王族の不文律
筋力増加Lv5 敏捷増加Lv5 器用増加Lv5
魔力増加Lv5 回復力増加Lv10
HP増加Lv5 MP増加Lv10
鈍器スキルLv1
初級魔法:体力回復 中級魔法:水 中級魔法:風
単独転移Lv1 気配察知Lv3
詠唱破棄
回復力強化Lv3
アイテムボックス拡張Lv4
これが青いクリスタルがあった柱だ。
突き刺さってはいるが柱の大きさは凄まじい。よくこれほどの巨体でこの状態を維持できるものだと思うくらいには。
相当深く壁に刺さっているのだろう。
まぁじゃなければオレの上に落ちてきて死んでいたのだろうけど。
……さて問題はこの柱の裏にあった青いクリスタルだが。
「わたりん、ありましたわ」
あっさり見つかった。
勇者の装備を身につけているドリルさんにかかれば高速で動き回るのに何ら支障はない。
壁に突き刺さったままの柱の周りを軽やかに飛び回って確認してきてくれた。
あのくらいならオレにもできるけど、ドリルさんは着地の際の接地面に対して衝撃を拡散しているのか、ほぼ発生する衝撃を無効化して飛び回っているように見える。
おかげで突き刺さったままの柱は微動だにせずそのままだ。オレだとあぁはいかない。
なかなかやるな。
青いクリスタルは柱の側面――オレが見ている方向からは逆――にあるみたいだ。
良く落ちなかったもんだ。固定でもされているのだろうか。
ともかくクリスタルは無事に稼動しているらしいのでこれでやっと帰れる。
なかなか長いイベントだった。
「ところでわたりん」
「何ですか?」
「わたくし達かなりいいコンビだと思うのです。これからも一緒に冒険をしませんこと?
もちろん勇者活動に関してはわたりんの意見を尊重しますわ」
……悪くはない。
勇者の装備を使いこなしている今のドリルさんなら確かに戦力的には申し分ないだろう。
ただやはりそれをもってもあまりあるドリルさんという強烈な個性が問題だ。
この人と一緒に活動すると漏れなくイベントの嵐になるだろう。鬼刃がいい例だ。
「やめておきます」
「そうですの。でもいつでも連絡してくださいまし。
エストリア様から通信魔道具は頂いているのでしょう?」
「ありますけど」
「では気が変わったらいつでも連絡してくださいな」
にっこりと2つのドリルを揺らすアリアローゼ・シャル・ウィシュラウはやはり成長していると思う。
最初に出会った時のような傲慢さがかなり薄れている。
あの頃のような無関心レベルのどうでもよさはもうなく、それなりの興味は抱ける。
まぁ唯我独尊な性格はどうしようもないのだろうけど。
もしかしたらまた一緒に戦うようなこともあるかもしれないな。
柱の上に飛び乗って上から見てみると確かに青いクリスタルがあった窪みが見える。
もうすぐアルに会える。きっと1階で待ってるはずだ。
アルと離れ離れになってしまって、自分がどれほどアルに依存していたのかを自覚した。
この世界――ウイユベールに来てからずっと一緒にいて生活にも冒険にも欠かせない存在になった。
いつしかオレの心の中の大部分を占めるようになったアル。
オレはもうアルがいないと生きていけないかもしれない。
いつからこれほど弱くなったのだろうかと思う反面、弱くてもいいんじゃないかと思う部分もある。
だって弱くてもアルが守ってくれるから。
これが恋なのか、愛なのか、それともただの依存からくる何かなのか。オレにはまだわからない。
でも待っているだろうアルに会えばわかるかもしれない。
そんな予感めいたものがオレの胸の中で高らかに鳴り響いている。
この青いクリスタルに触れて、1階に戻った時にはっきりする。
怖いような楽しみなような、不安と期待に胸を焦がしながらドリルさんと一緒にクリスタルに手を伸ばした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ワタリ様!」
「ワタリさん!」
視界が切り替わり、最初に聞こえた声はやはり待ち焦がれた声だった。
一拍遅れて聞こえたレーネさんの声には安堵を。
アルの声が聞こえた時の胸の高鳴りようはどうみても恋する乙女のソレだと確信するには十分だった。
振り返れば駆け寄ってくる2人。
自然と笑みが溢れ……そしてアルの取った行動に固まった。
「申し訳ありません、ワタリ様!
このアル、ワタリ様をお守りする事が出来ず、おめおめと帰りを待つことしか出来ませんでした」
再会のハグとは言わないでもせめて手を握って安心させてくれるかも、と思っていたところに片膝を突いて跪き頭を垂れるという従者の態度。
確かにアルは従者だ。
そしてオレを守る盾となる事を望んでいる。最初にオレが望んだからだ。
オレが望んだ事を出来なかったから陳謝の言葉と態度を取る。
まるで……罰を与えてくれとばかりに。
高鳴っていた鼓動が急速に冷えていくのがわかる。
あぁ……これがオレとアルとの距離だ。
アルはオレの従者。オレに従う者。オレを守る者。オレの盾。
オレのモノであっても、決してオレのモノにはならない。
淡い感情など入り込む余地のない、そんな関係なのだ。
跪くアルを抱きついてきたレーネさんの胸の中から眺め……オレは現実という大きな壁を知った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ドリルさんも以前見た2人と無事再会できたみたいで、2人を引き連れてこちらに近づいてきた。
現実に打ちのめされたオレはもうドリルさんなんてどうでもよかったのでレーネさんに引っ付いて疲れましたアピールをして、全部アルに投げた。
従者なんだからあとは全部やれ。それがオレを守れなかった罰だ。
適当にドリルさんをあしらっているアルの声に少し苛立ちながら、そのあしらいが適当なのに非の打ち所がないのを感じて無性に悔しい。
この完璧超人めっ。
レーネさんに引っ付いているオレに心配そうな声をかけてくるドリルさんに大丈夫、と一言だけ言って屋敷に戻った。
屋敷にはすでにネーシャとエリザベートさんが居た。
オレが戻ってくると泣き腫らして赤くなった目からさらに涙を零したネーシャが駆け寄り……一瞬前にエリザベートさんが綺麗な顔をくしゃくしゃにして抱きついてきた。
わんわん泣いて涙と鼻水で酷い事になっている顔を気にする事も無く、その豊満なロケットでオレを抱きしめて離さない。
ずいぶん心配をかけてしまったようだ。
ネーシャも周りを気にする事も無く盛大に泣いているエリザベートさんに一瞬遅れて抱きついてきた。
あぁ……癒されるなぁ。心配かけて悪かったけど、やっぱりネーシャは安心する。
エリザベートさんとネーシャが泣き止むまで待ってからレーネさんと4人で一緒にお風呂に入って食事をしてそのまま屋敷のベッドに入った。
やはり迷子になっている間に大分時間が経っていたようで、すでに深夜を大きく回っている。今日は海鳥亭には戻らずこっちで寝る。
ちなみに待っている間中心配で泣いていたネーシャをエリザベートさんが慰めていたそうだ。彼女は気丈にも涙を見せることなく慰め続けていたそうだが、オレが無事戻ってきた時にはホッとして色々と抑え込んでいたものが溢れてしまったのだろう。
ベッドの中でネーシャがいつものように抱きついていて、反対側からはエリザベートさんが抱きついている。心から安心できる温かさ。
でもその反面アルと自分の距離というものが際立って感じられる瞬間でもあった。
オレはアルに以前のような態度で接する事ができるのだろうか。
……無理かもしれない。
それでもオレの中に芽生え、自覚してしまったこの感情をアルに押し付けることはできない。
彼はオレの従者。オレの盾なんだから。
オレのモノには決してならない、オレだけの存在。
……せめて夢の中でくらいは。
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名前:ワタリ・キリサキ BaseLv:47 性別:女 年齢:6 職業:魔導師Lv15
装備:黒狼石の短剣 月陽のネックレス
HP:200/200
MP:154/154#(+7)[+17]
筋力:35
器用:35
敏捷:65<+30>
魔力:39[+13]
回復力:170#(+50)[+25]
運:5
状態:健康
所有:アル#(従者) ネーシャ#(奴隷) その他
所持職業:町民Lv1 戦士Lv1 冒険者Lv1 治療師Lv12 魔法使いLv30 魔導師Lv15
残りポイント:8
所持スキル
成長率増加Lv10 スキルリセット ステータス還元
ウイユベール共通語翻訳#(自動筆記翻訳付き) 鑑定 クラスチェンジ
王族の不文律
筋力増加Lv5 敏捷増加Lv5 器用増加Lv5
魔力増加Lv5 回復力増加Lv10
HP増加Lv5 MP増加Lv10
鈍器スキルLv1
初級魔法:体力回復 中級魔法:水 中級魔法:風
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