幼女と執事が異世界で

天界

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第6章

120,ランクD依頼

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 人数を変えたり、無力化した雑魚を叩かせたり、石を投げさせたり、PT外の状態で同じ事をしたり様々なことをしつつ実験を繰り返した。
 結果としてシトポーの祝福はユーウイトさんの話通りにオレの効果が1番高く、レーネさんとアルの効果はほぼ同一だということがわかった。
 しかもシトポーの祝福持ち同士を同じPTにすると効果が飛躍的に上がるという結論にも達した。オレ達にとって非常に好都合だろう。
 逆に1人しか祝福をもっていないドリルさんはかなり差がついている。
 それ以前にオレ達の戦闘能力などから考えても差はついているんだけど。

 そんなこんなで実験と並行してたくさんの子供達のBaseLv上げは順調に終わり、あとのスキル取得に関しては全てエリザベートさん達にお任せだ。
 オレは金と場所を提供しただけで子供達の主はエリザベートさんに設定されているので奴隷のスキル取得の際の最終確認などは彼女の判断になる。
 もちろんオレが口を出せば要望はある程度叶うだろう。だが取得するスキルは生存率を高めるためだけの取得構成だから意味もない。
 今からオレ達のPTメンバーとして見繕って育てるという光源氏計画のようなものも思いついたがBaseLvを上げても腕がついてこないだろう。
 オレの場合は生前の知識があるのでなんとかなっている状態だ。

 それにオレ達が直に育てなくても今回のLv上げでオレやレーネさんの強さに憧れを持った子達が多く、戦闘訓練を受けたいという者が増えたそうな。
 ちなみに戦闘訓練は受けたい者だけが選択できる。これも青空教室や仕事と同一で専用ポイントがしっかりもらえる。
 ただ基礎はどうしても必要なので学校の体育の授業程度のことは全員にやってもらっている。もちろん体の弱い子などにはその辺を考慮してしっかり管理しているそうだ。

 これで孤児院エリザに関してはひと段落。
 オレ達は元の生活に戻ることになったわけだが、今の所目標が1つある。


「ランクをCまでさくっと上げて中級迷宮に挑みにいこう!」

「はぃ!」

「畏まりました」

「おー!」


 そう、もともとの目標はランクを上げてレーネさんが行きたかった中級以上の迷宮に挑むことだ。
 そのための効率的なランク上げのために行った先でドリルさんやユーウイトさんに出会ったりして色々あったわけだが……1人多い?


「これでやっと僕もランクCになれそうだよ。今まで運が悪くて酷いPTと組まされたり、籤運が悪くて難易度の高いのにあたったりして散々だったからね……」

「ランクCの試験はPT単位で受けるのが普通だもんね。でもエイド君がランクDだったなんてびっくり」

「ひどいなー。僕これでも結構頑張ってるんだよ?
 最近ではバテルトさんにぼこぼこにされる回数が1日8回にまで減ったんだから!」


 バテルトはエイド君の戦闘方法に似ている戦闘奴隷の人だ。
 エイド君も自分の参考になる人を選んで指南してもらっているらしい。しかし8回か。成長した……のか?


「そ、そうなんだ」

「そうなんだよ。聞いてよ、ワタリちゃん! 最近刀剣スキルがLv4になったんだよ!
 僕クラスでLv4ってすごく才能がいるんだよ!?」

「すごぃです……」

「ですよね!? あぁストリングスさんに褒められた!
 僕これからも頑張ります! ストリングスさんにもっと認めてもらえるように!」

「はぅ……」


 いつも通り真っ赤になって後ずさりするレーネさんに目をキラキラさせたエイド君がじりじり詰め寄っている。
 なんかこう微笑ましい光景だと思います。
 エイド君に一言だけでも何か言ってあげてる時点でレーネさんは大分成長したと思う。
 これなら一緒に試験を受けても大丈夫だろう。
 本当はレーネさんの反応次第ではエイド君は参加させない方向で行こうと思っていただけにこれなら安心だ。
 ちなみにまだ試験は受けられない。
 あと1つランクDの依頼をこなさないといけないのだ。
 エイド君はもう何度も受けているらしいので大丈夫だろう、多分。


「ほらほら、エイド君。レーネさんにはぐいぐいいっちゃダメって前も言ったでしょ?
 やっと一言程度なら言ってもらえるくらいにまでなったんだからじっくり行きなさい」

「もちろんだよ!
 ストリングスさん、僕頑張ります!」

「は、はぃ……」


 あんまりわかってないエイド君が興奮気味に訓練に戻っていった。
 でもすぐにバテルトにぼこされていた。
 本当にエイド君はなんというか、可愛い弟のような子だなぁ。ついつい手を差し伸べてあげたくなっちゃう。

 訓練ばかりしているからBaseLvやステータス自体はあまりあがっていないだろうがソレらに現れない技量というものは確かに上がっているだろう。
 彼の武器スキルは刀剣スキルというスキル分類だ。
 鈍器スキルがLv1のままのオレにはLv4がどの程度すごいのかよくわからないが、レーネさんも褒めていたので結構すごいのだろう。
 そういえばエイド君のBaseLvとか全然知らない。
 久しぶりに鑑定をしてみよう。


        ■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 エイド・バーンシュタイン BaseLv:23 年齢:16 職業:剣士Lv9

        ■□■□■□■□■□■□■□■□■□


 人を鑑定する時はMPの消費が上がる上に大した情報は得られない。
 それでも名前、BaseLv、年齢、職業と祝福や加護があったら備考に表示される。

 エイド君は冒険者のランクもDでCの試験を受ける程度には腕が立つ。
 BaseLvも20代前半だし、才能としては結構あるんだろう。
 職業Lvが低いのは転職でもしたのかな? 情報収集が趣味みたいだったし、元は違う職業に就いていてもおかしくない。
 でもやはり備考はないようで加護も祝福もない。

 鑑定で得られる情報にはステータスやスキルなんかはないので表面上のデータしか見れないから人相手にはあまり使わない。
 BaseLvが自分より高い相手には失敗するしせいぜいある程度の目安程度にしかならないし、加護や祝福を持っているかの確認程度が関の山だ。
 加護や祝福なんて持ってる人は早々いないし、強い人は纏っている雰囲気が常人のソレとは異なるのでわかる。まぁ強い人ほど上手く隠すみたいだけどBaseLvが上がってなんかわかるようになった。
 強そうだと思った人で上手く隠しているような人相手だと鑑定が失敗する場合が多い。
 とはいってもラッシュの街ではオレ以上のBaseLvの人は少数派だけど。


「さってと、行きましょうか」

「はぃ」


 赤いのがやっと取れてきたレーネさんを右側に、左側には手を繋いだアルと馬車まで向かうと冒険者ギルドへと出発するのだった。






      ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆








       ■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 クエスト名:デミオークの駆除
 ランク:D
 報酬:53000ラード+α

 内容:獣の窟を抜けた先にある岩場にデミオークが巣を作っていることが調査により判明。該当区域のデミオークの駆除を求む。
 最低20匹。それ以上は追加報酬。1匹につき2000ラード。
 オーククイーンの存在は未確認。


 備考:殲滅確認はしないため殲滅報酬はない。

       ■□■□■□■□■□■□■□■□■□


 掲示板を適当に眺めていて見つけた依頼だ。
 デミオークというのはオークの亜種のような魔物でオークよりも若干だが知能が高い。
 ランクDの依頼としては結構危険だが、オーククイーンが未確認のためにこのランクなのだろう。
 オーククイーンがもし確認されていた場合はランクがさらに上昇してB辺りになる。
 デミオークは通常のオークに見られない集団連携を取ってくるがそれでも2,3匹での連携が限界。
 しかしオーククイーンがいるとそれが5倍以上の10~15の集団で連携を取ってくるという厄介な存在に早代わりする。
 しかし巣を作る事自体があまりなく、せいぜい5匹程度の数でまとまっている事が多い。
 今回の依頼は巣を作ったために駆除の依頼が出たといったところ。
 放っておくとクイーンが生まれるらしい。

 デミオークはクイーンで、普通のオークはキングなのだそうだ。
 クイーンとキングが出会って子をなす場合もあるそうだが、その場合非常に厄介だという話だ。
 ただでさえ強いクイーンとキングが合流する事により大きな群となってしまう。
 そして生まれてくる子供はクイーンとキングの両方の性質を併せ持つ強力な個体となり、最初から魔結晶を持っている場合が多い。
 特殊進化個体モンスター化する場合も多く、オレが倒した狂豚鬼もクイーンとキングの子供ではないかと思われる。
 あんな化物が生まれるのは避けたい所だ。まぁ素材としても経験値としてもうまいけど危険だからね。


「じゃあこの依頼ということで」

【はい、問題ないと思います】


 ギルドにいるのでレーネさんは念話だ。
 レーネさん的にも特に問題ないようなのでコレを受ける事にする。
 なんかフラグ的にクイーンが居そうな気もするけどいても連携される前に殲滅すればどうってことないだろう。
 もしクイーンとキングが両方いて子供が生まれていても調査時からの時間経過を考慮に入れても特殊進化個体モンスターとなるほどの時間はないはずだ。
 そんなに簡単に特殊進化個体モンスターが生まれていては人類なんて滅亡しているだろうし。

 受付でさくっと受けると受付嬢の人からギルド員一同期待しております、といわれた。
 ギルドマスターを扱き使って職員の鬱憤晴らしをしたり、顎の事や一部しか知らないだろうけど祝福の事なんかもあり、どうやらオレは一目置かれているらしい。
 ソロ専門のレーネさんとPTを組んでいたりもするしね。

 受付嬢達の輝く笑顔に見送られてギルドを後にする。
 これでオレが普通の男の冒険者だったら周りから嫉妬の目線で射殺されるところだろうけど、生憎オレの外見は幼女なのだ!
 そんな幼女にやっかみの視線を向ければ他の女性冒険者なんかから白い目で見られる。
 しかもやっぱりレーネさんという存在が大きい。
 有名人のレーネさんに喧嘩を売ってくるようなバカはこのギルドにはいない。


「さぁさくっと終わらせよう!」

「はぃ!」

「はっ」


 一旦屋敷に戻って変えた超特急の馬車は目的地までひた走るのだった。
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