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五◆京の都
五
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千早が迷子の少女と出会ったのと同じ頃、沖田らは四条河原より北に500メートル上った河原町御池付近で喧嘩の仲裁を行っていた。喧嘩の理由は、居酒屋の食事代をどちらが払うかで揉めたというどうしようもないことだったが、お互い酔ってしまって収集が付かなくなったようだ。店の備品まで壊したあげく怪我人まで出てしまったことから、店主が新選組に助けを求めたようである。
結論を言えば、その騒ぎは斎藤や沖田らによってあっさりと収められた。
「はぁ。全く、喧嘩なんて僕らの知らないところで勝手にやって欲しいよ」
「まあそう言うな。これも任務のうちだ」
「任務任務って、一君はほんっとーに真面目ですよねぇ」
沖田はそう言ってより一層大きなため息をつく。そうして、ようやく思い出したという様にもと来た道を振り返った。
そう言えば、ここに急いで駆け付ける為に千早と日向を置いて来てしまったのだ。一応走り出しざまに「先に行く」とは言い残したけれど、ちゃんと追いついて来てくれるか非常に不安だ。
そして残念なことに、沖田のその不安は的中してしまった。
「沖田さん!」
そう自分の名を呼んで、人込みを掻き分けて走り寄ってくるのは日向ただ一人。そこに千早の姿はない。
――まさか。
そう思った沖田は斎藤に踵を返し、急いで日向に駆け寄った。彼女はここまで全力で走ってきたのだろう、青ざめた顔で酷く息を切らせている。そんな日向の様子に、沖田は狼狽えた。まさか本当に何かトラブルにでも巻き込まれたのだろうかと。
「沖田さん、ごめんなさい。私、気づいたら千早ちゃんとはぐれてしまって。探したんですけど、全然見つからなくて」
「……なんだ」
しかし、どうやらそうではなさそうだ。日向の言葉を聞く限り、ただはぐれてしまっただけのようである。――日向が今にも泣きだしそうにしているので勘違いしてしまったではないか、何とも紛らわしい。
そんなことを考えながら、沖田はひとまず目の前の日向を落ち着かせようと努める。
「大丈夫だよ、千早ちゃんだって子供じゃないんだから」
「……で、でも」
「はぐれたのはどの辺りかわかる?」
「ごめんなさい、わからないんです。四条河原までは確かに隣にいたんですが……」
「四条河原か……」
――ここから戻るには少し距離があるな。……けれど。
沖田は考える。
日向とはぐれたのが四条河原だと言うのなら、屯所まではほぼ一本道。地の利がない彼女でも帰ることは出来るだろう。けれど、今朝の千早の様子から、町に出るのが初めてというのは確かな様だった。それが真実なら――少々不安が残る。それにはぐれてしまったのは、千早のせいではなく自分にも責任があるのだ。ならばやはりここは、探しに行かなければならない、と。
沖田は決意して、日向に微笑みかける。
「君は一君たちと巡察を続けて。千早ちゃんは僕が探しに行ってくるから」
「……でも、巡察の最中なのに。本当にいいんですか?」
「大丈夫、直ぐに追いつくから。心配しないで」
沖田は日向の肩を優しく叩くと、斎藤のもとに戻って事情を告げる。そして自分は、千早を探す為にもと来た道を駆けだした。
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