3 / 18
第三話 危機的状況
しおりを挟む貴族学院に入学してから2ヶ月が経った。
今日は初めてのダンジョンでの授業だ。
本当なら、リボルバーを使いたいがあれは色々と面倒になりそうだ。
だから、普通の魔法具を使用しようと思っている。
魔法具の最終確認しながら、教師の説明を聞いていると怒号が聞こえてきたのだ。
自然と視線はそちらの方に向けられる。
あそこにはAクラスが居たはずだ。
そこには固まった男達が1人に少女に詰め寄っていたのだ。
何が起きているのだ?
そんな疑問を抱いてしまった。
視線を向けているとある者を見つけてしまったのだ。
おいおい、本当にクズに成り下がるようだな。
兄、いやクズ野郎が。
3歳下の少女に詰め寄って。
しかも、集団で。
反吐が出そうだ。
何故、あんなクソ野郎と血が繋がっているのだ?
嫌悪しているとあることに気がついた。
教師も生徒もおかしいことに。
目の前でこんなことが起きてるのに何故誰も動かない?
ああ、クソが。
この状況で見捨てられる訳無い。
そう思い、駆け出したのだが、集団の中の1人が懐から何かを取り出したのだ。
昔から魔法具を作成していた私には分かる。
あれは使い捨ての転移魔法具。
何処かに飛ばすつもりか?
間に合え。
無理だ。
普通に走ったら。
なら。
そう思い、私は緊急回避用の魔法具を使用したのだ。
すると、瞬間的に加速し、何とか潜り込むが出来た。
そして、私、いや、私達は知らない場所に転移したのだ。
光に包まれて。
光が晴れると私は知らない森の中にいた。
後ろをちらりと振り向くと囲まれていた少女がいたのだ。
声を掛けようとすると目の前から唸り声が聞こえてきた。
直ぐに視線は目の前に向けたのだ。
視線の先にはブラックタイガーがいた。
B級の魔物か。
「ごめんない。私のせいで」
「謝らなくていい。自分から巻き込まれにいったからな。それよりもこれから見ることは秘密にしてくれ」
そう言い、私はホルスターからリボルバーを抜いたのだ。
そして、引き金を引いた。
すると、轟音と共にブラックタイガーの前足が吹き飛んだ。
何も躊躇することなく、私は引き金をまた引いた。
6発目をブラックタイガーに撃ち込んだが、既に死んでいたのだ。
3発で充分だったな。
そんなことを思いながら、シリンダーを横に出し、銃口を上に向けた。
すると、重力によって、空薬莢が地面に落ちたのだ。
私は通常弾薬を1つ1つシリンダーに装填し、ホルスターに戻した。
そして、私は後ろにいる少女の方を振り向いたが、固まってしまった。
こ、この感情なんだ?
何故か、初対面の少女が愛おしく思う。
まさか、いやあり得ない。
「あの、私の顔に何かついているのですか?」
「いや、済まない。少し考え事をしていただけだ」
取り敢えず、落ち着け。
自己紹介をしなければいけない。
その後は安全な場所に。
そう思い、私は少女の方に向き直った。
10
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
【完結】こちらダンジョン前雑貨店〜お客様は神様、勇者様、魔王様〜
はれはる
ファンタジー
異世界と現実を行き来する35歳独身貴族 橘一(タチバナ イチ)
魔王多分倒しません!
おそらく勇者になれません!
きっと魔法も使えません!
だってただの雑貨屋店主だから!
〜あらすじ〜
ある日現実と異世界を行き来する様になった主人公
異世界で雑貨店の店長として生活しながら
その世界の住人との交流する
果たして彼がこの世界に連れてこられた理由とは?
表紙画像はお絵描きばりぐっどくん製です
ゲームの裏切り者に転生したが、裏ボスも反転していました
竹桜
ファンタジー
裏ボスを倒し続けていた主人公はゲームの裏切りキャラに転生した。
慢心した本来の主人公だった勇者が裏ボスを復活させたのだ。
だが、その裏ボスには厄介な特性があった。
反転という特性が。
バビロニア・オブ・リビルド『産業革命以降も、神と科学が併存する帝国への彼女達の再構築計画』【完結】
蒼伊シヲン
ファンタジー
【この時計を持つ者に、権利と責務を与える。】…その言葉が刻まれた時計を持つ2人の少女が出会い物語が始まる…
【HOTランキング最高22位】記録ありがとうございます。
『メソポタミア』×『ダークファンタジー』
×『サスペンス』
バビロニア帝国西圏側の第四騎士団で使用人として働く源南花は、成人として認められる記念すべき18回目の誕生日が生憎の曇天で少し憂鬱な朝を迎えていた…
本来ならば、魔術を扱える者証である神格を持つ者の中でも、更に優秀な一部の人間しか、
騎士団に所属することは出来ないのだが…
源南花は、神格を有していないにも関わらず、騎士団へ所属出来る例外的な理由がある。それは…
『せめて娘が成人するまでは生かしてやって欲しい…』
それが、南花の父であり、帝国随一の武器職人だった源鉄之助の遺言…
その遺言通り保護された、南花は、父の意志を銃職人を目指す形で引き継ぐ…
南花自身が誕生日の食材の一つとしてハイイロガンを、ルームメイトであるエルフの少女マリアと共に狩猟へと向かう。
その一方、工業化・化学の進歩が著しい帝国東圏側にある、士官学校に通う…
アリサ・クロウは、自身の出自に関するイジメを受けていた。
無神格の2人、南花とアリサの出会いが、帝国の行く末を変えていく…
【1章.地下遊演地】
【2章.ギルタブリル討伐】
【3章.無神格と魔女の血】
【4章.モネータとハンムラビ】
【終章.バビロニア・オブ・リビルド】
【-epilogue-】迄投稿し完結となります。
続編に当たる『ハイカラ・オブ・リビルド』の投稿開始に合わせて、【-epilogue-】に新規エピソードを追加しました。
※ダークファンタジーと言うジャンル上、過激な描写だと受け取ってしまわれるシーンもあるかと思いますが、ご了承いただけると幸いです。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・出来事とはいっさい関係がありません。
『カクヨム』と『小説家になろう』と『ノベルアップ+』にて、同作品を公開しております。
かの世界この世界
武者走走九郎or大橋むつお
ファンタジー
人生のミス、ちょっとしたミスや、とんでもないミス、でも、人類全体、あるいは、地球的規模で見ると、どうでもいい些細な事。それを修正しようとすると異世界にぶっ飛んで、宇宙的規模で世界をひっくり返すことになるかもしれない。
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編
あれおかしいな?こんなはずじゃなかった!?
響 恭也
ファンタジー
傭兵隊長レイルは、古参兵マッセナと共に辺境地区の開拓村をめぐり、防衛や盗賊討伐を行っていた。国に属さない傭兵部隊ではあったが、その実態は神聖オズワルド帝国に反抗するレジスタンスであり、辺境をまとめて力をつけ、いずれは帝国を倒すことを目標に掲げていたのである。それは彼の祖国を取り戻すことと同義であった。小さなトラブルがより多くのトラブルを呼び込み、彼は英雄への階段を駆け上がってゆく。本人の思惑とは裏腹に。そしてことあるごとに彼はぼやくのだ。「こんなはずじゃなかった」と。
せっかく異世界転移したのに、もしかして俺は弱いのか!?
化茶ぬき
ファンタジー
少年は本の虫だった。
時が経ち大学生になった彼は、図書館に入り浸る姿から「図書館の栞」と呼ばれるようになった。
様々なジャンルの本を読み漁った彼は――嫉妬していた。
ライトノベルに出てくる主人公たちは何を努力することもなく最強になり英雄になり人々に好かれている。
つまり――異世界に憧れていた。
本が好きだが、その中に絶望を感じていた「栞」は
ある日、馴染みの古書を扱う図書館である一冊の本を見つけた。
しかし、その本に書かれていた文字はこの世界のどれとも一致せず読むことが出来なかった。
本に夢中になっていた「栞」が顔を上げた時――そこには異世界が広がっていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる