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第五十三話 血の繋がりがある者達

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 その後、セーリはメスリーの兄と仲直りではないが、話すぐらいの関係になった。

 それから1週間が経ち、パーティーが開かれた。

 このパーティーは王家が主催だ。

 王族主催のパーティーのため、海外からの客がやって来ている。

 伯爵家以上の貴族が。

 私はメスリーをエスコートしながら一緒に会場に入場した。

 セーリはナスーリ子爵にエスコートして貰った。

 会場に入場した私は貴族達に囲まれた。

 国内、国外関わらず。

 セーリはメスリー達に任せ、私は貴族達の対応した。

 対応を終え、飲み物を飲みながら、休憩していると、後ろから3人の気配を感じた。

 「レ、レーク。ひ、久し振りだな」

 「ひ、久し振りね、レーク」

 「は、初めまして、兄上」

 私は声をする方を向くと、居たのだ。

 血だけ繋がった者達が。

 元父と元母と元弟が。

 「何のようですか?」

 「そ、そんな他人行儀なんて」

 「そ、そうよ。私とレークは血の繋がりがあるんだから」

 私は溜息をつき、血だけ繋がった者達の目を見た。

 「レークでは無く、ベアード公爵と呼んで下さい。それに、私との縁を切ったのは貴方方だ。まぁ、次期当主殿には罪は無いが、親の罪は子の罪だ」

 私は血だけ繋がった者達にだけに向かって、殺気を出した。

 「今回は許す。これ以上関わるようなら、公爵家としての権力を使って潰す。分かったら、何処かに消えろ」

 血だけ繋がった者達は顔色を悪くしながら、私の前から消えた。

 縁を戻そうとしてるのは私が隣国で公爵になったからだろう。

 今更過ぎる。

 少しでも利益が欲しかったのだろう。

 まぁ、今回は元弟に免じて許した。

 次はない。

 本当に時間を無駄にした。

 メスリー達の元に向かうか。

 メスリー達のところに到着すると、セーリがいなかった。

 メスリーに聞くと、料理を取りにいっていると聞いたので、セーリを迎えに行った。

 セーリを探していると、知らない男に絡まれているセーリを見つけた。

 「こんないい女になっているとはな。聞いたぞ、実家から縁を切られたようだな。この俺が相手をしてやるよ」

 「手を離して下さい。紳士として恥ずかしいことですよ」

 私は直ぐにセーリに近寄った。

 「大丈夫か、セーリ」

 「お兄様」

 セーリはその男の手を振り払い、私の後ろに隠れた。

 「なんだ?お前は?まさか、その男に媚を売ったのか?この売女たが」

 愚かな男が大きな声で騒ぐと、会場中に響き、鳴り続けていた音楽が止まった。

 そして、視線が私達に集まっている。

 「貴殿の名を名乗れ」

 「俺は伯爵家の人間だぞ。まぁいい。低俗の者に俺の名前を教えてやろう。俺はアスーク伯爵家の次期当主のラーク・アスーク様だ」

 痛すぎる。

 伯爵家の次期当主なのに、これ程威張れるとは。

 これ程の愚か者がいるとは。
 
 「私も自己紹介をしよう。私はこの国のベアード公爵家の当主レーク・ベアードと申す者だ」

 「ハ?ベ、ベアード公爵?そ、それって、魔王を倒した英雄の」

 「そうだ、アスーク令息。それで、私の妹のセーリに売女だと?どうやら死にたいようだな」

 愚かな男は真っ青を通り越して、真っ白になっていた。

 愚かな男が何かを言い訳しながら、後ろに下がっていると、アスーク伯爵家の者達がやってきた。

 必死に謝っていたが、私は許す気は無い。

 「残念ながら不可能です。私の大事な妹に対して、このような暴言は看過できない。私は自身の身内には甘いが、それを害そうとする者達には容赦しない」

 「ここで宣言しよう。私の持てる力を使って、全てを排除しよう。アスーク伯爵家の方々、お覚悟を」

 アスーク伯爵家の者達は真っ青を通り越し、真っ白になっていた。

 その後、私は国王陛下に許可を貰い、屋敷に帰った。

 その時、ナスーリ子爵家の者達も一緒に帰った。

 その日は風呂だけ入り、寝ようとしていると、部屋のドアがノックされた。

 入室の許可を出すと、ネグリジェを着たセーリが入ってきた。

 そしてセーリは枕を抱き締めていた。

 「お、お兄様。今日は助けてくれてありがとうございました」

 「セーリ。私は当たり前のことをしただけだ。大切な妹をただ守っただけだ」

 「それでもです。私、あの時にお兄様に出会えて本当に良かったです」

 セーリは飛びっきりな笑顔を浮べた。

 「お兄様、大好きです」

 私は優しい表情を浮べた。

 「ありがとう、セーリ。私も大好きだよ」

 「お兄様、お休みなさい」

 「お休み、セーリ」

 セーリは自分の部屋に戻った。

 可愛いな、私の妹は。

 そんなことを思いながら、私は眠りについた。

 その後、アスーク伯爵を私の力を使って潰そうとしたが、私からの反感を買わない為に、その国の王族が上位貴族不敬罪で、アスーク伯爵家を取り潰した。

 私の力で潰したかったが、手間が省けたからいいか。



 

 
 
 
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