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第四話 子熊
しおりを挟むあれから何日経ったか分からないが、私はまだ森の中に暮らしている。
ベリーを取り、魚を取り、鹿を狩り、暮らしている。
結構快適に暮らせているが、森に住んでいるため魔物との遭遇もある。
最初が運良く弱い魔物だったため、石槍でも何とか戦えた。
だが、このレベルの武器では無理と悟り、新しい武器を作った。
新しい武器は魔物の素材を使った武器だ。
主に骨の武器だ。
作ったのは骨の剣と骨の槍だ。
武器もそうだが、魔法と武器の練度も必要だと思い、訓練を始めた。
生活するのに欠かせない作業以外の時は訓練をしている。
最近の1日の流れとしては
朝日と一緒に起床し、生活するのに欠かせない作業をしてから、夕方まで訓練してから、夕食を食べ、寝ている。
食料を取るときは違うが、大体こんな感じで過ごしている。
だから1日の結構の時間を訓練に使えている。
そして、今日は狩りの日だ。
燻製していた肉が無くなってきていたので、鹿を狩りにいく。
鹿の痕跡を発見するために森を進んでいると、何かが争っている音が聞こえてきた。
その争っている音は数十分間続き、突然止んだ。
私は槍を構えながら、その場所に向かった。
様子を見るためだ。
気配を消し、争っている音が聞こえた場所を見てみると、血だらけで倒れている大きな熊と穴が空いた地面しか無かった。
倒れている熊の大きさは六メートルを超えるほどだった。
大きいな。
私は槍を構えながら、倒れている熊に近づいて、確認した。
倒れている熊は既に死んでいたが、何処か鳴き声が聞こえた。
その鳴き声は倒れている熊の下から聞こえてきた。
倒れている熊を少し持ち上げると、何かが出てきた。
出てきたのは子熊だった。
どうやら、この熊の子供のようだ。
子熊は母熊に近づき、鳴き続けている。
これが自然。
弱いものは死に、強きものが生き残る。
まさに弱肉強食だ。
この子熊も死ぬのだろう。
いつもなら、このまま無視するが。
その時は何故か無視することは出来なかった。
私は片膝をつき、子熊を撫でた。
子熊は私の方を向いた。
「私とくるか?」
子熊は頷いた。
私は子熊を抱っこして、洞窟に帰った。
洞窟に帰ったら、子熊に水浴びをさせた。
水浴びをさせた後は燻製肉を子熊に与えた。
子熊は少し首を傾げた後に、燻製肉を食べ始めた。
子熊が食べている間に、洞窟内に子熊の寝床を作った。
寝床を作り終わっても子熊はまだ燻製肉を食べていた。
「子熊と呼ぶのは不便だな。何か名前をつけないとな」
そんなことを思っていると子熊が私の方を向いていた。
どうやら、期待しているようだ。
私は必死に考えた。
期待を裏切らない為に。
数分考えると、ピッタリな名前を思いついた。
「ベーア」
ベーアは満足そうに鳴いてくれた。
「喜んだ貰えて良かった。ベーアの名前も決まったことだから、私も自己紹介をしよう。私はレークだ。これからよろしくな、ベーア」
ベーアは大きく鳴いた。
こうして、私とベーアとの生活が始まったのだ。
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