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第二十一話 宿で

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 俺達が、今回泊まるのは、京都にある老舗旅館だ。

 老舗旅館だけに、結構の値段がしたが、それに見合うものだと思う。

 外観だけで、それを感じることが出来た。

 俺達が、老舗旅館の中に入ると、女将がお出迎えしてくれた。

 そして、部屋まで案内してくれた。

 部屋に到着した。

 俺達が、泊まる部屋に。

 そう1部屋なのだ。

 予約の時に、2部屋にしようしたが、茉里とソニアに止められてしまった。

 恋人だから、問題無いと。

 俺は、そんな2人を説得することが出来ず、今に至る。

 同じ部屋で寝るだけだ。

 大丈夫だ。

 何も起きない筈だ。

 何も問題無い。

 そんなことを考えながら、荷解きをした。

 荷解きを終えた俺達は、必要な荷物だけを持って、露天風呂に移動した。

 男女で分かれているので、茉里とソニアと別れ、更衣室の中に入った。

 ロッカーは、貴重品だけを入れる小さいものしかなく、服は、カゴに入れる。

 部屋の鍵をロッカーに入れ、服を脱ぎ、タオル1枚だけを持って、風呂の中に入った。

 中に入ると、檜の香りが漂ってきた。

 どうやら、室内の風呂は、檜風呂みたいだ。

 露天風呂は、岩風呂のようだ。

 まぁ、まずは、体を洗わないとな。

 洗い場の椅子や桶も檜の香りがした。

 どうやら、檜で統一しているようだ。

 俺は、洗い場で体を洗い、檜風呂に入った。

 檜の香りが、漂ってくる。

 いい風呂だ。

 体をある程度温まったら、外に出て、岩風呂に移動した。

 露天風呂の岩風呂からは、日本庭園がよく見えた。

 岩風呂を満喫していると、女湯の方から、楽しそうな話し声が聞こえてきた。

 よくよく聞いてみると、ソニアが、色々な人に話しかけられているみたいだ。

 まぁ、ソニアは、話しかけられるだろうな。

 外国人が、日本語が上手ければ、日本人は、よく話しかけるからな。

 でも、ソニアは、外国人ではなく、異世界人だけどな。

 その後、1時間ぐらい、岩風呂に入っていた。

 そろそろ、茉里達が、出てくるから、出るか。

 風呂を出て、髪を乾かしてから、浴衣に着替えた。

 浴衣に着替えたら、更衣室を出て、茉里達と待ち合わせ場所にしている待合所に向かった。

 待合所に着いたが、どうやら、茉里達は、まだ出てないようだ。

 俺は、サービスの水を飲みながら、ソファーに座って、茉里達を待つことにした。

 10分後ぐらいに、茉里達が、やってきた。

 茉里達は、浴衣を着ていた。

 風呂上がりの茉里とソニアは、髪を下ろしていた。

 茉里は、笑顔を浮かべ、「あ、宗佑。お待たせ」

 ソニアは、少し申し訳なさそうに、「お待たせしました、宗佑さん。私が、浴衣を着るのに手間取ってしまって、遅くなりました」

 俺は、「気にするな、ソニア。初めてだから、手間取るのは、当たり前だ」

 「ありがとうございます」と言い、ソニアは、微笑んだ。

 茉里達が、少し休憩してから、部屋に帰った。

 部屋に帰る途中で、遊戯室を見つけた。

 折角なので、中を見ることにした。

 「あ、卓球がある。これ、やろ」と言い、茉里は、卓球台を指差した。

 「卓球?」と、ソニアが、聞いてきた。

 「卓球というのは、屋内の遊具だ。そこにあるラケットで、黄色玉を打ち合う遊びだ」と、答えた。

 「ソニア。折角だから、勝負しよ」と言い、茉里は、ラケットをソニアに渡した。

 「望むところです」と言い、ソニアは、ラケットを受け取った。

 俺は、参加せずに、得点を数える係をする。

 2人の打ち合いは、五分五分だった。

 最初は、茉里の方が、有利だったが、途中から、ソニアが、巻き返した。

 2人は、卓球に熱中していた。

 だから、気付いていない。

 浴衣が、はだけてきていることを。

 待てよ。

 今、チラリと見えたぞ。

 も、もう無理だ。

 流石に止める。

 俺は、2人から顔を逸らし、「ふ、2人とも、終わりだ」

 茉里は、リスみたいに頬を膨らませ、「えぇー、なんでよ」

 ソニアは、納得いかないような表情を浮かべ、「そうですよ、宗佑さん。今、いいところですよ」

 俺は、顔を逸らしたまま、「2人とも自分の姿を見てくれ」

 俺がそう言うと、2人は、浴衣が、はだけていることに気が付いた。

 2人は、顔を赤くして、慌てて、浴衣を直した。

 その後は、卓球を辞め、部屋に戻った。

 なんか、気まずいな。

 そんなことを思っていると、ドアをノックされた。

 
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