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第十五話 約束を誓った魔法具
しおりを挟む俺は、2人に告白した後、直ぐに、婚約指輪を作ることにした。
茉里の婚約指輪には、ブラックダイヤモンドを埋め込め、ソニアの婚約指輪には、アメジストを埋め込んだ。
本当は、ダイヤモンドが良かったが、それは、結婚指輪の時だな。
2人に送ると、とても嬉しそうに受け取ってくれた。
茉里とソニアは、その婚約指輪を右手の薬指につけている。
偶に、婚約指輪を見て、幸せそうにはにかんでいる。
ちなみに、婚約指輪や結婚指輪をどこにつけるかという明確なルールはない。
国や文化によって、異なってくる。
そんな感じで、とても幸せな毎日を過ごしている。
今は、茉里とソニアと一緒に、海を眺めながら、昼食をとっているところだ。
昼食を食べていると、1つのことに気が付いた。
ソニアが、紫色のネックレスをつけていることに。
「ソニア。そのネックレスは?」と、聞いた。
「このネックレスですか?」と、ソニアが、そのネックレスを持ち、聞き返してきた。
俺は、頷いて答えた。
ソニアは、ネックレスを撫でながら、「このネックレスは、姫様に、昔貰ったものです。そして、ある約束をしました」
「約束?」と、茉里が、ソニアに、聞いた。
「はい、約束です。大事な大事な約束ですよ」と答え、ソニアは、微笑んだ。
本当に大切な人ものらしいな。
あのネックレスをよくよく見てみると、ソニア用に作られたものだと理解できる。
うん?
待って。
あのネックレスは、魔法具じゃないか?
俺は、「ソニア。そのネックレス、魔法具かもしれない」
その言葉に、茉里とソニアは、驚いた表情を浮かべた。
「それは、本当ですか?」と、ソニアが、聞いてきた。
「ああ、間違えない。しかも、通信することが出来る魔法具のようだ」と、答えた。
「姫様」と呟き、ソニアは、嬉しそうに、ネックレスを抱きしめた。
俺は、「ソニア。もしかすると、王女様に、繋がるかもしれない。通信をしたら」
「確かに、その可能性は、充分にありますね。では、試してみます」と言い、ソニアは、魔法具を起動させた。
少しすると、音が聞こえてきた。
「ソニアなの?」と、聞き覚えがある声が、通信越しで、聞いてきた。
「ええ、ええ、姫様。私です。ソニアです」と、ソニアは、嬉しさなあまり泣きそうになりながら、答えた。
王女様は、「ソニア、本当に良かった。貴方が、いなくなって、心配で、心配で」
「ご迷惑をお掛けしました」と言い、ソニアは、頭を下げた。
王女様は、優しい「迷惑だなんて、思ってないわ。だって、ソニアは、私の大事な家族だもの」
「姫様、ありがとうございます」と言い、ソニアは、嬉しそうな表情を浮かべていた。
「それで、ソニア。貴方は、今何処にいるの?無事なの?怪我とかもしてないの?」と、王女様は、少し心配そうな声色で、ソニアに、聞いた。
「大丈夫ですよ、姫様。私は、怪我もしてませんし、無事です。そして、姫様、もう2度会うことは、出来ませんが、私は、約束を守ることができます」と答え、ソニアは、俺と茉里の方を見て、微笑んだ。
「2度会えない?約束を守れる?一体、どうゆうこと?」と、王女様は、ソニアに、聞いた。
「今、私は、異世界、いや、異世界の勇者様達の世界にいるです。そして、こっちの世界で、慕っている人ができました」と、ソニアは、優しい表情を浮かべ、答えた。
「い、異世界に?相手は、誰なの?」と、王女様は、驚きを隠せないまま、ソニアに、聞いた。
「姫様も知っている方ですよ。宗佑様です。そして、私の他に宗佑様と結婚する人もいます。それは、茉里さんです。ですから、心配しないで下さい。姫様。私は、この世界で幸せになります」と、ソニアは、ネックレスを見ながら、答えた。
その後は、これまであったことを王女様に説明した。
その時に、帰還者が、冷たい視線に晒されていることは、話していない。
王女様に、負い目を追って欲しく無いからな。
大体の説明を終えると、魔力の限界が、来ていた。
王女様は、「宗佑様、茉里様。私の大事な家族をよろしくお願いします」
俺は、「勿論です、王女様」
その後、通信の魔法具は、魔力切れで、切れてしまった。
[第1王女視点]
良かったわ。
ソニアが、幸せそうで。
これじゃあ、私の方が、約束を守れそうに無いわね。
このことを早速お父様に伝えないと。
私は、お父様がいる執務室に向かい、このことを伝えた。
このことを聞いたお父様は、驚きと安堵が、混ざった表情を浮かべていた。
お父様は、私の顔を見て、「良かったな、マリー。ソニアが、無事で」
「はい、お父様」と言い、笑顔を浮かべた。
「次は、マリーだな」と言い、お父様は、いくつかの縁談を持ってきた。
私は、縁談をよく見ることにした。
ソニアは、幸せになった。
だから、私も約束を果たさなくては。
あの時、このネックレスに誓った約束を。
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