ケモ耳っ娘になったからにはホントはモフられたい~前世はSランク冒険者だったのでこっそり無双します~

都鳥

文字の大きさ
211 / 333
王都を離れて

99 獣人娘のわがまま(2)

しおりを挟む
◆登場人物紹介(既出のみ)
・リリアン…主人公。前世の記憶を持つ、黒毛の狼獣人の少女。転生前は前・魔王討伐隊、『英雄』のアシュリー
・シアン…前・魔王討伐隊の一人。アシュリーとは討伐隊になる前からの付き合いがあり、ずっと彼女に想いを寄せていた。
・デニス…Sランクの実力を持つAランクの先輩冒険者。リリアンに好意を抱いている。
・カイル…リリアンの兄で、灰狼族の若き族長。銀の髪と尾を持つ。ややシスコン
・シャーメ…現在リリアン達が世話になっている、仙狐(3本の尾を持つ白毛の狐)の兄妹の妹
・タングス…仙狐兄妹の兄。二人とも今は20歳程度の人狐の姿で過ごしている。

====================

 メイドゴーレムのアニーの体は魔力を持った霧で出来てるので、姿を自由に変える事ができる。
 基本的には男性形のアンドレか、女性形アニーに変わる程度だけど、細かく指示を与えれば他の姿にもなれるし、少しなら会話も可能だ。

「長期の留守番をさせる事になるから、何かの際には私の姿で対応してもらう事もあると思って、アニーに教えておいたんです。それで……」

「なるほど…… しっかり騙されたな……」
「ごめんなさい。恥ずかしくて…… でも…… シアさんも私がアシュリーだって知ってからは、リリアンとして見てくれなくなっちゃって。以前町で仔犬の姿で会った時には沢山撫でてくれたから、もしかしたらって……そう思っちゃったんです」

 後ろめたい気持ちもあって、顔が上げられないし、自然に耳も尾も下がる。
 でも何の返事も無い事に不安になって、ちらりと視線だけ上げた。

 シアさんもデニスさんも、顔を手で覆いながらふるふると震えていた。
「え…… あの……? どうかしましたか??」
 不安になってカイルの方を見ると、彼も頭を抱える様に手を当てている。でも二人とは違って苦い表情をしていた。

「頭を撫でてほしいとか…… ……過ぎるだろう……」
「ああー、もう…… 反則だろう、これは……」
 デニスさんとシアさんは、何かブツブツと言っている。
「うちの妹が可愛いのは前からじゃあないか。二人とも、くれぐれも調子に乗るなよ!?」
 その二人に向かって、何故かキツイ口調で説教をするカイル…… 何があったの? いったい??

「いくらでも撫でてやるから。嫌じゃねえし、むしろ嬉しいし」
 デニスさんが片手で顔を隠す様にしながら手を伸ばしてきた。そして以前のように私の頭を撫でてくれる。
「うん、わかったよ。ごめんな。リリアンはリリアンだもんな…… たまに前の呼び名が出ちゃうかもしれないけど、それは許してくれよな」
 シアさんも私たちの前へ来て、そっと私の頭に手を置いた。
 ひとまず、ちゃんと伝える事は出来たようで、ほっとした。


「なあ、リリアン。俺もお前に言いたい事があるんだけど、いいか?」
「ふえ?」
「前にも言ったろう? 信頼してくれているのなら、一人で我慢したりしないでちゃんと俺らを頼ってくれ。流石にカイルみたいに、は無理だとは思うけどさ」
「そうだよ、俺もリリアンの先輩なんだから、ちゃんと先輩らしく居させてくれよ」

 そっか…… そういえば、二人にはもっと頼れと言われていたのに。
 私も言われた事を出来てなかった。私ばかり、二人に当たってしまった。

「……ごめんなさい」

「謝るんじゃねーよ。俺たちは頼ってほしいんだからさ。こういう時は『お願いします』とか「頼りにしてます』って言うんだ」
 デニスさんの言葉に黙って頷くと、また頭に温かい手が乗せられた。


「おねーちゃん、今日は夕ご飯一緒に作ろう!」
 すくっと立ち上がったシャーメが私の腕をとる。
「そうだね、そうしようか」
 そう応えると、横で聞いていたタングスも立ち上がる。
「僕も一緒にやる!」
 二人に両手をとられてキッチンに向かった。

 * * *

 楽しそうにキッチンに立つリリアンと仙狐たちの背中を眺める。リリアンの尻尾が揺れているのを見て、一安心した。
 やれやれとまたソファーに腰掛けると、向かいのカイルが怖い顔をして俺らを見ていた。
 シスコンのカイルにとっては、俺らはリリアンにつく悪い虫みたいに見えるのかもな……

「妹を泣かせたら許さないからな。それでも、リリアンにとってお前らが大事な仲間な事はわかっているし、今やってる事をやめろとは言わないけどな」
 面白くなさそうにそう言いはするが、俺らに理不尽な事や無茶を言うわけじゃあない。カイルも良いヤツなんだなと、本当にそう思う。

「なあ、デニス。リリアンって、前からああして謝ってばかりだったか?」
 思い起こせば俺と旅をしていた頃にも彼女はああして謝ってばかりだった。
「いや、リリアンは……もっと元気が取り柄って感じで。そういえば、このところちょっと様子が変わったかもな」

「前世はああだったんじゃないのか?」
 カイルが向かいから言葉を挟んだ。
「僕らきょうだいと居た時に、リリアンが寝言でごめんなさいと謝るのを何度か聞いた。きっと前世の夢でもみているんだろうなと、その時にはそう思っていた。何に謝ってるのかはわからなかったけど」

「でも、俺は…… あんな風にアッシュが謝るところなんて見た事が無い……」
「じゃあ耐えていたんだろう。リリアンがそうしていた様に」

 アッシュは…… 腕っぷしだけでなく、心も強かった。俺にはそう見えていた。
 ……でもカイルの言う事が当たっているとしたら、アッシュはずっとあんなつらい気持ちを抱いていたのだろうか。
 俺に見せていたアッシュの姿と、今のリリアンの姿。どっちが本当の彼女なんだろうか……

 何故か、胸が少し痛んだ。

====================

(メモ)
 庭で会った(閑話8)
 町で会った(#66)
 頼ってほしい(#72、#42)
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

悪役令嬢ですが、二度目は無能で通します……なので執事は黙っててください

放浪人
恋愛
社交界で“悪女”と呼ばれ、無実の罪で断罪された公爵令嬢リディア。 処刑の刃が落ちた瞬間、彼女は断罪される半年前の朝に時を遡っていた。 「二度目も殺されるなんて御免だわ。私は、何もできない無能な令嬢になって生き延びる!」 有能さが仇になったと悟ったリディアは、プライドも実績も捨てて「無能」を装い、北の辺境・白夜領へ引きこもる計画を立てる。 これで平和なスローライフが送れる……はずだった。 けれど、幼い頃から仕える専属執事・レージだけは誤魔化せない。 彼はリディアの嘘を最初から見抜いているくせに、涼しい顔で「無能な主人」を完璧に演じさせてくれないのだ。 「黙っててと言いましたよね?」 「ええ。ですから黙って、あなたが快適に過ごせるよう裏ですべて処理しておきました」 過保護すぎる執事に管理され、逃げ道を塞がれながらも、リディアは持ち前の正義感で領地の危機を次々と救ってしまう。 隠したいのに、有能さがダダ漏れ。 そうこうするうちに王都からは聖女と王太子の魔の手が迫り――? 「守られるだけはもう終わり。……レージ、私に力を貸しなさい」 これは、一度死んだ令嬢が「言葉」と「誇り」を取り戻し、過保護な執事の手を振りほどいて、対等なパートナーとして共に幸せを掴み取るまでの物語。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

大国に囲まれた小国の「魔素無し第四王子」戦記(最強部隊を率いて新王国樹立へ)

たぬころまんじゅう
ファンタジー
 小国の第四王子アルス。魔素による身体強化が当たり前の時代に、王族で唯一魔素が無い王子として生まれた彼は、蔑まれる毎日だった。  しかしある日、ひょんなことから無限に湧き出る魔素を身体に取り込んでしまった。その日を境に彼の人生は劇的に変わっていく。  士官学校に入り「戦略」「戦術」「武術」を学び、仲間を集めたアルスは隊を結成。アルス隊が功績を挙げ、軍の中で大きな存在になっていくと様々なことに巻き込まれていく。  領地経営、隣国との戦争、反乱、策略、ガーネット教や3大ギルドによる陰謀にちらつく大国の影。様々な経験を経て「最強部隊」と呼ばれたアルス隊は遂に新王国樹立へ。 異能バトル×神算鬼謀の戦略・戦術バトル! 圧倒的不利な状況を武と知略で切り抜ける! ☆史実に基づいた戦史、宗教史、過去から現代の政治や思想、経済を取り入れて書いた大河ドラマをお楽しみください☆

異世界と地球がダンジョンで繋がった ー異世界転移者の私ー

白木夏
ファンタジー
2040年の初春、突如として地球上の主要都市に謎のダンジョンが出現した。 その特異性は明らかで、人口密集地を中心に出現し、未開の地には一切現れないという法則性を帯びていた。 人々は恐怖に震えつつも、未知なる存在に対する好奇心を抑えきれなかった。 異世界転移した最強の主人公のほのぼのライフ 主人公はあまり戦ったりはしません。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

余命僅かな大富豪を看取って、円満に未亡人になるはずでした

ぜんだ 夕里
恋愛
傾きかけた家を救うため、私が結んだのはあまりにも不謹慎な契約――余命いくばくもない大富豪の辺境伯様と結婚し、彼の最期を穏やかに看取ることで莫大な遺産を相続する、というものだった。 しかし、人の死を利用して富を得るなど不正義! そう考えた私が立てたのは、前代未聞の計画。 「そうだ、遺産が残らないくらい贅沢の限りを尽くしてもらえば、すべて丸く収まるじゃない!」

処理中です...