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第六章
6-11 『仲間』
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「カルロ、無事か!?」
バタバタと慌しい足音とともに、他の冒険者たちを連れたブラドさんたちが広間に入ってくる。彼らは小山のようにも見えるギガントロックドラゴンの遺骸を目にすると、口々に驚きの声をあげる。
「カルロは体力回復の為に眠らせてある。出血は止まったが、まだ傷は深い。早く連れていって治療師に診せたほうがいい」
ヴィーさんの言葉にブラドさんは大きく頷く。横で話を聞いていた冒険者たちが、持ってきた担架にカルロさんを乗せる支度を始める。
そんな皆の様子を、僕はただ呆然と見ていた。
「お前も巻き込まれたクチか。怪我はないか?」
ブラドさんと一緒に来た冒険者の一人が、僕に気付いて声をかけてきた。ランクも低い、どんくさそうな僕がこんな場所に居たら、そう思われても仕方ない。
「あ、いや。僕はジャウマさんたちの――」
仲間、と言おうとして、でも言葉に詰まった。
――お前たち、俺の仲間だな――
あの時、まるでキメラの獣人のような姿をした男は、ジャウマさんたちに向かってそう言った。ジャウマさんはそれを否定せず、返すように男に尋ねた。
――お前は、魔王派か?――
魔王……
遥か昔、この世界の裏側からやってきた異形の者たちを、人間は『魔族』と呼んだ。彼らは『魔王』と呼ばれる存在に率いられ、この世界を暴力を以て統べようとした。しかし何者かによって『魔王』は倒され、『魔族』は姿を消した。
これがこの世界に住まう者たちの知る、古の物語だ。
目の前の男は、その『魔王』の一派だと言うのだろうか? だとしたら、あの男は『魔族』なのだろう。
そして男は、僕らを『仲間』だと言った。その言葉が真実だとしたら、僕らも――
「どうした? 大丈夫か?」
冒険者にもう一度声を掛けられ、ハッと我に返った。
「す、すみません。怪我はしていないので、大丈夫です」
「そうか、なら良かった」
頭を下げて詫びると、彼は僕の肩をポンと叩いて仲間たちの所へ歩いて行った。
「お前たちに、あいつを押し付けるような真似をしてすまなかった」
ブラドさんの声で振り返る。彼はジャウマさんたちに深く頭を下げているところだった。
「いや、俺らが自分たちで決めてここまで来たんだ。気にするな。なんにせよ、カルロが無事でよかった」
ヴィーさんの言葉に、ブラドさんの表情が安心したように緩む。
「それにしても、まさかお前たちだけで倒しちまうとはな。入口に居合わせたヤツらをできるだけ連れてきたが、無駄足だったか」
絶命しているギガントロックドラゴンの遺骸を見て、やれやれという様に大きくため息を吐く。
『僕らだけ』どころか、ジャウマさんはたった一人でこの巨大な竜を倒してしまった。
普通の人間や獣人であれば、大剣をも通さない鱗を持つ竜を倒すなど、そう簡単にはできないだろう。
それを為すことができたのは、人ならざる者どころか、『魔族』だからだろう。
彼らは……いや、僕らは人間の敵である『魔族』なのだから……
――不意に、ずっと泣いていたアリアちゃんの姿が思い浮かんだ。
今の僕の心は、あの時の子供たちと同じで、あの時のアリアちゃんと同じだ。
あの時の子供たちと同じように、『魔族』だというだけで彼らや僕自身を恐れている。
あの時のアリアちゃんと同じように、『魔族』であることで他の人たちから嫌われることを恐れている。
――アリアちゃんは、身を挺して皆を守ったのに…… 皆を怖がらせたりはしないのに――
あの時の僕は、そんな思いを抱いていたというのに……
「こいつはかなりの調査資料になるな。ここで解体できるなら、出来るだけ持ち帰りたいのだが…… ギルド中のマジックバッグを集めて足りるものなのか?」
話す声に聞き覚えを感じ、そちらの方を見た。
「あ、トビーさん」
ダンジョンの受付役で、さらに冒険者ギルドの教官でもあるトビーさんが、満足げな顔でギガントロックドラゴンを眺めている。
「よお、お前が無事で良かった」
「あ…… 僕は、安全な場所で待っていただけなので」
「そうか。頼りがいのある、いい先輩を持ったな」
そう言って、僕の肩をポンと叩いた。
ああ、そうだ。僕は知っている。とても良く知っている。
彼らは悪い人たちじゃない。なんだかんだ言っていても、本当はいい人たちなんだ。
大人から財布を盗むほどに困窮していた子供たちを救おうとしたことを知っている。
自らの死を望まれながらも、その相手の心を少しでも安らげたいと言った言葉を聞いている。
冒険者を助ける義理はないと言いながらも、理由をつけて助けに走る姿を、僕は見ている。
僕にとっては大切な仲間なんだ。
たとえ僕と彼らの正体が、何であったとしても。
* * *
冒険者の町を後にした僕らは、再び大鳥と化したヴィーさんの背に掴まり、今度は城を目指す。
「ジャウマさん」
その名の主は、何も言わずに僕に視線を向けた。多分、僕が訊こうとしていることをわかっている。
「僕らは『魔族』なんですか?」
自分たちは何者なのか。今まで疑問に思わなかったわけじゃない。でも知らないでいいことだと、そう自分に言い聞かせていた。
でも本当は、真実を知ることを恐れて無意識に拒んでいたのかもしれない。
ジャウマさんは僕の目をじっと見つめてから、ようやく口を開いた。
「ああ、そうだ」
それを聞いて、驚いたり恐れたりする自分は、今の僕の中にはない。むしろ、腑に落ちたような、そんな気持ちになっている。
でもジャウマさんの言葉それだけでは終わらなかった。
「ただの『魔族』じゃない。さっきのあいつと俺たちは『神魔族』だ」
バタバタと慌しい足音とともに、他の冒険者たちを連れたブラドさんたちが広間に入ってくる。彼らは小山のようにも見えるギガントロックドラゴンの遺骸を目にすると、口々に驚きの声をあげる。
「カルロは体力回復の為に眠らせてある。出血は止まったが、まだ傷は深い。早く連れていって治療師に診せたほうがいい」
ヴィーさんの言葉にブラドさんは大きく頷く。横で話を聞いていた冒険者たちが、持ってきた担架にカルロさんを乗せる支度を始める。
そんな皆の様子を、僕はただ呆然と見ていた。
「お前も巻き込まれたクチか。怪我はないか?」
ブラドさんと一緒に来た冒険者の一人が、僕に気付いて声をかけてきた。ランクも低い、どんくさそうな僕がこんな場所に居たら、そう思われても仕方ない。
「あ、いや。僕はジャウマさんたちの――」
仲間、と言おうとして、でも言葉に詰まった。
――お前たち、俺の仲間だな――
あの時、まるでキメラの獣人のような姿をした男は、ジャウマさんたちに向かってそう言った。ジャウマさんはそれを否定せず、返すように男に尋ねた。
――お前は、魔王派か?――
魔王……
遥か昔、この世界の裏側からやってきた異形の者たちを、人間は『魔族』と呼んだ。彼らは『魔王』と呼ばれる存在に率いられ、この世界を暴力を以て統べようとした。しかし何者かによって『魔王』は倒され、『魔族』は姿を消した。
これがこの世界に住まう者たちの知る、古の物語だ。
目の前の男は、その『魔王』の一派だと言うのだろうか? だとしたら、あの男は『魔族』なのだろう。
そして男は、僕らを『仲間』だと言った。その言葉が真実だとしたら、僕らも――
「どうした? 大丈夫か?」
冒険者にもう一度声を掛けられ、ハッと我に返った。
「す、すみません。怪我はしていないので、大丈夫です」
「そうか、なら良かった」
頭を下げて詫びると、彼は僕の肩をポンと叩いて仲間たちの所へ歩いて行った。
「お前たちに、あいつを押し付けるような真似をしてすまなかった」
ブラドさんの声で振り返る。彼はジャウマさんたちに深く頭を下げているところだった。
「いや、俺らが自分たちで決めてここまで来たんだ。気にするな。なんにせよ、カルロが無事でよかった」
ヴィーさんの言葉に、ブラドさんの表情が安心したように緩む。
「それにしても、まさかお前たちだけで倒しちまうとはな。入口に居合わせたヤツらをできるだけ連れてきたが、無駄足だったか」
絶命しているギガントロックドラゴンの遺骸を見て、やれやれという様に大きくため息を吐く。
『僕らだけ』どころか、ジャウマさんはたった一人でこの巨大な竜を倒してしまった。
普通の人間や獣人であれば、大剣をも通さない鱗を持つ竜を倒すなど、そう簡単にはできないだろう。
それを為すことができたのは、人ならざる者どころか、『魔族』だからだろう。
彼らは……いや、僕らは人間の敵である『魔族』なのだから……
――不意に、ずっと泣いていたアリアちゃんの姿が思い浮かんだ。
今の僕の心は、あの時の子供たちと同じで、あの時のアリアちゃんと同じだ。
あの時の子供たちと同じように、『魔族』だというだけで彼らや僕自身を恐れている。
あの時のアリアちゃんと同じように、『魔族』であることで他の人たちから嫌われることを恐れている。
――アリアちゃんは、身を挺して皆を守ったのに…… 皆を怖がらせたりはしないのに――
あの時の僕は、そんな思いを抱いていたというのに……
「こいつはかなりの調査資料になるな。ここで解体できるなら、出来るだけ持ち帰りたいのだが…… ギルド中のマジックバッグを集めて足りるものなのか?」
話す声に聞き覚えを感じ、そちらの方を見た。
「あ、トビーさん」
ダンジョンの受付役で、さらに冒険者ギルドの教官でもあるトビーさんが、満足げな顔でギガントロックドラゴンを眺めている。
「よお、お前が無事で良かった」
「あ…… 僕は、安全な場所で待っていただけなので」
「そうか。頼りがいのある、いい先輩を持ったな」
そう言って、僕の肩をポンと叩いた。
ああ、そうだ。僕は知っている。とても良く知っている。
彼らは悪い人たちじゃない。なんだかんだ言っていても、本当はいい人たちなんだ。
大人から財布を盗むほどに困窮していた子供たちを救おうとしたことを知っている。
自らの死を望まれながらも、その相手の心を少しでも安らげたいと言った言葉を聞いている。
冒険者を助ける義理はないと言いながらも、理由をつけて助けに走る姿を、僕は見ている。
僕にとっては大切な仲間なんだ。
たとえ僕と彼らの正体が、何であったとしても。
* * *
冒険者の町を後にした僕らは、再び大鳥と化したヴィーさんの背に掴まり、今度は城を目指す。
「ジャウマさん」
その名の主は、何も言わずに僕に視線を向けた。多分、僕が訊こうとしていることをわかっている。
「僕らは『魔族』なんですか?」
自分たちは何者なのか。今まで疑問に思わなかったわけじゃない。でも知らないでいいことだと、そう自分に言い聞かせていた。
でも本当は、真実を知ることを恐れて無意識に拒んでいたのかもしれない。
ジャウマさんは僕の目をじっと見つめてから、ようやく口を開いた。
「ああ、そうだ」
それを聞いて、驚いたり恐れたりする自分は、今の僕の中にはない。むしろ、腑に落ちたような、そんな気持ちになっている。
でもジャウマさんの言葉それだけでは終わらなかった。
「ただの『魔族』じゃない。さっきのあいつと俺たちは『神魔族』だ」
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