69 / 206
第2章 紡がれる希望
第10.5話 髒造
しおりを挟む
ユウトがルクスにて闇のボスを打ち倒した頃、一人の男はある場所へと赴いていた。
上下共に黒を基調とした服に身を包み、両手をポケットに入れた男は今にも倒壊しそうな程古びた建物内に入って行った。
男は右眼は水晶の様な白色に染まり、左眼は血に染まったかの様な紅の瞳をしていた。
「外見だけは……相変わらずクソみたいだな」
男は不機嫌そうな表情を浮かべながら砂埃の舞う建物内の奥へと足早に進み始めた。
薄暗い部屋の中を少し進むと一箇所だけ色が多少変化した床のある場所に来た。
「俺だ……早く開けろ……頭を吹き飛ばされたくなかったら」
男が床に向けて言葉を発すると、木材で作られていた床の中で、色の変化していた床だけが一瞬で消滅した。
床の下には終わりの見えない程続いている階段が隠されていた。
「……」
漆黒の髪をした男は、無言のまま階段を降り始めた。
階段を降り始めてから数分後、男の前には透明な扉が存在した。
「俺だ」
男の声に呼応する様に、正面に存在した扉が開かれると男の前には先程の景色とはまるで違う景色が広がっていた。
床は一面金属のような〝何か〟で黒く染められ、節々に緑色の線が走り、薄暗い空間内で緑色の線が不気味に光る事で周囲を照らしていた。
空間内には人が一人入れる大きさの透明な器が幾つもあり、器の中には黄金色の髪をした女性が衣服を纏っていない状態で緑色の液体に浸かっていた。
「お疲れ様です」
そんな薄暗い空間の中からゆっくりと男に近付いて来たのは、紅掛空色のツインテールを揺らした白色の瞳の少女だった。
「ああ……お前か」
左目に眼帯を付けた少女の声を聞いた男は、右ポケットの内から黒い銃を取り出し近付いてくる少女の側頭部を弾倉部分で殴り付けた。
「っ!」
左側頭部を殴打された少女は、咄嗟に側頭部を抑えたが、男は少女の後頭部を掴み地面に勢い良く叩き付けた。
「馬鹿かお前は……痛くないだろ?……お前は、もう人間じゃ無いのだから」
「う……うぅ」
床に蹲りながら声を上げた少女の頭を踏み付けた。
「数秒砂埃を吸った……壊されない事を奇跡だと喜ぶんだな」
男はそう言うと、壁に向けて少女の腹部を右脚で蹴り飛ばした。
「かはっ!」
蹴り飛ばされた少女はその場にへたり込んだ。
「……俺が来た事を察知できるように〝改造〟するか」
小さな声で呟いた男は、少女を無視して部屋の奥へと消えて行った。
「……痛い……痛いよ」
一人取り残された少女は、感じる事が出来ない痛みに苦しみの声を上げながらも立ち上がろうと努力したが、腕が震えて上手く立ち上がる事が出来ずに床に倒れ込んだ。
「早く……会いたいよ……〝シア〟」
顔を歪めた少女は微かに動かせる左腕で一枚の写真を見つめると、安心したように微笑んだ。
その写真には今よりも少しだけ幼い頃の少女と共に、笑顔で映る〝蒼いツインテールの少女〟が写真に収められていた。
―*―*―*―*―
男は、再び視界に現れた扉を開けた。
「……ここに来られるのも、これが最後だろう」
男の視線の先には、透明な器の中で衣服を纏わず安らかに緑色の液体内で眠る黒髪の少女がいた。
「ユウトが勝ったらしいぞ」
男の言葉を聞いた少女は、ピクリと眉を動かした。
「はぁ……あいつが羨ましい……俺には反応しない彼女が、あいつの名前には反応する」
男は溜息を吐くと近場にある椅子に腰掛け、少女を見つめていた。
「〝あの人〟のお陰でお前を〝創る〟事が出来た……これで俺の目標は〝二つ共〟達成された訳だ」
黒服の男は、懐から取り出した〝オセロの石〟を見つめて笑みを浮かべた。
「お前が目覚めるのはもっと先だ。その頃には、俺がどうなっているか分からないが……」
男は透明な器に手を当て、瞳を閉じた。
「俺の生涯は研究の為にあった……後悔する事は何一つ残されてはいない」
そう言い残した男は、ゆっくりと振り返り入り口の扉を開けた。
「俺が終わらせる事が出来なかった時は……お前に任せたぞ……〝ユカリ〟」
男は黒衣を揺らしながら、先の見えない暗闇へと姿を消した。
上下共に黒を基調とした服に身を包み、両手をポケットに入れた男は今にも倒壊しそうな程古びた建物内に入って行った。
男は右眼は水晶の様な白色に染まり、左眼は血に染まったかの様な紅の瞳をしていた。
「外見だけは……相変わらずクソみたいだな」
男は不機嫌そうな表情を浮かべながら砂埃の舞う建物内の奥へと足早に進み始めた。
薄暗い部屋の中を少し進むと一箇所だけ色が多少変化した床のある場所に来た。
「俺だ……早く開けろ……頭を吹き飛ばされたくなかったら」
男が床に向けて言葉を発すると、木材で作られていた床の中で、色の変化していた床だけが一瞬で消滅した。
床の下には終わりの見えない程続いている階段が隠されていた。
「……」
漆黒の髪をした男は、無言のまま階段を降り始めた。
階段を降り始めてから数分後、男の前には透明な扉が存在した。
「俺だ」
男の声に呼応する様に、正面に存在した扉が開かれると男の前には先程の景色とはまるで違う景色が広がっていた。
床は一面金属のような〝何か〟で黒く染められ、節々に緑色の線が走り、薄暗い空間内で緑色の線が不気味に光る事で周囲を照らしていた。
空間内には人が一人入れる大きさの透明な器が幾つもあり、器の中には黄金色の髪をした女性が衣服を纏っていない状態で緑色の液体に浸かっていた。
「お疲れ様です」
そんな薄暗い空間の中からゆっくりと男に近付いて来たのは、紅掛空色のツインテールを揺らした白色の瞳の少女だった。
「ああ……お前か」
左目に眼帯を付けた少女の声を聞いた男は、右ポケットの内から黒い銃を取り出し近付いてくる少女の側頭部を弾倉部分で殴り付けた。
「っ!」
左側頭部を殴打された少女は、咄嗟に側頭部を抑えたが、男は少女の後頭部を掴み地面に勢い良く叩き付けた。
「馬鹿かお前は……痛くないだろ?……お前は、もう人間じゃ無いのだから」
「う……うぅ」
床に蹲りながら声を上げた少女の頭を踏み付けた。
「数秒砂埃を吸った……壊されない事を奇跡だと喜ぶんだな」
男はそう言うと、壁に向けて少女の腹部を右脚で蹴り飛ばした。
「かはっ!」
蹴り飛ばされた少女はその場にへたり込んだ。
「……俺が来た事を察知できるように〝改造〟するか」
小さな声で呟いた男は、少女を無視して部屋の奥へと消えて行った。
「……痛い……痛いよ」
一人取り残された少女は、感じる事が出来ない痛みに苦しみの声を上げながらも立ち上がろうと努力したが、腕が震えて上手く立ち上がる事が出来ずに床に倒れ込んだ。
「早く……会いたいよ……〝シア〟」
顔を歪めた少女は微かに動かせる左腕で一枚の写真を見つめると、安心したように微笑んだ。
その写真には今よりも少しだけ幼い頃の少女と共に、笑顔で映る〝蒼いツインテールの少女〟が写真に収められていた。
―*―*―*―*―
男は、再び視界に現れた扉を開けた。
「……ここに来られるのも、これが最後だろう」
男の視線の先には、透明な器の中で衣服を纏わず安らかに緑色の液体内で眠る黒髪の少女がいた。
「ユウトが勝ったらしいぞ」
男の言葉を聞いた少女は、ピクリと眉を動かした。
「はぁ……あいつが羨ましい……俺には反応しない彼女が、あいつの名前には反応する」
男は溜息を吐くと近場にある椅子に腰掛け、少女を見つめていた。
「〝あの人〟のお陰でお前を〝創る〟事が出来た……これで俺の目標は〝二つ共〟達成された訳だ」
黒服の男は、懐から取り出した〝オセロの石〟を見つめて笑みを浮かべた。
「お前が目覚めるのはもっと先だ。その頃には、俺がどうなっているか分からないが……」
男は透明な器に手を当て、瞳を閉じた。
「俺の生涯は研究の為にあった……後悔する事は何一つ残されてはいない」
そう言い残した男は、ゆっくりと振り返り入り口の扉を開けた。
「俺が終わらせる事が出来なかった時は……お前に任せたぞ……〝ユカリ〟」
男は黒衣を揺らしながら、先の見えない暗闇へと姿を消した。
0
あなたにおすすめの小説
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
汚部屋女神に無茶振りされたアラサー清掃員、チートな浄化スキルで魔境ダンジョンを快適ソロライフ聖域に変えます!
虹湖🌈
ファンタジー
女神様、さては…汚部屋の住人ですね? もう足の踏み場がありませーん><
面倒な人間関係はゼロ! 掃除で稼いで推し活に生きる! そんな快適ソロライフを夢見るオタク清掃員が、ダメ女神に振り回されながらも、世界一汚いダンジョンを自分だけの楽園に作り変えていく、異世界お掃除ファンタジー。
「聖女はもう用済み」と言って私を追放した国は、今や崩壊寸前です。私が戻れば危機を救えるようですが、私はもう、二度と国には戻りません【完結】
小平ニコ
ファンタジー
聖女として、ずっと国の平和を守ってきたラスティーナ。だがある日、婚約者であるウルナイト王子に、「聖女とか、そういうのもういいんで、国から出てってもらえます?」と言われ、国を追放される。
これからは、ウルナイト王子が召喚術で呼び出した『魔獣』が国の守護をするので、ラスティーナはもう用済みとのことらしい。王も、重臣たちも、国民すらも、嘲りの笑みを浮かべるばかりで、誰もラスティーナを庇ってはくれなかった。
失意の中、ラスティーナは国を去り、隣国に移り住む。
無慈悲に追放されたことで、しばらくは人間不信気味だったラスティーナだが、優しい人たちと出会い、現在は、平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。
そんなある日のこと。
ラスティーナは新聞の記事で、自分を追放した国が崩壊寸前であることを知る。
『自分が戻れば国を救えるかもしれない』と思うラスティーナだったが、新聞に書いてあった『ある情報』を読んだことで、国を救いたいという気持ちは、一気に無くなってしまう。
そしてラスティーナは、決別の言葉を、ハッキリと口にするのだった……
勘違いで召喚して来たこの駄女神が強引すぎる 〜ふざけたチートスキルで女神をボコしながら冒険します〜
エレン
ファンタジー
私は水無月依蓮《みなづきえれん》、どこにでもいる普通の女子高生だ。
平穏な生活を送っていた私は、ある日アルテナと名乗る女神に召喚されてしまう。
厨二臭いその女神が言うには、有給休暇で異世界冒険したいから、従者としてついて来なさいとの事。
うん、なんだその理由は。
異世界なんて興味ない、とっとと私を元の場所に返せ。
女神を殴ったり踏みつけたりしてやっと返してもらえるかと思いきや。
え? 勝手に人間を異世界に呼ぶのは天界の掟で禁止? バレたら私も消される?
ふざけるなー!!!!
そんなこんなで始まる私とポンコツ女神アルテナのドタバタ異世界冒険。
女神が貴族をハゲさせたり、「器用貧乏・改」と言うふざけたスキルを習得したり、ゴブリンの棲家に突撃する羽目になったり、手に入れた家が即崩壊したり、色々起きるけど全てを乗り切って見せる。
全ては元の世界に帰るために!!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい
空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。
孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。
竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。
火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜?
いやいや、ないでしょ……。
【お知らせ】2018/2/27 完結しました。
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
規格外の魔法少女は『遊び』と称して魔獣討伐行ってます! 〜王子の機転が国家を救う!?〜
婚后 清羅
ファンタジー
子供たちはただ遊んでいるだけなのに?王子の機転が国家を救う!?痛快ファンタジー!
平和な田舎町コレットに住む少女キスティーは、全属性の魔法を極めた規格外の魔力を持っていた。しかし彼女にとって魔法は「家事があっという間に終わってしまい、毎日の楽しみを奪うもの」でしかなく、その力を使うのはもっぱら幼馴染のアリシア(精密な無詠唱魔法の使い手)、ギルバート(規格外の強靭な肉体の持ち主)との「遊び」の中だけだった。
そんな彼女たちの前に、視察団として身分を隠した第三王子レイエスが現れる。王子は、三人が国家級の脅威である魔獣たちを、ただの「遊び」の延長で、一撃のもとに仕留める光景を目の当たりにし、驚愕する。この国の常識を遥かに超えた彼女たちの力は、本人たちにとってはあくまで「日常の遊び」に過ぎなかったのだ。
王子に同行している騎士団長は、自らの部隊が命懸けで挑む難敵を、遊び感覚で仕留める彼女たちの振る舞いに、常に顔を青ざめさせ、胃を痛め、絶叫に近いツッコミを入れ続ける。
レイエスは確信する。各地で活発化する魔獣の脅威を退け、王国の平和を守る鍵は彼女たちの力にあると。しかし、義務や名誉に興味がない自由奔放な彼女たちを、騎士団などの堅苦しい枠に閉じ込めることは不可能だ。そこでレイエスは、一石二鳥の妙案を思いつく。それは、彼女たちを「働かせる」のではなく、討伐対象がいる危険地帯へ「遊び」という名目で誘い出すことだった。
レイエスは親たちへの根回しを完璧に済ませ、再び三人の前に現れる。「褒美に海へ遊びに行こう」という誘いに、三人は、王子様が自分たちを騙して捕まえようとしてるのではないかと疑うが、結局未知なる冒険という名のピクニックへと旅立つことになる。
こうして、規格外の力を持つ三人と、彼女たちを「遊び」で導き、その力を正しく制御しようとする王子の奇妙な旅が始まる。彼女たちが無邪気に遊ぶたび、王国を脅かす難敵は露知らずのうちに駆逐されていく。自覚なき救世主たちのドタバタな日常が、世界の運命を静かに、そして豪快に変えていくのである。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【2025カドカワBOOKS10周年記念長編コンテスト中間選考通過作品】
・規格外の魔法少女は『遊び』と称して魔獣討伐行ってます!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる


