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第1章 光の導き手
第54話 Bloody Flame
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絆、愛……その感情が私に見せてくれる物は、私には無いものだった。
いつかの母子もそう……転がっている子供だった生ゴミを抱き寄せて、子供の命を奪った私から一切逃げようとしない母親もいた。
イタリアの男女もそう……男を殺したら生かしてやるって言ったのに、泣きながら女が男に発したのは自分の失態に対しての詫びと男の延命を望む言葉だった。
『ごめんね……私がドジだったから』
みたいな事を言っていた気がするけど覚えていない。
覚えているのは、女だった物を炭にした私に対して向けられた憎しみの眼差しだけ……そんな馬鹿な女を庇おうしたその男は生かしてあげた。
女を失ったあの男が、この先どんな気持ちで生きるのか……興味があったから。
人の最終的に取る物なんて自分の命でしょ?
他人の命を守る事に何の意味があるの?
生かした命なんて無価値でしょ?
息をする人形と同じ……。
自分の望む物を手に入れられるのは、この世で自分だけなのに。
―*―*―*―*―
「行くよ……ユウトっ!」
(私に見せて。この世で一番大切な自分の命を賭してまで守ろうとする意志の強さを……私には無い、光の人間だけが持っている想いを!)
少女は再び黒刀を振るうと、黒炎は水滴の様に地面へと飛散し、付着した全ての黒炎は前方のユウト目掛け燃え広がり始めた。
この攻撃に対して、ユウトは回避するのでは無く前方から迫り来る黒炎を周囲の地面諸共、凍結させる事で防いだ。
(今のユウトに近づくのは危険……それなら)
『黒刃』
黒刀の刀身全てに黒炎を纏わせた少女は、ユウトに向けて刃を力強く振るった。
すると黒炎は、刀身と同じ形状を保ったまま前方のユウトに向けた斬撃が放たれた。
黒炎が身体に付着する事を避ける為に、ユウトは全身を包み込む様に障壁を創造する事によって斬撃を防いだ。
障壁の創造を確認した少女は斬撃を連続で放ち、障壁に全方位から黒炎を付着させる様に、不規則に斬撃を操作した。
数秒後には、障壁に付着した黒炎がユウトを覆い隠す程に燃え広がっていた。
「ユウト……貴方の障壁は無敵じゃない、いずれは力に屈する張りぼて」
少女の放った黒炎は、既存の黒炎と重なる度に威力を増していった。
(ユウト……貴方はこの程度じゃないでしょ?光の導き手も認めた……光の人間達の希望なんだから)
―*―*―*―*―
黒炎によって覆い包まれた障壁は、黒炎によって蝕まれ始めていた。
(この黒炎……徐々に力を増しているのか?)
時間が経つにつれて障壁は軋み、所々にはヒビが入り始めていた。
(障壁をもう一枚重ねて創り出して、周りの黒炎ごと押し広げて吹き飛ばすか?……いや、力で押し負けつつあるこの状態で、同じように障壁を創り出しても、力の上乗せが出来る技相手には通用しない)
ユウトの障壁は重ねて創造しても耐久度が強化される訳では無い。
障壁の下に障壁を創り出しても、障壁外の攻撃が耐久力を上回る場合、重ね合わせた障壁も同様に破壊されてしまう。
(それなら……もう守りに徹するのは辞めだ)
ユウトは結晶刀を消滅させると右手に結晶拳を身に着けた。
「この戦いは、俺一人としてじゃない……ユカリの意志も背負った戦いなんだっ!」
ユウトは結晶拳を創造した後に横方向に高速回転させた結晶爆弾を少し離れた場所に創造した。
そして、回転している結晶爆弾目掛けて結晶拳を加速させて殴り付けた。
ユウトが結晶爆弾を殴ると炎の核を覆っていた結晶が砕け散り、中に含まれていた爆炎はユウトの右腕にネジ巻くように纏わり付いた。
「障壁ごと……黒炎を吹き飛ばすっ!」
ユウトは結晶拳を更に加速させ、小さな爆発を繰り返している結晶拳を障壁目掛けて全力で放った。
『氷結爆撃』
ユウトの放った拳が障壁を吹き飛ばすと同時に、付着していた黒炎も周辺の地面に飛散した。
黒炎を吹き飛ばすのみに留まらず、纏わり付いた爆炎は闇のボスに向けて拳から勢い良く放たれた。
「……私の力を理解したつもりなら、それは驕りだよ?」
地面に飛散した黒炎は、再びユウトの足元まで燃え広がった。
「なっ!」
ユウトの足場全体まで燃え広がると同時に、黒炎は柱の様にユウトの身体全体を包み込み、天井を突き破る程に燃え上がった。
少女も氷結爆撃の直撃を受け、後方へと吹き飛ばされた。
爆発によって階層内には土煙が舞い、衝撃によって壁の所々には亀裂が走っていた。
「……液体の様な炎だと思ってはいたが、飛散した炎まで操作出来るとは思わなかった」
ユウトは身体を包む障壁を創造したが間に合わず、身体の節々が黒く焼け爛れていた。
全身に燃え広がる事を阻止する為に、ユウトは黒炎の付着してしまった部分を凍結させた。
(よしっ!これで身体を動かせる)
自身の身体状態を確認し終えると、少女の吹き飛ばされた方向に視線を向けた。
少女は黒炎によって防御する事は出来ないらしく、氷結爆撃の直撃を受けて後方へと吹き飛ばされ、少女の座っていた黒色の玉座は後方の壁諸共消し飛んでいた。
床に倒れていた少女は、揺めきながら立ち上がると再び身体に黒炎を纏わせ始めた。
足を震わせながら立っている少女だったが、その表情は子供のように無邪気な笑顔を浮かべながら、ユウトを見つめ続けていた。
「流石ユウト……私の身体も殆ど動かなくなった」
そう言うとゆらりと刀を両手で構えた少女は、これまで使用していた火力以上の黒炎を刀身に纏わせた。
「でも、勝つのは私……ユウトに勝ってあの女を殺さないといけないから」
少女に呼応する様に、ユウトも結晶刀を創造すると、紅蓮の炎を刀身に纏わせた。
「俺も、負けられない。導き手と同じ存在として……勝って導く……誤った日常を進んでしまったお前さえっ!」
結晶刀の刀身に纏っている炎に次いで、周囲に雪の結晶を纏い始めていた。
炎は小さな爆発を繰り返し、刀身付近で舞っていた雪の結晶は、その爆発によって砕かれると小さな宝石の様に輝いていた。
少女は自身の行動に合わせて結晶刀を構えたユウトの姿を見ると、小さな笑みを浮かべた。
(やっぱりユウトは、私が思っていた通りの存在だった。だからこそ私は……ユウトに惹かれていた)
少女の握り締める柄は黒炎によって変色し、握る両手は共に焼け爛れていた。
しかし少女は、激痛に対して表情を変える事はなく、常に同じ人物の事を考えていた。
「繋いでみせる……」
右手のみで構えられた結晶刀からは、爆発の激しくなった刀身から結晶の粒が舞っていた。
「根絶してあげる……」
黒炎が身体全体を包むと同時に、少女は燃え盛る刃を大きく振りかぶった。
「光に満ち溢れた未来をっ!」
『導きの炎氷結』
ユウトによって振われた刃から、炎によって紅蓮に染まった斬撃が放たれ、地面を切り裂きながら少女に進み続けた。
炎によって形成された斬撃は、高温を帯びていながらも周囲には雪の結晶が舞っていた。
「縋る希望さえもっ!」
『血染めの炎』
少女の放った斬撃は、ユウトよりも赤黒く染まっており、地面を切り裂くのではなく黒炎によって急速に溶解させながらユウトに向かって進んでいった。
衝突した斬撃同士は轟音と共に、周囲に熱風と衝撃波を放つと、ルクスの壁は衝撃により耐久度の限界を迎え、決壊し始めていた。
パキパキ
小さな音が繰り返されている事に気付いた少女は、自身の放った斬撃を見て驚愕した。
赤黒く染まっていた筈の斬撃が、徐々に凍結していたのだ。
(ユウトの刀身を舞っていた雪の結晶……あれの影響?)
少女は自身の最後を悟ると、斬撃の先に立つユウトに視線を向けた。
斬撃によってよく見えない少女であったが、向こう側に立つユウトも少女を見ている気がしていた。
「ユウト……私は楽しかった。またいつか、私と——」
相手に届く事のない小さな呟きを、互いの技がぶつかり合う中で少女は安らかな顔で囁いていた。
ユウトも同様に少女から放たれた斬撃ではなく、向こう側にいる筈の少女に意識を向けていた。
(最後の斬撃を放つ時、あいつの身体は既に限界だった。凍結を防ぐ為の力すら残っていない事は、状態から見ても明らかだった)
ユウトの放った斬撃は、少女の斬撃を完全に結晶化すると同時に跡形もなく砕け散り、向こう側にいた少女は紅蓮の斬撃の中へと飲み込まれていった。
その後、斬撃はルクスの壁にぶつかると同時に消失し残された雪の結晶によって階層の壁が凍結し、ユウトと闇のボスとの対決は終結した。
―*―*―*―*―
アメリカ中央拠点クレイドル
「コイツらの相手は僕がする。だから君は早く転移エリアへ向かうんだっ!」
少年は、その場に座り込む少女の身を隠しながら声を上げた。
「そんな……貴方には待っている人がいます!私はもう……好きだった人との未練を断っています……だから私が!」
少女は目に涙を浮かべながら、必死に少年に訴えた。
「僕はね……好きな人を一途に想う女の子を犠牲に生き残ろうとする様な男にはなりたくないんだ。君には未来がきっとある……この状況を伝えるまでは、二人とも死ぬ訳にはいかないっ!」
少年は視線を合わせる事無く、自身の胸の内を訴えた。
「…………分かりました。私が救援を呼んできます……すぐに救援を呼んで来ますから、それまで……必ず生きていて下さい」
少女が転移エリアへと駆ける姿に、少年は目を向ける事は出来なかった。
少年の視線の先には、数十人の同じ容姿の女性が浮遊していた。
(悔いは無い……いや、あるとすれば……一つだけ)
少年に向けられた無数の銃口のような物からは、眩い光を放った赤黒い雷が走っていた。
いつかの母子もそう……転がっている子供だった生ゴミを抱き寄せて、子供の命を奪った私から一切逃げようとしない母親もいた。
イタリアの男女もそう……男を殺したら生かしてやるって言ったのに、泣きながら女が男に発したのは自分の失態に対しての詫びと男の延命を望む言葉だった。
『ごめんね……私がドジだったから』
みたいな事を言っていた気がするけど覚えていない。
覚えているのは、女だった物を炭にした私に対して向けられた憎しみの眼差しだけ……そんな馬鹿な女を庇おうしたその男は生かしてあげた。
女を失ったあの男が、この先どんな気持ちで生きるのか……興味があったから。
人の最終的に取る物なんて自分の命でしょ?
他人の命を守る事に何の意味があるの?
生かした命なんて無価値でしょ?
息をする人形と同じ……。
自分の望む物を手に入れられるのは、この世で自分だけなのに。
―*―*―*―*―
「行くよ……ユウトっ!」
(私に見せて。この世で一番大切な自分の命を賭してまで守ろうとする意志の強さを……私には無い、光の人間だけが持っている想いを!)
少女は再び黒刀を振るうと、黒炎は水滴の様に地面へと飛散し、付着した全ての黒炎は前方のユウト目掛け燃え広がり始めた。
この攻撃に対して、ユウトは回避するのでは無く前方から迫り来る黒炎を周囲の地面諸共、凍結させる事で防いだ。
(今のユウトに近づくのは危険……それなら)
『黒刃』
黒刀の刀身全てに黒炎を纏わせた少女は、ユウトに向けて刃を力強く振るった。
すると黒炎は、刀身と同じ形状を保ったまま前方のユウトに向けた斬撃が放たれた。
黒炎が身体に付着する事を避ける為に、ユウトは全身を包み込む様に障壁を創造する事によって斬撃を防いだ。
障壁の創造を確認した少女は斬撃を連続で放ち、障壁に全方位から黒炎を付着させる様に、不規則に斬撃を操作した。
数秒後には、障壁に付着した黒炎がユウトを覆い隠す程に燃え広がっていた。
「ユウト……貴方の障壁は無敵じゃない、いずれは力に屈する張りぼて」
少女の放った黒炎は、既存の黒炎と重なる度に威力を増していった。
(ユウト……貴方はこの程度じゃないでしょ?光の導き手も認めた……光の人間達の希望なんだから)
―*―*―*―*―
黒炎によって覆い包まれた障壁は、黒炎によって蝕まれ始めていた。
(この黒炎……徐々に力を増しているのか?)
時間が経つにつれて障壁は軋み、所々にはヒビが入り始めていた。
(障壁をもう一枚重ねて創り出して、周りの黒炎ごと押し広げて吹き飛ばすか?……いや、力で押し負けつつあるこの状態で、同じように障壁を創り出しても、力の上乗せが出来る技相手には通用しない)
ユウトの障壁は重ねて創造しても耐久度が強化される訳では無い。
障壁の下に障壁を創り出しても、障壁外の攻撃が耐久力を上回る場合、重ね合わせた障壁も同様に破壊されてしまう。
(それなら……もう守りに徹するのは辞めだ)
ユウトは結晶刀を消滅させると右手に結晶拳を身に着けた。
「この戦いは、俺一人としてじゃない……ユカリの意志も背負った戦いなんだっ!」
ユウトは結晶拳を創造した後に横方向に高速回転させた結晶爆弾を少し離れた場所に創造した。
そして、回転している結晶爆弾目掛けて結晶拳を加速させて殴り付けた。
ユウトが結晶爆弾を殴ると炎の核を覆っていた結晶が砕け散り、中に含まれていた爆炎はユウトの右腕にネジ巻くように纏わり付いた。
「障壁ごと……黒炎を吹き飛ばすっ!」
ユウトは結晶拳を更に加速させ、小さな爆発を繰り返している結晶拳を障壁目掛けて全力で放った。
『氷結爆撃』
ユウトの放った拳が障壁を吹き飛ばすと同時に、付着していた黒炎も周辺の地面に飛散した。
黒炎を吹き飛ばすのみに留まらず、纏わり付いた爆炎は闇のボスに向けて拳から勢い良く放たれた。
「……私の力を理解したつもりなら、それは驕りだよ?」
地面に飛散した黒炎は、再びユウトの足元まで燃え広がった。
「なっ!」
ユウトの足場全体まで燃え広がると同時に、黒炎は柱の様にユウトの身体全体を包み込み、天井を突き破る程に燃え上がった。
少女も氷結爆撃の直撃を受け、後方へと吹き飛ばされた。
爆発によって階層内には土煙が舞い、衝撃によって壁の所々には亀裂が走っていた。
「……液体の様な炎だと思ってはいたが、飛散した炎まで操作出来るとは思わなかった」
ユウトは身体を包む障壁を創造したが間に合わず、身体の節々が黒く焼け爛れていた。
全身に燃え広がる事を阻止する為に、ユウトは黒炎の付着してしまった部分を凍結させた。
(よしっ!これで身体を動かせる)
自身の身体状態を確認し終えると、少女の吹き飛ばされた方向に視線を向けた。
少女は黒炎によって防御する事は出来ないらしく、氷結爆撃の直撃を受けて後方へと吹き飛ばされ、少女の座っていた黒色の玉座は後方の壁諸共消し飛んでいた。
床に倒れていた少女は、揺めきながら立ち上がると再び身体に黒炎を纏わせ始めた。
足を震わせながら立っている少女だったが、その表情は子供のように無邪気な笑顔を浮かべながら、ユウトを見つめ続けていた。
「流石ユウト……私の身体も殆ど動かなくなった」
そう言うとゆらりと刀を両手で構えた少女は、これまで使用していた火力以上の黒炎を刀身に纏わせた。
「でも、勝つのは私……ユウトに勝ってあの女を殺さないといけないから」
少女に呼応する様に、ユウトも結晶刀を創造すると、紅蓮の炎を刀身に纏わせた。
「俺も、負けられない。導き手と同じ存在として……勝って導く……誤った日常を進んでしまったお前さえっ!」
結晶刀の刀身に纏っている炎に次いで、周囲に雪の結晶を纏い始めていた。
炎は小さな爆発を繰り返し、刀身付近で舞っていた雪の結晶は、その爆発によって砕かれると小さな宝石の様に輝いていた。
少女は自身の行動に合わせて結晶刀を構えたユウトの姿を見ると、小さな笑みを浮かべた。
(やっぱりユウトは、私が思っていた通りの存在だった。だからこそ私は……ユウトに惹かれていた)
少女の握り締める柄は黒炎によって変色し、握る両手は共に焼け爛れていた。
しかし少女は、激痛に対して表情を変える事はなく、常に同じ人物の事を考えていた。
「繋いでみせる……」
右手のみで構えられた結晶刀からは、爆発の激しくなった刀身から結晶の粒が舞っていた。
「根絶してあげる……」
黒炎が身体全体を包むと同時に、少女は燃え盛る刃を大きく振りかぶった。
「光に満ち溢れた未来をっ!」
『導きの炎氷結』
ユウトによって振われた刃から、炎によって紅蓮に染まった斬撃が放たれ、地面を切り裂きながら少女に進み続けた。
炎によって形成された斬撃は、高温を帯びていながらも周囲には雪の結晶が舞っていた。
「縋る希望さえもっ!」
『血染めの炎』
少女の放った斬撃は、ユウトよりも赤黒く染まっており、地面を切り裂くのではなく黒炎によって急速に溶解させながらユウトに向かって進んでいった。
衝突した斬撃同士は轟音と共に、周囲に熱風と衝撃波を放つと、ルクスの壁は衝撃により耐久度の限界を迎え、決壊し始めていた。
パキパキ
小さな音が繰り返されている事に気付いた少女は、自身の放った斬撃を見て驚愕した。
赤黒く染まっていた筈の斬撃が、徐々に凍結していたのだ。
(ユウトの刀身を舞っていた雪の結晶……あれの影響?)
少女は自身の最後を悟ると、斬撃の先に立つユウトに視線を向けた。
斬撃によってよく見えない少女であったが、向こう側に立つユウトも少女を見ている気がしていた。
「ユウト……私は楽しかった。またいつか、私と——」
相手に届く事のない小さな呟きを、互いの技がぶつかり合う中で少女は安らかな顔で囁いていた。
ユウトも同様に少女から放たれた斬撃ではなく、向こう側にいる筈の少女に意識を向けていた。
(最後の斬撃を放つ時、あいつの身体は既に限界だった。凍結を防ぐ為の力すら残っていない事は、状態から見ても明らかだった)
ユウトの放った斬撃は、少女の斬撃を完全に結晶化すると同時に跡形もなく砕け散り、向こう側にいた少女は紅蓮の斬撃の中へと飲み込まれていった。
その後、斬撃はルクスの壁にぶつかると同時に消失し残された雪の結晶によって階層の壁が凍結し、ユウトと闇のボスとの対決は終結した。
―*―*―*―*―
アメリカ中央拠点クレイドル
「コイツらの相手は僕がする。だから君は早く転移エリアへ向かうんだっ!」
少年は、その場に座り込む少女の身を隠しながら声を上げた。
「そんな……貴方には待っている人がいます!私はもう……好きだった人との未練を断っています……だから私が!」
少女は目に涙を浮かべながら、必死に少年に訴えた。
「僕はね……好きな人を一途に想う女の子を犠牲に生き残ろうとする様な男にはなりたくないんだ。君には未来がきっとある……この状況を伝えるまでは、二人とも死ぬ訳にはいかないっ!」
少年は視線を合わせる事無く、自身の胸の内を訴えた。
「…………分かりました。私が救援を呼んできます……すぐに救援を呼んで来ますから、それまで……必ず生きていて下さい」
少女が転移エリアへと駆ける姿に、少年は目を向ける事は出来なかった。
少年の視線の先には、数十人の同じ容姿の女性が浮遊していた。
(悔いは無い……いや、あるとすれば……一つだけ)
少年に向けられた無数の銃口のような物からは、眩い光を放った赤黒い雷が走っていた。
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