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ソード オブ ソード
5 レイとロキ ② ロキ
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ソードはインセットと行ってしまった。ソードの気持ちはやはり俺達じゃなかったのかと部屋に残された俺とレイさんは思ったはず。そして、お互い悔しい思いと情けなさも感じていたと思う。
それと期待も。
もし、治せるのがインセットだったとしたら俺達はこの先もソードを支えることができないんじゃないかって。いっそのことインセットと一緒にいた方がいいんじゃないかって考えた。
あの人はいつもソードの心にいる。そして支えになってる。俺達じゃ無理なんだろうか。助けれないのかな。
「レイさん、ソードが帰って来なかったあの時を思い出してしまいました」
「ロキもか」
「俺、あの日以来ずっと強くなりたいと思ってました。でも、またこうして自分の手から放れていくと不安でたまりません。あの時も今もソードが苦しい時に助けられない」
「ああ、俺もそう思う。大事な時はいつもあいつが助けにくる」
「このまま、ソードを…」
「……返すと言ったから返すさ。あいつは約束は破らない。ただ、ソードが帰りたくないと言えば別だが」
「ソードが…」
昔、領土戦を止めるべく情報を探して魔の森まで行ったはいいが第4深層で救援信号を見つけソードは一人で助けに行った。俺の力が足りないばかりにレイさんと共にソードを残して下山した。
数日間帰って来なくて生きているか死んでいるかもわからず不安な思いをして過ごした。魔の森で死にそうになったソードは伝術士に助けられ無事だったけどその時にインセットがソードを欲しいと言った。
そして、ソードはそれ以来その伝術士と度々顔を合わせていた。嫌な人とはソードは会わない。だから嫌いじゃないんだと思った。いつからか彼を受け入れるようになり信頼するようになっていった。
俺達以上に好きな人ができてしまったら……考えたくないけどあり得る。悔しい、ソードを好きでいさせるって言ったのにそれが出来ない自分が悔しい。ソードはなんであんなにインセットを必要としていたんだろう。俺やレイさんじゃ足りないものがあったのかな。
もし、ソードが治ったとしてインセットといたいと言ったら俺は…俺は…
肩を叩かれた。
「レイさん」
「深く考えるのはよそう。今は治る事を祈るしかない」
「はい」
絶え間無く頭の中で囁かれるソードの別れるという声。俺は不安を拭いたい一心で一段と稽古と仕事に励んだ。
「先生~」
俺はアビサルで孤児に授業や剣術を教えている。シルバ君に頼んで子供達を教えたいと言って冒険者と半々で施設に通っていた。親のいない彼らの気持ちは良くわかる。誰かを独占したいしされたい、一番になりたい。
「はぁ…」
「どうしたんですか?」
「ああ、何でもない。次はここね」
駄目だ、集中力が無くなる。
子供達には関係ないんだからしっかりしないと。
「ただいま~」
「おかえり」
家に帰るとレイさんがいた。カウロックの研究施設にいるはずだけど。
「今日はお休みですか?」
「いや、全然集中できないから暫く家でするって帰ってきた」
「わかります。俺も気がつくと考えて思わずため息が出てしまいました」
レイさんも同じだった。
家でいつも見てるソードがいない。
話さないソードだったけどそれでも姿が見れるのと見れないのじゃ全然違う。あの時、医者から剣を握れなくなると言われてレイさんは必死で薬を探していた。勿論俺もいろいろな精神分析の本を見たが本人の核がわからず何もできなかった。ソードが剣を握れないなら大好きな冒険者ができない。どうかソードから好きなものが消えてしまわないでと思った。
そして、長い日々が始まった。
それと期待も。
もし、治せるのがインセットだったとしたら俺達はこの先もソードを支えることができないんじゃないかって。いっそのことインセットと一緒にいた方がいいんじゃないかって考えた。
あの人はいつもソードの心にいる。そして支えになってる。俺達じゃ無理なんだろうか。助けれないのかな。
「レイさん、ソードが帰って来なかったあの時を思い出してしまいました」
「ロキもか」
「俺、あの日以来ずっと強くなりたいと思ってました。でも、またこうして自分の手から放れていくと不安でたまりません。あの時も今もソードが苦しい時に助けられない」
「ああ、俺もそう思う。大事な時はいつもあいつが助けにくる」
「このまま、ソードを…」
「……返すと言ったから返すさ。あいつは約束は破らない。ただ、ソードが帰りたくないと言えば別だが」
「ソードが…」
昔、領土戦を止めるべく情報を探して魔の森まで行ったはいいが第4深層で救援信号を見つけソードは一人で助けに行った。俺の力が足りないばかりにレイさんと共にソードを残して下山した。
数日間帰って来なくて生きているか死んでいるかもわからず不安な思いをして過ごした。魔の森で死にそうになったソードは伝術士に助けられ無事だったけどその時にインセットがソードを欲しいと言った。
そして、ソードはそれ以来その伝術士と度々顔を合わせていた。嫌な人とはソードは会わない。だから嫌いじゃないんだと思った。いつからか彼を受け入れるようになり信頼するようになっていった。
俺達以上に好きな人ができてしまったら……考えたくないけどあり得る。悔しい、ソードを好きでいさせるって言ったのにそれが出来ない自分が悔しい。ソードはなんであんなにインセットを必要としていたんだろう。俺やレイさんじゃ足りないものがあったのかな。
もし、ソードが治ったとしてインセットといたいと言ったら俺は…俺は…
肩を叩かれた。
「レイさん」
「深く考えるのはよそう。今は治る事を祈るしかない」
「はい」
絶え間無く頭の中で囁かれるソードの別れるという声。俺は不安を拭いたい一心で一段と稽古と仕事に励んだ。
「先生~」
俺はアビサルで孤児に授業や剣術を教えている。シルバ君に頼んで子供達を教えたいと言って冒険者と半々で施設に通っていた。親のいない彼らの気持ちは良くわかる。誰かを独占したいしされたい、一番になりたい。
「はぁ…」
「どうしたんですか?」
「ああ、何でもない。次はここね」
駄目だ、集中力が無くなる。
子供達には関係ないんだからしっかりしないと。
「ただいま~」
「おかえり」
家に帰るとレイさんがいた。カウロックの研究施設にいるはずだけど。
「今日はお休みですか?」
「いや、全然集中できないから暫く家でするって帰ってきた」
「わかります。俺も気がつくと考えて思わずため息が出てしまいました」
レイさんも同じだった。
家でいつも見てるソードがいない。
話さないソードだったけどそれでも姿が見れるのと見れないのじゃ全然違う。あの時、医者から剣を握れなくなると言われてレイさんは必死で薬を探していた。勿論俺もいろいろな精神分析の本を見たが本人の核がわからず何もできなかった。ソードが剣を握れないなら大好きな冒険者ができない。どうかソードから好きなものが消えてしまわないでと思った。
そして、長い日々が始まった。
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