夜の目も寝ず見える景色は

かぷか

文字の大きさ
上 下
43 / 66
ソード オブ ソード

3 発症

しおりを挟む

 寝返りうてない。

「んん……せま、い」

 俺が起きると二人が俺に張り付いていた。

 昨日、討伐に行って偶然ブレイクと会った。時間があるからと言って話しをしたんだよな。久しぶりのブレイクは変わらず不思議な雰囲気だったけどいつもと少し違った。

珍しく長く居てくれて話を聞かせてくれた。内容はブレイクの昔の話しだった。面白くて時間を忘れ聞き入っていたがどうやら途中で寝たらしい。
 
なのに家のベッドにる。しかも微妙な姿。

「なぁ、俺なんでここにいるんだ?」

「ソード!ここ嫌?」

「は?」

 何、言ってんだロキは。

「うわ!キスすんなよ」

「キス嫌?」

 やけに甘えて抱きつくロキを見て手を外そうとしたら強く抱きなおされた。そんな様子を見ていたレイが説明をした。

「早朝、窓を開けたらソードが外のデッキで寝てたんだよ。それを俺が見つけて中に入れた」

 ああ、やっぱり寝ちゃったからブレイクが家まで届けてくれたのか。よく俺の家がわかったな。

「そっか、レイありがとう」

「インセットと居たのか?」

「ああ、良くわかったな。偶然森で会って少し話そうってなって話し聞いてたらいつの間にか寝ちゃってた。今度会ったら届けてくれたお礼言わないとな」

「「……。」」

 何だよ無言になって。

「約束はしてないからいつになるかわかんないけど」

「ソード、暫く時間とるから」
「俺も、三人でいられるようちゃんととる」

「急にどうした?無理しなくていいよ。お前ら忙しいだろ」

「「……。」」

 最近二人とも忙しそうだし普段はだいたいどちらかいるしわざわざ時間とらなくてもいい気がする。
 そーいや、ブレイクが何か質問してたような~何だったんだろう。また、会った時に何の話しか聞いてみようかな。

 考え事をしているソードに二人は焦った。 

「ソードより大事な事なんてないからな!」
「俺もソードの事しか考えてない!」

「いや、そんな事ないだろ」

「「ないから!」」

 どうしたんださっきからこいつらは
 ロキは離れないしレイは怒りぎみだし

 そんなに会うの駄目だったかな…
 そうか……確かに嫌か…
 ブレイクに会わなければ二人は幸せで
 
 二人の嫌がる事はしたくなくて…

 昔から俺ら三人一緒だったから…

 三人……俺は二人と結婚して……冒険者続けて…
 
 あれ、なんで俺は冒険者してるんだ?誰の為? 

 レイとロキ。

 二人は別に俺と一緒にいなくてももう強くて…
 自分達で仕事も好きな事も見つけてて……
 
 なんだ、頭と心のモヤが大きくなる
 駄目だ…よくわからない

 何でこいつらといるんだ?好きだからだよな
 何のために?幸せだからだよな
 誰の為に?レイとロキだよな

 俺は誰かの為に何かをしてきたような

 確か…俺には…………………仲間がいて……

 思い出すな…それは…思い出すな
 苦しくなるから…
 この間、箱に上手くしまったはずだ

 駄目だ…思い出すな…

 俺の欲しいものはもう…ない

 ………もうこの世にはいない

 胸が苦しい………………はぁ、はぁ、はぁ… 

「おい、ソード!大丈夫か!?」

「ソード、どうしたの!?」

 二人の声が遠くなる…耳鳴りが…止まらない

 ガクンと落ちるとソードはゆっくり目を開けた。
 そして一言。

「なぁ、俺達って何?」


「「………………。」」


 そして俺はその日から何もわからなくなった。
 
しおりを挟む

処理中です...