社会人が異世界人を拾いました

かぷか

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松編 ③

7 松の世界にお邪魔します ⑦ 

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「帰った」

「はぁ、はぁ、うぅ…とら様…」

 何とかバレずに済んだソルトは濡れた場所をタオルで拭き取り息を整えた。

「どうせ龍空に騙されて入れたんだろ」

「すみません」

「それより本当にキスしてないだろうな」

「はぃ、そこは死守しました」

「何でああなった」

 ソルトは事の経緯を全て松に話すと松はため息をついた。そしてソルトにキスの挨拶はあるが基本的には好きな人にしかしないことを伝え龍空の挨拶は遊びのキスだからせがまれてもするなと教えた。

「全くあいつは誰彼構わず」

「あの…とら様。りく様が仰られてたんですがとら様の初めての口づけはりく様だと聞きました」

 そんな事まで話したのかと思い呆れたがソルトがキスの位置付けに困惑しかねないと思い正直に話した。

「10年ぐらい前にした」

「それは…」

「兄弟でキスはしない。結婚もない。俺は龍空を弟以上に見れない、ただそれだけ」

「ですが、りく様はもしやとら様が好きなでは。だから気に掛けてもらいたいのでは」

「だとしても、どうにもならない。昔の事だし話は済んでる。んで、あいつと付き合うの?」

 一方的に話を終わらされ少し気がかりになったソルトだが今はそっとしとく事にした。

「いえ。とら様以外ないです」

「なら、俺の機嫌治せよ」

「直ちに」

「言っとくけど、相当機嫌悪いからな」

「はぃ、とら様の気の済むまで」

……………………

 次の日

 肌艶の良いソルトは掃除に勉強、トレーニングをこなしていた。

 昨日、とら様の機嫌を損ねてしまいましたからいつもよりご奉仕が長かったです。とら様にとっては罰なのかもしれませんが私にとってはご奉仕はご褒美です。高ぶる気持ちを抑えるのにいつも負けそうになります。んーという事はやはりこれは罰なのかもしれません。

 昨日のとら様も可愛かったです。今日も仕事がありましたので無理はできませんでした。とら様をもう少し気持ち良くさせたかったですが私の技術不足です、反省。週末にとら様のご機嫌をとりつつしっかりと気持ち良くさせたいです。早く、週末にならないですかね。

 トレーニングを終え一汗かいたソルトはシャワーを浴びに行った。下着を穿いて髪を拭きながら出てきたソルト。

「さっぱり」

「それは良かった」

 自分しかいるはずもない部屋に返事が返ってきた。

「っい!りくさん!!?」

「ハローそうた~」

 明るく手を振り龍空がご機嫌に座っていた。今までで一番かもしれないと思うほど驚いた心臓を押さえながらソルトは問いた。

「な、なぜいるんですか?」

「これ」

 龍空はポケットから鍵を取り出しソルトに見せた。それは紛れもなく松のアパートの鍵だった。

「その鍵はどうされたんですか?」

「虎のじゃないよ。昨日さ、帰るつもりだったんだけどやっぱりそうたと遊びたくなって。写真撮ってスペアキー速攻で作ってもらった~!タオルとりにいったじゃん、あの時に拝借したんだけど虎にバレないかヒヤヒヤしてた。あ、でも弟だし虎も許してくれるはず」

 ソルトはここへ来て松の言っていた事が甦る。あいつは悪魔みたいな奴だと。

「あ、あの、とらが怒りますから今なら鍵を置いて帰ればきっと許して貰えます」

「やだよ、せっかく入れたのに。それにそうたがいたから来たんだよ。何してたの?」

 帰らない龍空にソルトは嫌な焦りがでていた。昨日は押し倒され危うくキスをされそうになって、その現場を松に見られ人前で自慰をするという恥ずかしい行為をさせられたのだ。もしまた龍空と何かあれば松は許してくれない。ましてや今は100%松は帰宅しない時間帯。

 隠れて会ったとなれば……

「あ、あの、とらが…怒りますから」

 それしか言えないソルトに龍空が責める。

「もーまた押し倒されたいの?そうた今、下着一枚なのわかってんの?」

 ハッとなり服をと思ったが龍空の近くに。龍空はソルトの目線に気がつき畳んである服を手に取りニヤリと笑う。

「これ、いるでしょ」

「はぃ、下さい」

「なら、俺と遊ぼ」

 遊びとは何でしょう?

 ナグマだと文字遊びとかですが他は、ここだと雪投げもできませんし。

「大丈夫、キスとかって言わないから。そういうんじゃないから」

「…………わかりました。何をして遊びますか?」

「じゃあ~服の、数だけお願い聞いて。二枚しかないけど」

「わかりました」

 ソルトはどんなお願いが来るのか戦々恐々だった。

「じゃあ、まず俺の話しは聞いて」

内容にホッとする。

「わかりました」

といい手渡された服を受け取り着る。

「次はう~ん、遊びに行こ。暇だし」

 思っていたほどのお願いではなく胸を撫で下ろすがその願いは叶えたくともできなかったのだ。

「あの…」

「駄目なら渡さない」

「いえ…そうではないです。私はいろいろ制限がありまして。まず、お金を持ち合わせていません」

「え!?」

「規定で渡されてないんです。ですから、こちらでは売買に関する全てが禁止されています。どこへ行くにもお金がかかるようなので基本どこにも行けないです。あと、けいたいを持っていませんので万が一迷子になりますと戻れません」

「マジか、超厳しいじゃん。特殊部隊かなんか?仕事内容も話せない感じ?そりゃ、いろいろ質問されたら困るよな」

 ソルトは?を浮かばせたが上手く納得しているようなのでほっといた。

「あと、これは私事で恐縮ですが人酔いが酷いので密集の少ない場所でないとご迷惑をかけてしまいます」

 龍空は少し悩んでから答えを出した。

「大丈夫。俺がちゃんとついてるから。じゃあ、この辺は全然知らない?」

「はぃ。ですが先日イカ公園と神社には行きました」

「へ~縁結びで有名だよね」

「?」

「知らないの?まぁいいや。他にもいろいろあるから行こうよ。虎が帰って来る前に帰るからさ」

「しかし、一人で外出しては行けないととらと約束をしています。出るわけには行きません。とらとの約束は破りたくないです」

「もぅ、じゃあ虎に聞けばいいんでしょ」

 龍空は携帯を取り出しソルトに松の電話番号を見せた。携帯で連絡がとれる事を知っていたソルトはそれを信用するが龍空がしたのは掛けたフリだった。

「あ、虎?仕事中にごめん~そうた、外に行ってみたいから連れて言っていい?うん、うん、そうたが開けてくれた。いいじゃん、すぐ戻るから。本当に!!ありがとう!!じゃ、またね」

「虎、良いって!」

「わかりました」

「じゃ、決まり~!」

 バタン!
 

 ソルトはそれを信じきってしまった。そして着替えを渡され不安な中、龍空と部屋をでてしまったのだった。
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