社会人が異世界人を拾いました

かぷか

文字の大きさ
148 / 148
二つの領土

8 ジーバル訪問 ②

しおりを挟む
 さてと、俺の部屋も紹介したし本来なら今からジェラードと挨拶なんだがやまとを独り占めできるときなんて滅多にないからな。今からお楽しみだな。っと思っていたらドアのノック無しに俺の部屋の扉が開いた。

「ソルベ!」

「お、ライムきたか」

 お披露目の式に参加なのは知っていたが今日来るとは思わなかった。

「早いな」

「ああ、ジェラードがお前の側近って聞いたからやまとの訪問に会わせて来た」

「そっか、今フィグルと話してる。側近の候補選びの話をしてたら俺の側近するってきかなくて。お前も挨拶してく?」

「そのつもり」

「じゃあさ、折角フィグルがいないから今行かないか?」

「いいね」

「あいつがいればジェラードも安心だし俺達も自由に行動できる。どうせ、今日は一日やまと達に公務なんてさせる予定ない」

「じゃあ、行くか」

 やまとは?を浮かべていたが今からうちの名物を見せに行く。ライムだってやまとと話がしたいはずだしな、普段は俺とジェラードの貸しきりだが今日はやまととだ。楽しみすぎる。

「お前の側近は一人?」

「ああ、式にはちゃんと皆来る。これだけ厳重なんだ十分だろ。ちなみに、この側近はうちの領土に来た時のやまとの側近だよ。顔合わせできればと思って連れてきた」

「へ~」

「ちょっと癖があるけど仕事はしっかりできるやつだからやまとよろしくな。名前はセルツァだ」

「おぉ~初めての側近が二人も召喚されるなんてありがたいです!よろしくお願いしますセルツァさん」

「初めましてやまと王妃。セルツァと申します。簡略訪問のため正式な挨拶は次回改めてさせていただきます」

 ライムのところの側近はてっきりカリンかと思ったが単独セルツァとは意外だったな。まぁ、誰がついてもおかしくないか。

「やまと、ライムも来たし一緒に魔石泉いかないか?」

「魔石泉?」

「「魔石泉」」

「温泉?」

「「温泉」」

「行きます!」

 やまとのよくわからないものに即答するのはちょっと危ない気がするがおそらく想像しているものと同じではないかと思う。

 魔石泉、うちの領土唯一の産物。これを鉱山でとれた魔石と合わせると魔石泉になる。要は大きなお風呂だ。

「すごーい!!でかーい!!綺麗!!なにあれ、噴水に光魔物の水槽がある!!」

 やまとはものすごく喜んでいた。うちの産物を説明するとやっぱりおんせんだと言っていたから何となく似たのがあるってことだな。

 やまとは魔法が使えないからどこまで使えないのかと聞いてみると全部だった。フィグルがお世話係に勝手でるのもわからなくないがあいつが全部一人で見てるのは感心した。

「やまとーわかるか?」

「はいー!今行きます!」

 俺とライムが入り口で待っているとやまとは素っ裸で出てきた。

「「腰巻きー!!」」 

 ライムと同時に叫んだ。なんで、腰巻き用意したのにしてこないんだよ。まったく、俺らだったからいいものの他の奴らなら倒れてたな。面倒見のよいライムがやまとのお湯を出していた。

「やまと大丈夫?」

「はい、大丈夫です。お湯が出せない以外は全部自分でできます!すみませんが終わったら止めてください」

「了解」

 本当に異世界人なんだな

 見た目とか細くてちっこいぐらいだけど。やまとに聞いたらこれぐらいの体格は別に珍しくないっていってた、けどやっぱりちょっと細いよな。

 先に湯に浸かっていた俺はやまとを呼んだ。するとやまとは失礼しますと言って折角していた腰巻きをまたもやとった。

「「腰巻きー!!」」

「へ?」

 どうやらあっちの世界では取るらしいがこっちではそんなことしたら大惨事だ。ちょっとフィグルの苦労がわかった気がする。腰巻きをしてお湯につかってもらうとやまとは気持ち良さそうに湯に浮かんだ。

「ほんと、やまとってどうなってんの?」

「変ですか?」

「いや、変じゃないよ。何か異世界人だけどそうじゃないみたいな、でも異世界人だなって。うまく説明できないけど」

「なぁ、異世界のこと少し教えて。どーせフィグルから言うなって言われてるだろうけど聞きたい!」

「いいですよー」

 どうやって行き来するかは許可がないと話せないと言って一番重要なことは教えてもらえなかったけど、あっちにはナグマみたいな魔物もいなければ基本的には仕事をして生活していたらしい。男女比率も半々ぐらいで魔石では子供はできないらしい。

「俺らあっち行ったら大変なことになりそうだな」
「行ってみたいけど、生活できる自身ないな。あいつと出会ってどう?」

「毎日楽しいです」

 やまとのそんな嬉しそうな顔がみれて良かった。するとコンコンと扉を叩く音がした。プライベートな時間に何事だよと思ったらロシェが慌てた様子でこちらに話しかけてきた。

「ソルベ様、入浴中に大変失礼致します。東の山奥に黒い大きな影が見えるとの報告がありました。魔物の可能性がある様子」

「わかった、すぐ行く」

「それが…」

「なんだ」

「フィグル王が一人向かわれまして。止めたのですが自分が確認した方が早いと言って…既に向かわれております…」

「おい!行かせたのか!」
「ソルベ俺も行ってくる」

「申し訳ございません。その…フィグル王から伝言で『お前らは来るな、それよりもやまとを頼む』とのことです」

「「はぁ~」」

「わかった。念のため偵察部隊に後を追わせろ。フィグルが帰宅したら教えてくれ」

「了解いたしました」

「またフィグルに仮ができたな」

「だな」

「フィグが何かしたんですか?」

 二人はやまとの顔を見て少し懐かしいような表情をした。それはなんだか嬉しそうな顔にも見えた。ソルベは座り直して三人がどうやって出会ったか話してくれた。
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

花雨
2021.08.10 花雨

全てお気に入り登録しときますね♪

2021.08.11 かぷか

登録ありがとうございます☆励みになります!嬉しいです!

クスッとでも笑ってもらえたら幸いです!!

こんな夜更けに、道カフカでした。

解除

あなたにおすすめの小説

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話

あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ハンター ライト(17) ???? アル(20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後半のキャラ崩壊は許してください;;

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。