社会人が異世界人を拾いました

かぷか

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松編 ①

松 6

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 よくわからない自分への異様な好意にうんざりした松はソルトを蹴飛ばし走って部屋に逃げた。

次の日の朝

 ノックをされ返事をすると護衛が中に入ってきた。やまとは準備の為に既に会場入りしクラムもそれに付いていったと伝えられた。

「松君様、朝の食事を取られましたら着替えて頂き儀式一の部屋へご案内します。あと、これをやまと様から預かっております」

「ありがとうございます」

 護衛から携帯を渡されたので写真を撮って良いことがわかった。

 迎えに来た護衛と儀式一の部屋へ行く。一人だけ一緒に部屋に入ってきた。椅子に座るように案内されると毛布を渡された。


 毛布?

 ライムさんとソルベさんの席と近い。二人は手を振ってくれた。二人とも一段と今日は格好いいな。

 周りは親族には見えないけど親しい人達なんだろうと見ていた。

 レッドカーペットならぬブルーカーペットの先に祭壇が。

 あそこで誓いをするのかな?

 周りの明かりがキラキラと光る。まるで宝石の中に紛れ込んだのかと思うほど綺麗だった。するとドアが開きフィグさんが入ってきた。シックなのにスタイリッシュで格好いい、間違いなく強そうだ。本当にゲームにでてくるクールな人気キャラのよう。

なのに…なんだろう。

モコモコ動くものを抱えている。
 
ブルーのリボンをしたテディベア?


………………
  
………………………河口君だ


パシャり、パシャり。


祭壇にちょこんと置かれた。


パシャりパシャり。

下を向いてもぞもぞしている。
フィグさんが何かいい終わると祭壇奥の扉がズズズと開いた。

さぶ!!

毛布!!

 吹雪が目の前に現れ一気に部屋が寒くなる。頭から毛布を被り河口君を見るとフィグさんに抱えられ吹雪の中にある階段を登っていく。光輝く冬の太陽みたいなのを掴んだ様子。戻ってくると胸のポケットが膨らんでいた。あれが魔石かな?


寒そうな河口君

パシャり

 モコモコ河口君が俺に気が付き手を振ってくれた。肉球まで作ってある。

パシャり。

拍手され部屋を出る二人。
儀式二の為にしばし休憩だそうです。

「「松君さん、どうだった!?」」

「あの衣装はお二人が?」

「「儀式全部~」」

「モコモコして可愛いかったです」

「でしょ~魔物をモチーフに作ったんだけどやはりやまとに似合う」

「あんな可愛い魔物いるなら飼いたいですね」

「実物はもう少し大きいよ」
「だな、あとリボンはしてない」

でしょうね。

「こっそり儀式二の衣装見に行こう」

「え、いいんですか?」

「「いいよ」」

そう言いどこかのドアを開けると河口君がいた。

「ま、松君!?」

「河口君~さっきのモコモコ可愛かったよ。テディベアみたいだった」

「あ、ありがとうございます」

ライムさんとソルベさんが次の衣装を着せようとしていた。

「ささ、脱いで脱いで~」
「俺らが着替えさせてあげる」

「だだだだ、大丈夫です!!自分で着ますから!!」

めちゃくちゃ焦ってる。

ワイワイしていると後ろから黒い悪魔が出てきた。

「フィグさん」

二人はビクッ!っとして一目散に逃げていった。
さっきより少し薄着に身を包んだフィグさんは何を着ても様になる。

「やまと」

「フィグ、す、すぐ着替える」

と言うと松君は素っ裸になりさっき二人が持っていた服を着たが……スケスケ。

何このエロい衣装。

しかも、がっつり全身にキスマーク。
そら、見られたくないよな。パシャり。

俺の携帯を見たフィグさん。

「松君さん、それは?」

「携帯の機能で写真が撮れるやつだよ」

「前に聞いた事がある」

「松君にせっかくだから撮ってもらおうと思って渡した」

「そうか」

「動画も撮れるよ」

 ボタンを押し河口君の携帯をフィグさんに渡した。カメラの場所を教えて持ってればいいよと話したら儀式二を撮ってきてくれると言った。

俺は河口君のエロい後ろ姿を見送りながら席へと戻った。

「「服見た?」」

「どんな服を用意したんですか!」

「本当なら一糸纏わずなんだけどあいつが却下したからギリギリの所を攻めた」

「どうだった?」

「まぁ……良かったです」

「「だよね!」」

この二人も凄いな…

 儀式二の扉は開くが二人の姿は無かった。そして30分ぐらいしたら扉が閉まり成功したと案内があった。途中、クラムさんが「王!!!」と声をかけた以外変化は無かった。後でどんなのか動画見せてもらお。

次が最後の儀式。
最後は全く聞いてないからどんなだろ?

儀式三の部屋に行くと既に大勢の人が待ち構えていた。俺は祭壇の右側でよく見える場所だった。
クラムさんもすぐ隣に座る。

「松君さん、いよいよ最後です。皆が待ちに待った儀式の最大の見処です!」

「はい」

何だか俺も緊張してきた。

はずなんだけど…

「何でこいつが隣にいるんですか?」

「ここなら式を妨害してもすぐ我々が止めれますから」

そう、俺の隣にはソルトがいる。

「松君様…」

「呼ぶな」

「素敵…」

「はぁ~」

「この革綱を松君さんに渡しておきます。何かしようとしたら引っ張って下さい」

「わかりました」

 そうこうしている間に二人が入場してきた。一斉に立ち上がり拍手と歓声が沸き起こる。キラキラとしたものが上からふり注いだ。凄く綺麗だけどそれよりも河口君の歩いてくる姿が一番綺麗だった。

ゆっくり二人の王に手を握られながら進む。

 本当ならソルトがあの姿だったのかなと思わず考えてしまった。悔しい思いと哀しい思いをしているのではと思い隣を見る。

……目が合った。

「おい、何みてんだよ」

「お二人が素敵だなと思いまして」

「俺見てただろ?」

「気のせいです」

 二人を見なおすがソルトの視線はずっと俺から外れなかった。仕方ない…

「儀式の時だけな」

「はい、松君様…ありがとうございます」

「どさくさに紛れて手を触るな!」

ギュ!!

「あぁっ!申し訳ございません!」

 何度か儀式の最中に触られ革綱を引っ張るとこの度に嬉しそうに謝るソルトの声がした。
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