社会人が異世界人を拾いました

かぷか

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異世界人てやつは 

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 河口君を呼んだ方へ向くとデカイ男が立っていた。そうだ、前回迎えに来た男だった。思わず俺は睨んでしまった。

「フィグ?」

「やまと…話がしたい」

河口君を悲しませていたのはこいつのせいだと知っている。

「何でここに?」

「この公園にいればいつか会えると思った」

「河口君、行こう」

「あ、でも」

「河口君が悲しんでたのこの人のせいでしょ!」

手を引っ張り連れていこうとした。

ぐぅ~~!


お腹が鳴った。

「フィグ、お腹へってる?」

「……。」

「ちょっと待ってて!」

河口君は荷物を置いて出掛けてしまった。気まずい。実に、気まずすぎる。

「やまとの知り合いなのか?」

「あ…うん。働いていた時の同僚です」

「そうか、今は貴殿の住まいにいるのか?」

貴殿…。

「はい、頼る人がいなくて僕の所に来たんです。仕事終わるまで外でずっと待ってました」

「そうか、すまなかった」

「それは、河口君に言って下さい」

「そうだな…」

「俺、河口君がいいならずっと居てもらっても構わないと思ってます!」

「それは……」

「おまたせ~」といって走ってきた河口君は何かを手に持っていた。醤油…。

そして「こっちでやろ~」と言いイカ公園の中のベンチに座る。買い出しの時に何か大きな物を買ってたがこれか。

「七輪…」

「モチ焼こうと思って」

それをうちのベランダでやろうとしてたのか。

「コンビニでさ、醤油買ってきた。味無いとやでしょ? 」

「まぁね…」

お腹へってる人にお餅は時間がかかるし、コンビニ行ったらそこでパンでも買ってきたらいいのは突っ込まない。いや、プリン買ってきてた!

そして、異世界人がプリン食べてる!

シュール!

イカ公園の隅のベンチで七輪を囲み餅が焼けるのを待つ。

「フィグ、よく見つけれたね」

「やまとならすぐわかる」

「へー目いいね」

違うと思う。

「松君、これが言ってた異世界人のフィグ。フィグ、彼が松君って言うんだけど辞めた会社でずっとお世話になってた。今回も部屋に泊めてくれたんだよね」

「そうか」

二人は初対面だからいきなり紹介だと人見知りもあるか。松君の性格でも教えるか。

「フィグ、松君優しくていい人だよ」

「やまとが好きだ」

「え!何、どーしたフィグ急に!」

「帰ってきて欲しい」

「へ?」

「やまとに好きと言ってもらえなくて不安になって自信がなくなった。それで、けいたいを見てたから帰りたいのかと思って。もし、やまとが俺を一時の感情で好きなら、帰りたくなるのも当たり前だから。帰りたいなら帰っていいと言ったが取り消したい。ナグマに帰ってきてくれ」

「ちょちょ、何の話?」

「やまとが帰った話」

「そうだけど、適当に遊んだら帰るつもりだったけど」

「嫌になった訳じゃないのか?」

「なんで?」

「………。」

「それより、フィグこそ相談や悩みがあるなら一人で抱えないで教えて欲しいな。俺、一応妃なんだし」

「あぁ…まだ、そう思ってくれるなら」

「違うの?」

「あ…いや、そうだ」

「悩み事解決したから来たんじゃなくて?」

さっきから二人の会話が噛み合ってない。河口君がこっちに来たのは遊びに感覚だったのかな?でも、フィグさんは凄く真剣なんだけど。俺も家出かと思ったけど違うのかな。

「あの~フィグさんは何でここに?」

「城を出ていったやまとを取り戻しに」


「え!遊びに来ただけだけど。フィグが帰ってていいよって言ったから。手紙も置いたよ?」

「そうだが…何も知らされず行ってしまった。やまとが書き置きしたのは、しばらく実家へ帰らせてもらうと。あと横に絵が」

「半チャーハンとラーメンの絵。食べたくて書いた」

その書き置きは家出だと誰もが思うよ河口君。


「やまとが一度もナグマで好きと言わないから嫌なんだと思ってた。もしそうなら、元の世界に帰すべきだなと思って…帰りたいなら帰っていいと言った。だが、やはり嫌だ。離れたくない」

あれ?フィグに大好きって言った後…俺ナグマ来て1回も言ってない?うーん、言ったような言ってないような。

「好きって言ってない?」

「1度も」

「……。」


「フィグ、好き」

フィグは突然抱き締めた。

ぐぅ…苦しい。


どうやら、お互い勘違いしてみたいだ。
良かった~もう、優しい河口君いじめたら許さないんだからな。

「何だか誤解がとけて良かったね」

「うん。フィグ、俺ナグマ嫌いじゃないし帰りたかった訳じゃないよ」

「だが、けいたいを見てた」

「あぁ~いつもならフィグと一緒だけど暇だったから見てただけ」

「そうか…良かった。やまと、すまなかった」

「うん」

餅が膨らみ食べ頃だ。

「はい、フィグ。熱いから気をつけて!お餅だよ」

「ありがとう」

「松君もどーぞ!」

「ありがと~」

モグモグ。モグモグ。

「フィグ、食べれる?」

「何とか…いつ呑み込めばいい」

「モグモグした後」

「わかった」

「河口君、河口君が良ければたまに遊びに来てよ」

「松君ありがとう!」

「松君さん、ありがたい。その時はやまとを頼む」

松君さん…。

「うん!」

「いつの間にか年があけたね」

「明けましておめでとう、今年もよろしくね!」

「明けましておめでとう!河口君にフィグさん」

「明けましておめでとう?やまと、松君さん」

何だ~やっぱり幸せでよかった。こうして、河口君はまた異世界へと帰って行った。

「ねぇ、そういやフィグのため息は解決した?」

「した」

「良かった」

「やまとが全て解決した」

「え!いつ」

「さっき」

お餅かな?それともあのおみくじのおかげか?
はたまたイカ男君のおかげ?
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