白昼夢の中で

丹葉 菟ニ

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夏雨

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本物の息子の生存の発表の有無は取り敢えず保留にしてもらった。

そのまま帰ろうとしたお兄ちゃん達を引き止めて一緒に夕飯を食べて少しして帰って行った。見送りに出てそのまま俺は晃さんの部屋に引っ張られてきた。

本棚にはビッシリと詰め込まれてる本を眺める。一応は纏められて並べられてるが 多種多様にある。趣味なのか車や時計の本から六法全書に日本法の実務や論文、経済学、株、医療学に薬学、英語なら対象のスペルは読めるけどコレはフランス語なのかもと思われる物から何語だと思うものもある。

「晃さんて何ヶ国語喋れるの?」

「日常会話なら8カ国だな。どうした 興味があるものでも見つけたか」

「へー、晃さんってやっぱり凄いね」

「運命の番に出会った時に問題無く喋れたらと思って覚えただけだ。同じ母国語で喋れて感謝してる」

疑問に思う所では有るけど晃さんが言うならその通りなんだろうなと素直に凄いと思う事にした。後ろから抱きしめて来た晃さんに甘えるように擦り寄るとそのまま抱き上げてベッドに運ばれた。

「あと少しで二人っきりの新婚生活に戻れる。楽しみだな」

やっぱりまだ籍にも入って無いのに新婚生活とか言われても俺にはイマイチ ピンと来ない。晃さんはαとΩの関係は入籍よりも番関係が重要なんだと教えて貰ったけどやっぱりちゃんと入籍してからが新婚だと俺は思うのは、β寄りの考えが方なんだろうな。

「なにが気になるんだ?」

「どうしたら世間から注目されずに忘れてくれるかなって」

思ってる事とは違う事がスルスルと口から零れ落ちる、それも今日話してた現実的な話し。籍にもまだ入ってないから新婚じゃ無いと言いたくないと咄嗟に思った。頭では新婚じゃないと思ってても、新婚とか奥さんって言われるの嫌いじゃない、それに二人っきりって言葉に擽ったい気持ちになると心が訴える。

「難しい問題だな。事件が思っていたよりも でかくなって 大物政治家の逮捕になったしな。予期せぬ出来事の連続でマスコミも報道合戦に乗り出して、いち早く最新情報を手に入れようと躍起になってる。祠堂 浅嗣の情報も手に入れようと記者が探したけど見つからないから、もしかして 殺されてると思ってる記者も居る。その確証を得ようと記者が必死になってる者や幼少時の情報量が少な過ぎて、浅嗣は作り上げた人物だとかの憶測も出初めた。こんな時に嘘を付いてしまうと後に厄介事にしかならない。憶測のままに関わりたくないと沈黙をするか、未成年だからと生きてる事だけを伝えてひっそりと隠れるかどちらかしか因縁も根因も残さずに済むと俺は思う」

なんか 面倒臭いなと思うのは俺だけだろうな。それに どこの誰に因縁も根因を残さずに なるんだろうか。俺の知る限り祠堂の身内は俺を暖かく迎え入れてくれた優しい家族が揃ってる須賀家だけ。

「ごめん、俺本当に なにも知らないから よくわかってないけど、親戚とか従兄弟がどうかなんてまったく知らない」

手を引かれてテーブルの前に座らされた。紙とペンを用意した晃さんは真ん中に母-父の真ん中の縦の線を入れて高嗣と浅嗣と名前を書いて線を伸ばしてかいた。家系図を書いて説明してくれるんだろう。

「鈴の本当の兄弟は高嗣だ」

母と書いた横に1本の横線を書き、父と書いた横に2本の横線を間隔を空けて書いた。

「母方の兄が1人βで街の不動産屋をしてる。父方は妹で長女が1人Ωと次男のβが1人の三人兄弟だ。妹は政略結婚で薬師寺家に嫁いでるが20年は日本に帰って来てない、子供はβの息子とαの娘。弟はβで商社に勤めてる、子供はβの娘とαの息子と2人の子供が居る」

「へー、跡継ぎになりそうなαの甥っ子や姪っ子が居るじゃん」

それにしても女のΩは発情期があるだけで違和感がないと余り敬遠されないけど、男のΩは異質だと嫌われる傾向に有るくらいは俺でも知ってる。男のΩは俺だけだった。嫌悪感しかなかったんだろうな 通りで男のΩの俺は捨てられる訳だ。

「弟は結婚の時に養子に出て谷川の姓になってる。娘は美容師、息子は20歳で大学生」

「ふーんそうなんだ」

会ったことも無いから実感は湧かないままに返事だけをする。

「この大学生の子に接触して将来は浅嗣の秘書をする様にと大学の金を出てた。ついでに言えばこのαの子を浅嗣に縛る為に娘の美容学校の金も出てた」

ペンの先で指し示しながらの説明してくれた。

「金の事となると用意周到だったみたいだな、法的に通じる誓約書で交わしてるが、どう転んでも自分に都合良く書かれてる物だ。姉の美容学校と自分の大学費用の借金返済を正嗣にしていかなければならなくなった。裁判を起こしても覆るのは難しいだろうな」

「でも、親が居るなら自分の息子のためにお金準備するんじゃ」

親なら子供の為にお金準備するんじゃ無いの?

「親だからと纏まったお金を持ってる親はなかなか居ない。生活していく上で日々 金は必要だ。しかもβの親でαの子が生まれたら、αの子の成績に合わせて学業を選んで行くのが当たり前の世の中だ。そうなれば、自然と金が居ることばかりだ。βの倍は必要になってくる。それでも金を掛けるのは育った時の見返りがでかいからβの親でもαが生まれたら借金してでも必死にその子にあった学業に金をかけて育てる」

αって雲の上の存在だって思ってたけど、それなりにお金を掛けても無駄金にならないαに金をかけるんだ。下手な博打を打つよりも確実だよな。俺達が背伸びしても手が届かない一足飛びに追い抜いてるα達だけど親達も必死なんだ。

「じゃ、この人は大学に行ったお金を犯罪者になったこの人に返して行かないと行けないんだよね。・・・あれ?その前にこの人 大学卒業できるの?」

「さぁな、それはこの家の問題だ。親が無理をするかバイトと両立するか それとも両方か。世の中 そうやって行ってる人もいるからな」

厳しい言い方だけど、確かにバイトと両立してる人も居るのは確かだ。この従兄弟だけが可哀想だとは思わない。でも、俺はこの人の事を知らないしどんな事を考えてたたなんか全く知らない。思い描いてた未来と違った未来になったかも知れないこの人は どう思うのだろう。俺にはわからないし、晃さんにもわからない。だから晃さんは因縁 根因と言ったんだ。

「教えてくれてありがとう。俺には叔父さんや叔母さんに従兄弟も居たんだ。あったことは無いけど」

親戚と呼べる人がこんなにも居たんだと思うが なにも実感が湧かない。親戚でも会ったこともない人達に何かを思う心を持ち合わせてない俺は冷たいのか、それとも それが普通なのか判断に困る。全く知らない赤の他人なら"関係ありません。"の、一言で済むのに面倒だなと投げやりになる。

「薬師寺家の方から問い合わせがあった。浅嗣の行方を知りたいと。連絡だけで本物の叔母かどうかはわからなかったから応えられないと言っておいた。本当に知りたいのならその内 正式に問い合わせが来ると思う」

会ったことも無いのに用があるとも思えない。

「そうなんだ、なんだろうね」

なんと答えていいのか困る。

「本物かどうかなんてわからないから 気にしない事だ」

「そうする」

ふぅーと、息を吐きながら 思うのは俺が知らないことばかりで 頭のなかはゴチャゴチャしてる。

「疲れたか」

「うん ちょっと疲れた」

自分から晃さんの膝に乗り上がり腕を回して甘えるように首筋に顔を埋めた俺を片腕で支えてくれながらも好きにさせてくれる。

「明日は午前中 少しゆっくり出来るから遅く起きて一緒に蜂の巣箱に行くか?」

「蜂の巣箱?」

「ハニートーストの店の名前だ」

「蜂の巣箱って名前なんだ」

晃さんと一緒に行けるなら何処でもいいと、お店の名前なんて気にしてなかった。

「面白いだろ。亭主が考えるのが面倒で目の前にあった物の名前をそのまま店の名前したって話しだ」

「そうなんだ。行きたいけど 明日は園の子が結婚のお祝いにお昼を奢って貰う約束しちゃんだん」

申し訳ない気持ちで謝ったのに晃さんは満面の笑みで頭を撫でてくれる。

「そうか、結婚のお祝いか。だったら仕方ないな行って来るといい。お小遣いあるのか?」

晃さんもせい兄ちゃん奢ってもらうのは俺なのに、俺のお小遣いを気にしてどうするんだ。

「せい兄ちゃんにお小遣い持っとけって貰っちゃった」

一瞬視線が鋭くなったが直ぐに視線が柔らかくなり気の所為だったと思う。

「・・・そうか。何を奢ってもらうんだ?」

「ハンバーガー セットで頼む予定」

「そうか楽しんで来い」

「うん」








鈴を風呂に向かわせ電話を1本掛け 指示を出し自分も風呂に向かった。

そっと足音を忍ばせて風呂場に入れば、ちょうど頭をさげて髪を洗ってた鈴の指に自分の指を絡めると肩が跳ね上がる。

「俺が洗ってやるよ」

耳元で囁けば直ぐに真っ赤になり顔を上げようとする鈴に 下を向いておけと言えば素直に下を向いたまま俺に髪を洗わせてくれた。

丁寧にコンディショナーまで終わらせて顔を上げさせると 直ぐに睨んでくる鈴に機嫌を直して欲しくて頬にキスをした。

「怒っても可愛いだけだ。身体洗うんだろほら上を向け」

キスしてる間にもボディタオルに石鹸を垂らしてタップリ泡立てていた。

「もぉ!自分でできます。貸して」

頬を膨らませてボディタオルをそのまま奪わせてやると満足気に笑って自分の体を擦り始めた。俺はそのままシャワーで軽く汚れを落として湯船の中に身を沈めて鈴を眺めることにした。
背中から前にボディタオルが移動して胸を洗う鈴にこの後の事をちゃんと分からせておきたいとイタズラ心が湧き上がった。、

「そこ、後でタップリと舐め回す予定だ」

ピタリと動きがあった止まった鈴は茹でダコ状態でハクハクと口がうごくが言葉が出てこない。

「首筋を舌で辿り俺と鈴との繋がりをタップリと吸い上げて紅く染めてそのまま 右の乳首を舌で転がして吸い上げてぷっくりと晴れ上がらせて左はどうされたい」

口をポカンと開けたまま止まってしまった鈴。湯船からゆっくりと出る。

「知っんじらんない変態オヤジ!!」

「昨日の夜出来なかったとこをしたいだけだ。それに好きなヤツを前にしたら男なんてみんなオオカミだ」

「すっ好きな子を・・・」

「愛してんだ俺の奥さん」

持ってるボディタオルを簡単にう奪わせてくれた鈴の身体を隅々までこの後どうしたいか解説付きで洗い上げる頃には鈴もその気になってくれたのか、鈴らしい陰茎も立ち上がってた。堪らずにその場でなし崩しになりそうな思いを押し止め 自分自身もサッと洗い 鈴を抱き上げて俺の寝室で早速有言実行に移した。


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